野球で「チーム1番手のピッチャー(エース)を先発に起用する」という定番戦略が長年採用されてきました。一方で「それなら接戦の後半に投入して肩の温存を図るべきではないか」と感じる方も多いでしょう。この記事では、先発起用の意図・効果・終盤投入との比較を通じて、この疑問に迫ります。
先発起用が重視される理由
一番手の先発投手を起用する利点として、まず「試合の主導権を握る」ことがあります。例えば、開幕戦やシリーズ初戦にエースを起用することで、相手にプレッシャーをかけるというマネジメント論があります。([参照] TwinsDaily:Aces High or Aces Low?)
また、先発には「長くイニングを消化し、ブルペンを温存する」役割もあります。優れた先発が6〜7イニングを投げてくれれば、その後の中継ぎ・抑えを使いすぎずに済みます。([参照] Reddit議論:Why is the main pitcher called an Ace?)
「後半投入」の戦略とその制約
では、試合の後半・勝負所でエースを投入するという考え方はなぜ一般化していないのでしょうか。まず、エース先発起用の定番には長いイニングを任せられるという信頼があります。投入が遅いと「十分なウォーミングアップを得られない」「相手打線を先に捉えられてしまう」などの弱点があります。
さらに、エースを後半投入として温存すると、試合序盤に予想外の失点やペースを取られた際のリカバリーが難しくなります。野球における“序盤のマウンド”は先発投手の責任領域であることが多いのです。
具体例:優れた先発が試合を作る場面
例えばポストシーズンなどでは、エースがシリーズ第1戦・第3戦・第5戦など序盤に起用されるケースが多く、試合の流れを作る役割を担っています。([参照] Baseball Prospectus:Overthinking It: No Ace, No Problem?)
このように「勝負の初戦・連戦序盤に最強投手を当てる」という起用が、チームとして安心して試合を運びやすい構えになっているのです。
肩の消耗を考慮しても先発起用にこだわるわけ
確かに、投手の肩・体力の消耗を考えると“終盤だけ出す”という方が合理的に見えるかもしれません。しかし、先発には「相手に継投を強いる」「自分のペースで投げられる」「勝ちパターンを作る」という複数の機能があるため、起用タイミングは消耗以上に戦略的に決まります。
また、登板間隔・調整日・球数制限など近年は科学的に管理されており、「肩を使い回す」わけではなく計画されたローテーションで消耗を最小化する体制が整っています。
まとめ
結論として、優れたピッチャーを先発に置くのは「試合の主導権」「長イニング対応」「ブルペン温存」という複数のメリットがあるためです。確かに肩の消耗も重要ですが、現代野球では登板間隔や球数などを管理しながら“先発起用”を合理的に運用しています。
そのため、接戦・終盤での起用がベストというわけではなく、むしろ序盤からエースを投入して試合を動かす戦略が理論的に支持されているのです。


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