2025年のFIA世界耐久選手権（WEC）シーズンにおいて、トヨタのGR010ハイブリッドは他のハイパーカーと比較して苦戦を強いられています。特に、グリッド上での競争力不足が指摘されており、トヨタはこの状況を「退屈なシーズン」と表現しています。技術ディレクターのデヴィッド・フルーリー氏は、バランス・オブ・パフォーマンス（BoP）により、GR010が他の車両に対して29kgの重量差と31kW（約42馬力）の出力差を抱えていると述べています。これにより、GR010は250km/h以上の速度域で他の競合車両に対して劣位に立たされています。
GR010は2021年にデビューし、2025年でホモロゲーションサイクルの最終年を迎えています。ホモロゲーションサイクルとは、新規開発車両の基本コンポーネントが5年間変更できない規定であり、GR010はこの規定により大幅な性能向上が難しい状況です。トヨタは、GR010のスタイリング変更を2026年シーズンに実施する可能性を示唆していますが、完全な新型車（GR020）の投入時期については明言していません。
将来的には、水素を燃料とするハイパーカーへの移行も検討されていますが、FIAによる水素プロトタイプの技術規定が2028年に延期されたため、GR010の後継車両の開発スケジュールは不確定な状況です。トヨタは、GR010の性能向上と新型車の投入時期について、今後の技術規定の動向を注視しながら検討を進めていると考えられます。
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