幼稚園・小学校の体育で、縄跳び・鉄棒・跳び箱・マット運動などがどうしても苦手だった…という体験は少なくありません。これは珍しいことではなく、むしろ多くの児童が似た悩みを抱えています。この記事では、なぜ“できない”と感じるのか、そしてそれが将来どれほど影響するのかを整理し、安心して日常を送るための視点も紹介します。
なぜ縄跳び・鉄棒・跳び箱が苦手と感じるのか
まず、器械運動（マット・跳び箱・鉄棒など）は、児童にとって「技（とくぎ）」を習得する系統的な運動として位置づけられています。学習指導要領でも「自己の技能の程度に応じた『技』に挑み…その『技』を達成した喜びを味わうことが大切である」と記されています。([参照](https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/record/25255/files/AN10404761_56_11.pdf))
また、多くの児童が「運動が苦手・体育が嫌い」と感じる傾向にあり、その原因の一つに「自分だけできない」という比較や、「できないから嫌だ」という固定的な能力観があることも明らかになっています。([参照](https://www.saitama-u.ac.jp/edu/grad/master/report/pdf/h-29/011.pdf))
「できなくても普通」「将来そこまで困らない」という視点
ご自身のように、「走ったり自転車を漕ぐくらいはできる」「体力勝負系の職業には就かない」と感じているならば、器械運動の“技”が苦手でも、日常生活で大きく支障をきたす可能性は高くありません。むしろ、器械運動は体育の授業内で特に意識されやすい種目です。
実際、器械運動の実施率は小学校まで高いものの、中学校・高校では大幅に低くなるというデータもあります。([参照](https://core.ac.uk/download/80041605.pdf))これは、器械運動が必ずしも生涯にわたって日常生活の中核をなすものではないことを示唆しています。
苦手なままでも「できる」を増やすための３つの視点
苦手なままにしておくよりも、少しずつ“できること”を増やしていく視点も参考になります。以下は現場の研究でも示されている工夫です。
- 自己の技能に応じた課題選び：器械運動では「自分に合った技」を選び、「できた」という経験を重ねることが重要です。([参照](https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/10297/files/147023))
- 受容的な雰囲気づくり：運動が苦手な児童に対して、仲間や教師からの承認・励ましによって「できそうだ」という感覚（運動有能感）が育ちやすいことが分かっています。([参照](https://www.saitama-u.ac.jp/edu/grad/master/report/pdf/h-29/011.pdf))
- 生活動作の幅を広げる運動体験：日常生活で「体を動かすことが楽しい」「少しでもコツをつかめた」という体験を積むことで、運動嫌いを軽減できます。
例えば、跳び箱が苦手でも「低めの段から飛ぶ」「台上前転だけに焦点を当てる」というステップを踏むことで“できた”を実感できます。このような実践が「技を習得できる」という感覚につながるのです。([参照](https://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/09seika/reports/files/kenkyusei/r03/r03_k10.pdf))
“苦手”を過度に気にしないためのマインドセット
大切なのは、「体育が苦手＝人生に大きなハンデ」という考えを手放すことです。体育の授業の一部の技ができないとしても、社会生活や仕事・趣味において「動ける」「健康的に過ごせる」レベルであるなら十分です。
むしろ、運動苦手を経験してきたことで「できないことを受け入れ、努力する姿勢」「自分のペースで成長する力」が育っているとも考えられます。これらは他分野でも活かせる大切な力です。
まとめ
幼稚園・小学校で縄跳び・鉄棒・跳び箱・マット運動が苦手だったとしても、それは決して「普通ではない」わけではありません。そして、将来の生活や多くの職業において大きな制約につながるものでもありません。
大切なのは、自分なりの「できた」を増やす体験を重ねること、「できないことがあっても大丈夫だ」というマインドを持つことです。体育での経験を通して得られた「努力する力」「自分のペースで挑戦する力」は、人生を豊かにする財産になります。
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