昨日のについて「サッカーのようにボール支配率があれば知りたい」という声があります。実は、ラグビーにも“ボール支配”の分析はあり得るものの、サッカーのような「支配率%」が公式発表されることは少なく、今回も結果として「支配率」は見つかりませんでした。本記事ではその背景と、ラグビーにおける統計の難しさを解説します。
ラグビーでも「ポゼッション(保持)分析」は研究されている
実際に、ラグビーを対象に「ボール保持」「支配」「テリトリー支配」の有効性を分析した研究があります。たとえば、ある研究では「territorial dominance and ball possession」が試合結果とどう関係するかを分析しています。([参照]論文)
また別の包括的なレビューでは、プロレベルのラグビーにおけるパフォーマンス分析の現状として、「保持時間」「プレー時間」「セットプレー回数」「ラック/モール数」「キック回数」「ラン数/メーター」などの複数変数による分析が主流であることが報告されています。([参照]レビュー論文)
なぜ『サッカーのような支配率』がラグビーで出にくいのか
ラグビーでは「ボール保持」「ボール支配」「テリトリー支配」は、サッカーとは性質が大きく異なります。というのも、キックによってわざとボールを相手に渡し有利な陣地に移動する「テリトリーゲーム(territory‑based play)」が戦術的に重要だからです。
そのため「どちらがボールを持っていた時間が長いか」を単純に追う“支配率”より、「どのように使ったか」「攻撃フェーズの回数」「ラック/モールでの保持」「キックと再獲得回数」など多角的なデータで分析されることが多いのです。([参照]複数の分析手法をまとめた論文)
学生ラグビー・早明戦で統計が公開されにくい理由
上記のような詳細な統計は、専用の分析体制や映像解析、記録担当の人員がある程度整った環境でないと難しいため、大学ラグビーのような学生カテゴリーでは、たとえ試合映像があっても「ラック数」「キック数」「保持時間」などを公式に集計・公開する例は少なめです。
さらに、仮にチーム側で解析していても、外部に「支配率%」として共有されるとは限りません。そのため、観戦者や一般のファンからは「存在しない統計」に見えがちです。
もし支配率に近いデータを知りたい場合のアプローチ
支配率そのものがない場合でも、以下のようなデータや指標から“どちらが優勢だったか”を推測することができます。
- ラック/モールの回数・成功率
- 攻撃フェーズ数
- キック回数と陣地獲得の成否
- ラン数、獲得メーター、ターンオーバー数
また、もし試合映像があるなら、手動で「ボール保持時間」をざっと測ることで、独自に“擬似支配率”を算出することも可能です。ただし、これはあくまで参考値として扱うべきです。
まとめ
ラグビーにも「ボール保持」「テリトリー支配」「保持時間」などの分析は存在しますが、サッカーのような「ボール支配率%」は公式に出されるケースは非常に稀です。特に学生ラグビーの大会では統計の公開がほとんどなく、今回のように「支配率を教えてほしい」という希望に答えられないのが実情です。
もし今後、支配率や保持時間などを知りたいなら、公式発表のチェックはもちろん、試合映像からの分析や関係者へのヒアリングなども視野に入れるのがおすすめです。


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