セッターとして、回転がかかって勢いのあるパスを受けたときに「手に入らない・まっすぐトスできない」と感じることは少なくありません。この記事では、回転球を安定して処理してトスにつなげるための技術と練習法を整理します。
回転がかかったボールが“難しい”理由
回転がかかったボールは飛びやすい軌道や変化するバウンドを持つため、受け手(=セッター)にとって「キャッチ」ではなく「制御」する意識が必要です。
例えば、ボールが下から上へ回転してくる場合、手に当たったときに球が跳ね上がる・左右にずれやすいという現象があります。これはボールの回転エネルギーが手のひらや指先と干渉するためです。こうした特徴を知っておくことが第一歩です。
回転球を“制御”するための受け方のコツ
ひとつのポイントは、手・指先・手首を“柔らかめ”に構えることです。固く構えてしまうとボールの反動をそのまま返してしまい、トスがぶれたり高く上がりすぎたりします。
もう一つは、受ける面積を広めに取ること。両手を少し広げて“受け面”を意識し、ボールが触れた瞬間に軽く押し込むイメージで“回転を中和”する意識を持ちましょう。
さらに、ボールの回転方向を読むことも大切です。前に回転がかかって入ってくる場合は少し手前で受け、後ろ回転なら手を少し出して“拾うように”受けると安定します。
トスに繋げるための動作プロセス
回転球をただ安定して受けるだけではなく、次にトスをためらいなく出せるかが勝負です。以下のプロセスを意識しましょう。
- パスが出たら即座に“セットポジション”へ移動(視野を整える)
- 回転球が来た瞬間、ボールを“受け面”で軽く押さえつつ自分の軸(体幹)に収める
- 手首を少し使って“回転を殺す”イメージで押さえながら、次の手にスムーズに移行
- トスを出すときは、手首・指先を使って“回転なしでまっすぐ飛ばす”意識を持つ
この流れを常にイメージすると、回転球でもスムーズにセッティングにつなげやすくなります。
実践練習メニュー:回転球トス対応ドリル
以下、具体的に取り組める練習を紹介します。
- 【ドリル1】コーチまたはパートナーが回転をかけて(前回転・後回転)トスを送る → セッターは“受け面広め・軸重視”を意識して受け→ハイセットを上げる
- 【ドリル2】短距離パス → 中距離パス →速攻パスの順で、回転量をランダムにしてトスの精度を確認
- 【ドリル3】試合形式で“乱れて入る回転球”を意図的に演出し、セッターが受けてトスを出す流れを繰り返す
これらの練習を繰り返すことで、「回転球=焦る」という心理的なハードルも下げることができます。
よくあるミスと修正ポイント
以下は多くのセッターが回転球で陥りがちなミスです。
- “手で弾いてしまう” → ボールを受けた瞬間に手首が跳ね返してしまう。→修正:手首を柔らかく、受け面から体幹に向けて繋ぐ意識を持つ。
- “上げようとして手が早く離れてしまう” → トスを意識しすぎて球を安定して受けられない。→修正:受ける動作⇒整える動作⇒トスの順で動きを分けて練習。
- “回転に翻弄されて体がずれる” → 受ける際に踏み込み・軸が崩れる。→修正:足の位置を意識し、受け位置に素早く入る練習も並行。
まとめ
回転がかかって勢いのあるボールをセッターとして安定してトスにつなげるためには、「受ける技術」「トスへの動作連携」「反復練習」が鍵です。意識して構え、実践練習を積むことで“回転だから難しい”という壁を乗り越えられます。
まずは今日の練習で、「受け面を広く」「手首を柔らかく」「軸を使って受ける」という3つの意識を持ってドリルに挑んでみてください。次第に回転球でも冷静に、味方の攻撃につながるトスが出せるようになります。


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