野球には数多くの明文化されたルールがありますが、中には思わず「もしもこんなことが起きたらどうなるの?」と考えてしまうようなユニークな疑問も存在します。今回取り上げるのは、「打者が一度打ったボールを真上に上げ、落ちてきたボールを再度バットで打ってホームランにした場合、それは有効打になるのか?」というものです。ルールブックに基づいて、このユニークなケースを考察してみましょう。
野球の基本ルール:打撃は原則“一回限り”
野球において、打者がピッチャーの投球を打つチャンスは1球につき1回のみです。バットにボールが当たりフェアゾーンに飛べばインプレーとなり、その時点で打者としての行為は完了します。ボールがバットに当たって真上に上がった場合、たとえキャッチされなかったとしても、それは“フェアなインプレー中”の扱いになります。
つまり、一度打ったボールに再び手を出す(再びバットを振る)こと自体がルールに反しており、打者によるインターフェア(守備妨害)と見なされる可能性があります。
実際のルールブックにおける記述
野球規則(Official Baseball Rules)では、打者が打ったボールがフェアゾーン内にある状態で意図的に再度触れた場合、それは「守備妨害」や「反則行為」に該当します。具体的には、規則5.09(a)(8)において「バッターがフェアボールに再度触れた場合、アウトになる」と明記されています。
このため、たとえバットに当たって真上に上がったボールであっても、それを再び打ってホームランにする行為は、ルール上は認められない“反則”行為とみなされます。
仮に再打撃が成立した場合の想定
もし仮にルールが存在せず、打者が再度バットを振ることが可能だったとしたらどうでしょうか?理論上は、打球が高く上がり、打者が落下点を正確に読み、再びバットを振って強打できた場合、それがホームランに届く可能性も“ゼロではない”でしょう。
ただし、現実的には、バットコントロール・落下予測・タイミングの三拍子が揃わなければ成立しない極めて困難な状況であり、プロ選手であっても意図的に実行することはほぼ不可能です。
過去に類似事例はあるのか?
過去のMLBやNPBにおいて「再打撃によるホームラン」という公式記録は存在していません。稀にバットに当たった打球が体に当たってアウトになったケースや、捕球前にバッターがボールに触れて守備妨害になるケースはありますが、自分で打ったボールを再び打つというプレイは記録にもルール上にも残されていません。
YouTubeなどの“おもしろ野球動画”ではパフォーマンスとして似たような場面が演出されることはありますが、これはエンタメであり、公式戦では無効とされます。
まとめ:一度打ったボールを再度打つのはルール違反
打者が一度バットに当てたボールを再び打ってホームランにする、という行為は、野球の公式ルールでは認められていません。これは「守備妨害」や「反則行為」として打者がアウトになる可能性が高く、有効打にはなりません。野球はフェアで明確なルールに基づいて行われるスポーツであり、例外的なプレイに見えるような場面でも、必ずしっかりとした規定があります。
ユニークな疑問から野球の奥深さを知ることができるのも、スポーツ観戦の楽しみのひとつですね。
コメント