普段の練習や練習試合では20点以上挙げられるのに、県大会・地区大会という舞台になると緊張してしまい、得点が半分以下になってしまう──そんな悩みを持つバスケットボール部の選手のために、緊張をリラックスに変えて“いつものプレー”を発揮するためのメンタルトレーニング方法を整理します。
なぜ“緊張”するとプレーが乱れるのか
競技場面で「いつもの力が出せない」状態は、いわゆる「パフォーマンス不安(performance anxiety)」や「チョーキング(choke)」と呼ばれる現象が関わっています。[参照](Wikipedia:Choking (sports))
たとえば、観客数が増える・中継が入る・保護者や教員・部員が見ているといった“舞台の大きさ”が加わると、自律神経の交感神経優位が高まり、身体や脳の反応が“過覚醒”または“萎縮”し、焦り・判断の遅れ・動作のギクシャクが出やすくなります。[参照](Verywell Mind:How to handle performance anxiety as an athlete)
本番でもリラックスできる“準備”の軸】
試合当日、とくに初戦・大舞台では「心・身体の準備」が勝敗以上に支えになります。次のポイントを実践しましょう。
・呼吸を整える: 深くゆっくり息を吸って吐く“ボックスブリージング(4秒吸う/4秒止める/4秒吐く/4秒止める)”などが有効。[参照](St Charles Healthcare:Sports psychology – mental preparation for competition)
・可視化(ビジュアライゼーション):試合開始からシュートを決め、チームメイトとハイタッチするまでの流れを自分の脳内で何度も再現しておくことで“慣れ”が育ちます。[参照](The Mental Game:Overcoming Performance Anxiety Techniques that Work)
練習とリンクさせる“本番用ルーティン”構築】
練習では普通にプレーできているとのことなので、試合用の“ルーティン(儀式)”を設けておくと効果的です。ルーティンは「身体の動き+メンタルの流れ」を一貫させる仕組みです。
例:試合直前に同じ音楽を聴く→コート周りを一定のペースでウォームアップ→3回深呼吸→「今日もいつもの自分でいこう」と心の中で宣言。こうした一連の動きを“習慣化”しておくことで、本番でも“いつもの雰囲気”を脳が認識しやすくなります。
競技中・得点が取れない時の“戻す”方法】
試合中、「いつも通り得点できない」「ミスが続く」という状況になったら、以下の対応が有効です。
・呼吸リセット:タイムアウトやベンチ戻り時に「吸って吐いて」を5回行うだけでも緊張が少し和らぎます。
・再セットビジュアル:自分がシュート成功→ドリブル→得点という“安心できる流れ”を頭の中で10秒再現することで、焦りのスパイラルから外れやすくなります。
心理面の継続実践とチーム環境】
1人で抱えるのではなく、チームで“緊張の捉え方”を共有することも大切です。緊張は悪ではなく、身体が試合のため準備をしてくれているサインでもあります。[参照](PositivePsychology.com:Sports Psychology Techniques & Tips for Coaching Athletes)
また、試合後に“何が良かったか”“どこで気持ちが変わったか”という振り返りをチームで行うことで、次の試合への経験値となり、身体だけでなく“脳の慣れ”も育ちます。
まとめ】
県大会や地区大会といった“いつもと違う舞台”で緊張してしまい得点が半分以下になるという悩みは、決して珍しいものではありません。重要なのは「緊張を消す」ことではなく、「緊張を活かすための準備とリハーサル」を積むことです。
まずは呼吸・可視化・本番用ルーティンを練習に取り入れ、試合中は呼吸リセットや再セットビジュアルを活用。チームで心の整え方を共有しながら、“いつもの自分でプレーできる”試合を一つずつ増やしていきましょう。


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