石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にリン酸カルシウムの結晶が沈着することで発症する疾患です。この疾患が発生するメカニズムや、石灰を砕いたり除去する方法について詳しく解説します。
1. 石灰沈着性腱板炎とは
石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板(特に回旋筋腱板)にリン酸カルシウムの結晶が蓄積することによって発症する炎症性疾患です。この疾患は通常、肩の痛みや運動制限を引き起こし、特に腕を上げる動作で強い痛みを感じることが多いです。多くの場合、症状は急性に現れますが、慢性的に続くこともあります。
リン酸カルシウムの結晶が腱板に沈着することで、炎症が引き起こされ、これが痛みを引き起こします。では、どうしてこの結晶が突然沈着するのでしょうか?
2. リン酸カルシウム結晶の沈着原因
リン酸カルシウムの結晶が腱板に沈着する原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。まず、腱板の部分的な損傷や血流の異常が結晶の沈着を引き起こすとされています。また、腱板の使い過ぎや加齢に伴う変化、さらには体内のカルシウム代謝の異常も影響を与える可能性があります。
さらに、遺伝的な要因や過去の肩のケガ、慢性的な炎症が引き金となり、結晶が沈着することがあるとされています。これらの要因が複雑に絡み合い、腱板にリン酸カルシウムが沈着する結果、石灰沈着性腱板炎が発症します。
3. 石灰を砕いたり除去する方法
石灰沈着性腱板炎の治療法にはいくつかのアプローチがあります。最も一般的な方法は、薬物治療や物理療法で症状を和らげることですが、石灰を実際に取り除くための治療方法もあります。
一つの方法は、石灰を針で直接取り除く「針治療」です。これには、患部に局所麻酔を施し、超音波ガイドを用いて針を腱板に挿入し、沈着した石灰を吸引する方法です。別の方法としては、ESWT(体外衝撃波治療)があり、これは高エネルギーの衝撃波を患部に送ることで石灰を粉砕し、身体が自然に排出できるように促す方法です。
4. 治療の選択肢とリハビリ
薬物治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みを軽減し、肩の炎症を抑えることが一般的です。物理療法も重要で、特に肩の可動域を回復させるためのストレッチや強化運動がリハビリの一環として行われます。
手術は最終的な手段として考えられますが、通常は非手術的な治療法を試み、効果が見られない場合に限られます。手術では、沈着した石灰を取り除くための手術が行われますが、リハビリ期間が長いため、慎重に検討する必要があります。
まとめ
石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にリン酸カルシウム結晶が沈着することで発症する疾患であり、突然の肩の痛みを引き起こします。結晶の沈着原因は明確ではありませんが、損傷や加齢、カルシウム代謝の異常が影響していると考えられています。治療方法には、薬物療法、物理療法、針治療、ESWTなどがあり、症状に応じたアプローチが取られます。どの治療法が最適かは、患者の状態により異なるため、専門医と相談することが重要です。


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