近年、プロレスの試合において「組体操化」と呼ばれるスタイルが増えてきました。特に、攻防が計画的であり、選手同士が息を合わせて行う動きが目立つ場面が多く、観る側にとってそのスタイルに違和感を感じることもあります。この記事では、この「組体操化」の特徴、なぜ人気があるのか、そしてその背景にある理由について探ります。
プロレスにおける組体操化の特徴
プロレスの組体操化とは、選手同士があらかじめ決められた動きで攻防を行うスタイルを指します。例えば、相手の腕を取って回転させる動きや、バックを取る、取られるという一連の流れが「せーの」と息を合わせて行われる様子です。これにより、スムーズに試合が進行する一方で、試合に対するリアリティが薄く感じられることもあります。
かつてのプロレスでは、選手のリアルな闘志や激しい戦いが前面に出ていたのに対し、現在では見せ場としての演出が強調されることが多く、ファンにとっては「段取り」感が強く感じられることもあります。
メキシコや初代タイガーの試合と組体操化
メキシコのルチャ・リブレや初代タイガーマスクの試合は、スピード感があり、まるで舞台演技のようにスムーズに攻防が繰り広げられました。このようなスタイルは、確かに計画的ではありますが、その速さと流れの良さが逆に「不自然さ」を感じさせないポイントとなっています。
選手たちは一連の動きをあらかじめ練習し、計画通りに演じることで、スリルや迫力を演出します。そのスピード感や洗練された動きは、試合を観ているファンに違和感を与えることなく、むしろ魅力的に映ります。
90年代の新日本ジュニアとその魅力
90年代の新日本ジュニア選手たちは、組体操化された攻防でも、スピード感や激しさがあり、観客を引き込む力を持っていました。特に、高橋ヒロムや獣神サンダー・ライガーなどが代表的で、これらの選手たちの試合は、見せ場の連続であり、ファンを魅了し続けました。
これらの試合では、選手たちが演技的な動きを見せつつも、その中に感情や闘志を込めることができていたため、組体操化されていてもリアリティが感じられたのです。
組体操化の人気とその背景
組体操化された攻防は、計画的であるがゆえに予測可能であり、見やすく、ファンにとっては一つ一つの動きが非常に分かりやすく感じられます。これが現代プロレスの魅力の一つでもあり、ファンからの支持を集める要因となっています。
また、プロレスがエンターテインメント性を重視するようになった現代においては、単なる力強い戦いだけでなく、演出や物語性も重要な要素となっています。このため、組体操化された攻防は、プロレスがもつエンターテインメント性を引き立てるために重要な役割を果たしているのです。
まとめ
プロレスにおける組体操化は、計画的であり、選手同士の息を合わせた演技が特徴的です。このスタイルが不自然に感じることもありますが、そのスピード感や洗練された動きがファンにとっては魅力となり、人気の要因となっています。メキシコのルチャや初代タイガーマスクの試合のように、速さと流れが一体となった演技が、組体操化された攻防でも違和感を感じさせない理由です。現代プロレスにおいて、このスタイルはエンターテインメントとして重要な位置を占めており、今後も進化し続けることでしょう。


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