メジャーリーグ(MLB)で怪我して休んでも給料が出る理由──保証契約とその是非をめぐる議論

MLB

「MLB選手は怪我して試合に出られなくても年俸が保証される」──この仕組みを知ると、「本当に公平か?」「成績や貢献がなければ減給すべきでは?」と疑問を持つ人もいるでしょう。本記事では、MLBの契約制度の仕組みを丁寧に解説しながら、「なぜ怪我や休養でも年俸が保証されるのか」「そのメリット・デメリット」「制度変更の是非」を整理します。

MLBの「保証契約(Guaranteed Contract)」とは

メジャーリーグの多くの契約は “Guaranteed Contract”(保証契約)であり、契約期間中に合意された金額は、たとえ選手が怪我で離脱しても支払われることが基本です。([参照])

つまり、怪我や戦力外、犯罪や禁止行為など契約上の重大な違反がない限り、たとえ試合に出場できなくても年俸は保証されます。これは、選手が安心してプレーに臨めるようにするための制度です。([参照])

怪我で離脱しても年俸が保証される理由 ― 選手保護と契約継続性

このような契約形態は、選手のキャリアを守る意味があります。怪我で一時的に戦力外になっても、生活やリハビリのための収入が保証されることで、復帰を目指しやすくなります。

また、チーム側も怪我による離脱リスクを契約時点で想定し、保険や契約条項でリスクヘッジを行うことが一般的です。これにより、選手保護とチーム運営の両立が図られてきました。([参照])

「休んだ分だけ減給すべき」という意見の背景と制度の兼ね合い

たしかに「試合に出ていない=給料を受け取る」という構造に対して、「成果主義」「貢献度別の報酬」という考えから、休んだ分だけ減給すべきだという声もあります。

しかしいったん保証された契約を事後に変えるには、球団と選手の合意が必要であり、保証制度を後付けで適用除外するのは契約自由の原則や団体交渉(CBA)との関係からも難易度が高いのが現実です。

保証契約のメリットとデメリット ― チームと選手、ファンの立場から

メリット: 選手の怪我や長期離脱時にも収入が保証され、リハビリや復帰に集中できること。チームも選手の安全を守りつつ契約を安定させられる。

デメリット: 出場しなかった選手でも高額年俸が維持されるため、球団にとっては“賃金リスク”が常につきまとう。また、ファンやメディアからは「不良債権契約」「給料泥棒」といった批判が出やすい。

制度変更の可能性と日本のプロ野球との比較

他のスポーツリーグ(たとえばNFLなど)では、保証契約が限定的だったり、不保証契約が一般的だったりします。そのため、MLBのような全額保証は例外的とも言えます。([参照])

日本のプロ野球(NPB)では、MLBに比べて契約や年俸の保証条件が異なるため、怪我や戦力外を巡る報酬形態はかなり違います。この違いが、「MLBは甘い」「日本は厳しい」といった議論につながる要因にもなっています。

まとめ ― 保証契約は選手の権利とリーグの仕組みが生んだ制度

MLBにおける保証契約は、選手の怪我や離脱を理由に安易な年俸減額や解雇を防ぎ、長期的なキャリアとリハビリを保証するための重要な制度です。

「出場しないなら給料を減らすべきだ」という意見も理解できますが、一度締結された契約の保証を後から変えるのは、契約法やスポーツリーグの運営構造から見ても容易ではありません。

したがって、現在のMLBでは怪我で休んでも年俸が保証されるのが正しい運用であり、不良債権問題や報酬制度の見直しは、契約構造も含めた総合的な議論が必要となるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました