50 mクロールで「グライド」は有効?小学生スプリント泳法の使い分け指南

水泳

小学生が50 mクロールに挑戦する時、「とにかくテンポを上げてぶん回す」べきか、「ある程度ストローク間に伸び(グライド)を入れて泳ぐ」べきかで悩む保護者・指導者も多いでしょう。この記事では、子どもスプリンターにとってのグライドの意味・効果・使いどころを解説します。

そもそも「グライド(伸び)とは何か」

グライドとは、ストロークの回数を増やすのではなく、1回のキャッチ&プルの後に身体を水の中で〈伸びる〉ように滑らせる動きを指します。例えば、壁をけってプッシュオフしたあとの“ストリームライン姿勢”もグライドの一例です。([参照]Swimming Glide – Freestyle)

このグライドの目的は主に〈水の抵抗を減らす〉〈身体を伸ばして次のキャッチ動作に備える〉というものです。ストローク数を減らしながら、1ストロークあたりの距離(SL:ストローク・レングス)を確保することが目標になります。

50 mスプリントにおけるテンポとストローク数の考え方

50 mや短距離では、キック・スタート・ストローク回転率(SR:ストローク・レート)などが特に重要とされます。論文でも「短距離スプリントではスピード・パワーが成績を左右する要因である」と示されています。([参照]Physical performance determinants in competitive youth swimmers)

つまり、「ストロークを増やす=テンポを上げる」という戦略は、50 mでは十分に有効です。特に小学生であれば“回転数を上げてスピードを出す”という考え方がフィットする場合も多いでしょう。

小学生レベルで「グライド」を意識した方がいいケースとは?

とはいえ、回転数だけに頼るのではなく、以下のような条件ではグライドを少し意識するほうが速く泳げる可能性があります。

  • 技術(キャッチ・プル・キック・ローリング)が一定以上安定している場合:ストロークの質が上がってきてから。
  • スタート後・ターン後の推進が強い場合:グライドを活かせる場面がある。
  • 疲労が出始めるラスト10〜15 mを意識する場合:回転数維持が難しくなった時にグライドで滑らせることも一手。

例えば、小学生で31秒台という記録が出せているなら、技術ベースもしっかりしていると考えられます。そのような選手なら「前半は回転重視、後半でストローク毎の滑りを意識」する戦略が有効です。

「テンポ重視かグライド重視か」の使い分け方

具体的には以下のような使い分けが考えられます。

場面 推奨意識
スタート〜15 m 回転数高め・キック強め(グライド少なめ)
15 m〜35 m 回転を維持しながらも身体の伸びを少し意識
35 m〜50 m 回転数維持が厳しいなら“滑らせる”=グライドを少し意識して脚を休ませつつ前に進む

このように、スプリントでも〈滑り=グライド〉を完全に捨てるのではなく、適切な場面で“回転×グライドのバランス”を取ることがベストです。

まとめ

小学生が50 mクロールを泳ぐ場合、「とにかくテンポを上げてぶん回す」戦略は十分有効ですが、技術が付き、記録も30秒前後まで来ているなら、少し「グライドを意識して滑る」時間を作ることでレース後半の失速を防げる可能性があります。

したがって、最終的なアドバイスとしては「まずはテンポ・回転数を優先して習得し、その上でグライド(伸び)も局面に応じて取り入れる」という順序が理想的です。ぜひ練習場で「速く回す」「滑らせる」の両方を試して、子どもに合った感覚を見つけていただければと思います。

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