「再来年の大会なのに、なぜ今抽選会?」――こう感じる人も多いでしょう。ラグビーワールドカップ(W杯)ではなぜ開催の2年近く前からプール組み合わせ抽選が行われるのか。その背景にある事情と合理性を整理してみます。
過去の抽選スケジュールの実例
例えば、2023年大会では2020年12月にプール組み合わせ抽選会が行われました。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
直近の2027年W杯(オーストラリア大会)でも、2025年12月3日に抽選が行われることが決まっています。開催は2027年10月1日。つまり開催まで約22か月前に組み合わせが確定するスケジュールになっています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
抽選を早めにする主な理由 — 会場手配とチケット販売の準備
まず重要な理由のひとつが「会場と日程の確定」です。W杯のような国際大会では、複数都市・複数会場にまたがるため、各会場の使用日・準備期間・観客席の配置や調整などを早めに手配する必要があります。抽選を早く行うことで、どこでどのチームが当たるかを明確にし、会場割りと観客向けスケジュールを確保できるのです。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
さらに観客動員やチケット販売を見据えた「大会演出・商業計画」の準備も重要。抽選で組み合わせが決まって初めて、どの試合に人気が集まりやすいか、どの席をどれだけ用意するかなどの具体的な戦略を立てられます。早期抽選はそうした観客・放送・スポンサー対応の基盤づくりを可能にします。
メリット — 選手・チーム・関係者の準備にも余裕ができる
組み合わせと対戦相手が早めにわかれば、チームは長期計画を立てやすくなります。たとえば、どの地域や気候の会場で戦うかを踏まえて準備、遠征計画、トレーニングスケジュール、補強や戦略変更などの余地が生まれます。
また、代表チームだけでなく運営側や放送局、ボランティア、警備、地域のホスピタリティ体制など、多くの関係者にとって「時間的余裕」は大きな安心材料。大会をスムーズに運営するためには、やはり早めの決定が必要とされます。
リスクと批判 — 早すぎる抽選の問題点も存在
ただし、あまりにも早い抽選にはデメリットも指摘されています。たとえば、抽選時の世界ランキングやチームの強さは時間とともに変動します。抽選直後はバランスよく見えても、数年後には実力格差が開き、“死の組”やアンバランスな組み合わせになる可能性があります。実際、過去の大会ではこの点が批判されたこともあります。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
こうした反省を受け、今回の2027年大会では「可能な限り遅め」の抽選を目指すとも報じられています。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
他スポーツとの比較 — サッカーなどとの違い
たとえば(サッカーW杯)などでは、抽選は大会の数か月前に行われることもあります。これに比べると、ラグビーW杯の抽選はかなり早いという印象を受けるかもしれません。ただし、ラグビーの国際マッチの頻度・会場準備の複雑さ・チケット/観客動員の国際性などを考えると、「早めに決める」のが合理的という判断が働きやすいのです。
まとめ — “大会の円滑運営”のために、早めの抽選はむしろ理にかなっている
・ラグビーワールドカップでは、例年大会の1〜2年近く前に抽選を行うのが慣例となっている。
・これは会場手配、チケット販売、放送やスポンサー対応、遠征準備など、大会運営のあらゆる側面を早めに確定させるため。
・ただし、チームの実力変動による“組のアンバランス”というリスクもあり、それを踏まえて近年は“可能な限り遅め”の抽選も検討されている。
・結果的に、再来年大会の抽選が今行われるのは、不思議ではなく、むしろ合理的なスケジュールと言える。

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