弓道具『束離(そくり)』は本当に使ってはいけないのか?噂と現実を検証

格闘技、武術全般

弓道において、道具の選定は上達や競技成績に大きく関わる重要な要素です。その中で「束離(そくり)」という矢束離れの道具について、ネットや弓具店の話などで『使ってはいけない』『弱い大学しか使わない』といった声があることをご存じでしょうか。果たしてそのような主張は本当なのでしょうか?本記事では、束離に関する評価や誤解を解き、実態を検証します。

束離(そくり)とは何か?

束離とは、矢の飛び出しを安定させるために矢筈や矢自体の設計に工夫を施した製品や、弓具全体のフィーリングを補助する器具の通称です。製品によっては、矢の装着感や発射時のブレを抑える機構が搭載されており、初心者から競技者まで幅広く使われています。

特に、射癖が出やすい初級者にとっては、「矢がまっすぐ飛ぶ」という実感を得られやすいという利点があるため、導入される場面も少なくありません。

「束離=使ってはいけない」は本当か?

一部の弓具店や指導者の中には「束離は邪道」「競技での使用は禁止されている」といった強い言い方をする方もいます。しかし実際には、全日本弓道連盟などの競技規定において明確に「束離」が禁止されているわけではありません。ただし、明らかに機械的に発射を補助するような装置は、競技によって制限を受ける場合もあります。

大学弓道部の中では、リーグによって独自の運用ルールがあることもあります。たとえば「特定の矢や装備の使用を認めない」とするチームポリシーのような形で束離を排除しているところもありますが、それはあくまで内部規律であって、弓道界全体の共通認識とは言えません。

束離のメリットと正しい使い方

束離を使用するメリットは主に以下の3点です。

  • 矢飛びの安定化によってフォームのチェックに集中できる
  • 初心者が早期に手応えを感じやすくなる
  • 道具への理解を深めるきっかけとなる

一方で、道具に頼りきりになることで基本的な射技の習得が疎かになる危険もあるため、指導者のもとで補助的に活用するのが望ましいとされています。

「弱い大学しか使わない」という偏見について

こうした発言はしばしば技術や勝敗に対する強いこだわりから来るものですが、事実に基づいたものではないケースが多いです。実際には、強豪校でもフォーム固めの段階で一時的に使用する例があり、単に「弱い大学」=「束離を使う」といった図式は成り立ちません。

また、使用の有無はチームの方針や指導者の考えに大きく左右されるため、それだけで選手や大学の技量を判断するのは誤りです。

最終的な判断は自分自身と指導者で

弓道具に限らず、道具選びは「自分にとって何が必要か」を考えることが第一です。伝統や文化を尊重しつつも、現代の道具の利便性を適切に活用する姿勢も重要です。使用する際は、必ず所属道場や部のルール、指導者の意見に従いましょう。

まとめ

「束離を使うと弱い」「使用禁止されている」などの情報は、部分的には誤解や偏見に基づくものも多く含まれています。大切なのは、弓道の本質である射の正確さと心のあり方を見失わないことです。道具の選択は、個人の目標や成長に合わせて、正しく判断することが求められます。

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