剣道の六段審査は、五段までの審査とは内容や要求されるレベルが一段と高くなります。その中でも「日本剣道形(にほんけんどうかた)」の扱いは多くの受審者が気になるポイントです。この記事では、六段審査で打太刀・仕太刀の両方を行う理由やその意義、実施方法について詳しく解説します。
剣道六段審査における形の位置づけ
六段審査では、立会(実技)と日本剣道形の両方が審査対象となります。形は単なる型の確認ではなく、剣道の理合(りあい)を理解しているかを見極める重要な要素です。そのため、五段までとは異なり、形の完成度や理解度がより重視されます。
五段までの審査では主に「仕太刀のみ」を担当することが多いですが、六段以上になると、打太刀・仕太刀の両方を行うことが求められます。これは、双方の立場から理合を理解し、剣道の本質を深く体得しているかを確認するためです。
なぜ六段審査で両方行うのか?
六段以上の段位では、単に技術が優れているだけでなく、「教える立場」としての理解も求められます。打太刀は仕太刀に理合を教える側の役割であり、仕太刀は理合を受けて実践する側です。両方の役を経験することで、剣道形における攻防の関係性や間合いの感覚をより深く理解できます。
特に打太刀は「導く役割」としての正確さが問われるため、五段までの経験では身につかない視点が必要になります。これが、六段審査で打太刀・仕太刀の両方を行う理由の一つです。
実際の審査での流れと注意点
六段審査では、形の審査は通常3本~7本程度を実施します。審査員から「打太刀・仕太刀両方」と指示がある場合、1回の受審で両方の立場を演じることになります。例えば、1本目から3本目を仕太刀、4本目から6本目を打太刀といった形です。
このとき重要なのは、どちらの立場でも「剣理に基づいた動き」を維持することです。打太刀では間合いを正しく取り、仕太刀を導く正確な打突を行うこと。仕太刀では、打太刀の攻めに対して的確に応じ、気・剣・体を一致させることが求められます。
五段までとの違いと求められる意識の変化
五段までは「正確に形を行う」ことが重視されていましたが、六段以降では「理合の理解と心の表現」がより評価されます。つまり、形を通してどれだけ剣道の深い理解を表現できるかが審査のポイントです。
六段審査では、単に動作の正確さではなく、打突の気迫、間合いの読み、攻防の理合の一致が問われます。打太刀・仕太刀を両方行うことで、この理合の全体像を表現することができるのです。
練習で意識すべきポイント
六段審査に向けて形を練習する際には、以下のポイントを意識すると効果的です。
- 打太刀・仕太刀の役割を入れ替えながら稽古する
- 一本一本の形の「理合」を理解する
- 間合い・気迫・目付(めつけ)を意識して動く
- 動作よりも「心の一致」を大切にする
また、審査前には道場や連盟主催の講習会などで、指導者の指摘を受けて修正を重ねることが重要です。
まとめ
剣道六段審査では、打太刀・仕太刀の両方を行うことが一般的です。これは、剣道形の理合を深く理解し、教える側の視点を持つことが求められるためです。単なる形の再現ではなく、双方の立場から剣道の本質を表現することが大切です。打太刀・仕太刀それぞれの意味を理解し、心と技を一致させる稽古を重ねることで、六段への道が開けるでしょう。


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