ヒマラヤに聳えるダウラギリ(標高8,167 m)は、その南壁(通称“South Face”)が「人類がよじ登ることは可能か」という問いを呼ぶ“超級の壁”として知られています。本記事では、南壁の地形・過去の挑戦・現在(2025年時点)の状況を整理し、「本当に登れるのか」という疑問について最新の登山史・技術的観点から考察します。
ダウラギリ南壁の地形的特徴
ダウラギリの南壁は、コールギャンダキ渓谷から約4,000 mもの垂直高度を一気に上昇する巨大な壁面です。([参照] Wikipedia:Dhaulagiri 項目)
この壁は、岩稜・氷河・雪壁・雪崩帯が複雑に交錯しており、取り付きが極めて少ない“スタック”状況になっています。例えば「ほとんど傾斜が60°以上」「セラック(氷塊)の落下頻度が高い」との報告があります。([参照] SummitPost:Dhaulagiri South Face 説明)
これまでの登攀履歴と結果
南壁に対しては1977年にラインホルト・メスナー率いる探検隊が初挑戦しています。([参照] AAC Publications:1977年南壁挑戦記録)
その後、1981年、1999年(トマーシュ・フマーによるソロ挑戦)など複数の大規模・無酸素挑戦がありますが、**南壁から頂上まで完全に壁を登り切った記録はいまだ公証されていません**。([参参] ExplorersWeb:“Last Great Challenges”解説)
人類が“よじ登ること”は物理的に可能か? 技術的観点から見る
技術的には、極度に困難ながら“登攀可能な壁”という観点からは否定しきれません。現代のアイスクライミング・ビッグウォール技術、軽量化装備、無酸素スタイルなどが進化しているためです。
しかし、南壁には以下のような複合的な障壁があります:
・大量の雪崩・セラック落下の頻発
・長期間にわたる高度順応・荷運びが困難なルート設定
・頂上までの通しルートが極めて少ない実績
・支援物資・撤退ルートの確保が難しい
現在の登攀動向と将来の見通し
2024年段階でも、南壁は「最後の大壁」の一つとされ、有人登頂例は未公表のままです。([参参] 同上)
将来的には、小隊・アルパインスタイル・最新装備による再挑戦が予想されていますが、**“絶対無理”と断言できる状況にはありません**。ただし、初心者や一般的登山家が気軽にアプローチできる壁ではないことは明確です。
まとめ
総合的に見ると、ダウラギリ南壁は「物理的に不可能ではないが、現実的には極めて難易度が高い」挑戦です。「とりつくまもない」「絶対無理そう」と感じられるほどの理由が、長年の登攀履歴・地形・技術的障壁の積み重ねから得られています。
もし挑戦を検討するのであれば、まずは北東稜など「実績のあるルート」で経験を積み、技術・体力・装備・支援体制のすべてを整えたうえで臨む必要があります。そうでなければ、この“最後の大壁”には、安全に対峙することは困難でしょう。

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