ダム下流と上流の遊漁料の差：遡上量と放流作業の影響を考察

ある鮎河川における遊漁料が、ダム下流と上流で同じ料金となっている背景には、複数の要因が絡んでいます。特に、ダム下流では天然遡上による豊富な鮎の供給がある一方、上流では放流作業が行われており、その違いが遊漁料にどのように影響を与えているのかを考察します。

1. ダム下流の天然遡上の利点とその影響

ダム下流の漁協では、毎年一定の天然遡上が見込まれ、その豊富な遡上量により、魚の供給が確保されています。しかし、遡上量が少ない年でも、放流を行わず天然鮎に頼っているため、漁業の安定性には課題が残ります。それにもかかわらず、高い遊漁料が維持されているのは、鮎の供給以外にも漁協の運営に必要なコストが含まれているからです。

2. ダム上流の放流作業とコスト

一方、ダム上流の漁協では、放流作業が行われることによって、より高いコストがかかっています。放流作業には、稚鮎の購入、育成、そしてその放流にかかる手間が必要です。そのため、ダム上流の漁協は遊漁料を高めに設定していると考えられがちですが、実際には上流での放流にかかるコストが、遡上が豊富な下流と比べてどう影響するかが課題です。

3. 遡上量が少ない年の影響と遊漁料の設定

遡上量が少ない年において、ダム下流の漁協は放流を行わないという方針を採っていることが多いです。これは、放流のコストを抑えるためですが、同時に遡上が少ない年でも遊漁料を安定させるための戦略とも言えます。そのため、ダム下流の漁協が高い遊漁料を設定する理由として、天然鮎の供給が安定しているというメリットを生かし、運営費を賄う必要があるからと考えられます。

4. まとめ：遊漁料設定の背景

ダム下流と上流の遊漁料が同じである理由は、天然遡上量の豊富さと、放流作業の手間にかかるコストの違いに起因します。ダム下流の漁協が高い遊漁料を設定している理由は、安定した天然遡上を活かしつつ、運営に必要なコストをカバーするためであり、放流作業を行わない年でもその戦略は有効に働いています。

したがって、遊漁料の設定においては、鮎の供給源だけでなく、漁協の運営コスト全体を考慮に入れた価格設定が行われていると言えるでしょう。