琴錦と琴櫻、昭和時代と平成時代の名師匠の違いとその指導法

昭和時代と平成時代に活躍した二人の「琴錦」。それぞれの時代で見られた彼らの魅力と、指導方法について解説します。特に琴櫻との深い絆と、その師匠としての影響力に焦点を当ててみましょう。

昭和時代の琴錦：鬼と仏を使い分けた名師匠

昭和時代の琴錦は、まさに名師匠そのものと言える存在でした。特に琴櫻を横綱に育て上げたその指導方法は、当時も今も語り草です。琴櫻が柏戸との取組で負傷した際、取り口改造の必要性を痛感した琴錦は、徹底的に押し相撲を教え込みました。

その指導法は厳しく、選手が回しに手を触れることすら許さず、角材や竹刀でぶったたくなどの「鬼指導」でした。しかし、その中にも深い愛情が込められており、琴櫻はその教えに応え、後に横綱に昇進しました。

平成時代の琴錦は、今でもその指導方法に影響を与えており、優れた指導力を発揮していました。しかし、時折見せる冷徹な部分もあり、その冷静さと厳しさで選手を鍛えました。

例えば、琴櫻が八百長の疑いを掛けられた際、「琴櫻は悪事を働いていない」と強く擁護し、その姿勢は多くの人々に感銘を与えました。これが琴櫻を横綱に押し上げる原動力となったとも言えます。

現在の指導者、例えば佐渡ヶ嶽親方も、琴錦のように弟子に対して厳しい指導を行っています。しかし、時代が進むにつれて、指導方法にも変化が見られます。現代の指導者は、より人間的な成長やメンタル面にも配慮した指導が求められるようになっています。

昭和時代の琴錦はその厳しい指導法で多くの弟子を育て、琴櫻を横綱に導きました。その鬼と仏を使い分けた名師匠としての姿勢は、今も多くの指導者に影響を与えています。平成時代以降も、その指導法の厳しさと愛情は、多くの力士にとって必要不可欠なものでした。