航海士を目指す学生や、実習で操船を学ぶ方にとって、電子海図の活用は効率的な予習・復習の大きな助けとなります。スマートフォン用のアプリに限界を感じ、PCで本格的な海図を扱いたいという声は少なくありません。そこで今回は、代表的な無料航海ソフト「OpenCPN」を中心に、日本で電子海図を利用する方法を整理しました。
電子海図の種類と入手先
まず知っておきたいのは、電子海図には主に「ENC(Electronic Navigational Chart)」と「ラスターチャート」の2種類があることです。国際的に利用されるENCは各国の水路当局が発行しており、日本では水路協会や海上保安庁の関連機関を通じて正規版を入手可能です。
ただし、正規のENCは高額になることもあり、練習用途では躊躇する学生も多いでしょう。その場合、OpenCPNで使えるオープンソースの海図や、一部の地域で公開されている無償データの活用が選択肢になります。
OpenCPNの導入方法
OpenCPNは世界中のセーラーや航海士が利用する無料の航海用ソフトです。公式サイトからダウンロードしてPCにインストールできます。導入の手順は以下の通りです。
- OpenCPN公式サイトから最新版をダウンロード
- インストール後、設定画面から「チャートディレクトリ」を追加
- 入手した海図データをそのフォルダに格納
これでソフトを起動すると、自動的に海図が読み込まれ、PC上で航海のシミュレーションやルート作成が可能になります。
日本の海図を利用する方法
日本近海の正規海図を扱う場合は、水路協会で販売されている電子海図(ENC)の購入が最も確実です。ただし費用面を考慮する必要があります。代替案としては、以下の選択肢があります。
- Newpec PC版:広く使われている市販電子海図。ただし全国版を揃えるとコストが高め。
- オープンデータ:一部の海域では無償公開されている海図データが存在します。
- 海外ソース:国際的なオープンチャートプロジェクト(例:OpenSeaMap)を組み合わせる方法もあります。
練習船実習の予習が目的であれば、まずはオープンデータを使い、必要に応じて範囲を限定して有償データを購入するのが現実的です。
費用を抑える工夫
電子海図はすべてを揃えると高額になりがちです。そこで、以下の工夫が有効です。
- 必要な航行エリアだけを購入
- オープンデータと市販海図を組み合わせて使う
- 学習用にはOpenSeaMapやラスターチャートを利用
特に学生の場合、すべてを正規購入する必要はなく、段階的に揃える方法がコストを抑えつつ学習効果を得やすいでしょう。
まとめ
電子海図をPCで扱うには、まずOpenCPNを導入し、必要に応じて日本の海図データを追加するのが基本です。正規の電子海図は水路協会から購入可能ですが、費用を抑えるにはオープンソースの海図や必要範囲のみの購入を組み合わせるのがおすすめです。学習段階では無償データを活用し、本格的な操船や実務では正規の海図に移行するのが現実的な選択肢となるでしょう。
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