大相撲中継を見ていると、土俵上で行司が“初切り(しょっきり)”などで力士と立ち合いをしたり、軍配を扱う姿が印象的に映ることがあります。そのため「行司さんは力士より強いのでは?」と誤解されることもあります。本記事では、行司の役割・訓練・力量について丁寧に解説し、行司の実力を正しく理解する手助けをします。
大相撲の行司とは何か
大相撲の行司は、プロの相撲協会に所属する「審判役兼進行役」です。行司は取組の勝敗を見極めるだけでなく、取組の進行や場内アナウンス、番付表の作成など様々な役割を担います。伝統的な装束と所作で観客の前に立つ姿は大相撲の象徴的存在です。[参照]
行司になるには特別な体格条件はなく、15〜16歳ごろに相撲界に入り、長年の修行と経験を積みながら階級を上げていきます。行司にも「立行司」や「幕内格行司」など複数の階級があり、経験や実力によって取組を担当する番付が変わります。[参照]
行司は力士より体格や筋力があるのか?
力士は一般的に筋力・体格共に非常に優れたアスリートです。たとえば横綱や大関クラスになると体重が150〜200kgを超える選手も珍しくありません。一方、行司は体格や筋力を基準として選ばれる役職ではありませんので、基本的には一般人に近い体格であることが多いです。[参照]
したがって、筋力や体格そのもので言えば、現役力士と比べて行司が優れているということは基本的にありません。あくまで行司は判定・進行のプロであり、力士と同等の身体能力を持つ必要はありません。
“初切り(しょっきり)”は何を示す?
行司が取組の前後やイベントで見せる“初切り(しょっきり)”は、演技的・芸能的な意味合いが強いパフォーマンスです。これは力士の技や動きを観客に説明したり見せたりするいわゆる“見世物”的な演出であり、実際の力比べとは異なります。[参照]
このような演技では、力士側が意図的に力加減を調整することがあり、行司が投げ飛ばすシーンがあるとしても、実力差を示すものではありません。行司は演出者としての所作を身につけているだけであり、力士相手に本気で投げ合う訓練を受けているわけではありません。
行司に求められる技術と能力
行司には力士との取組を裁くための「観察力」「判断力」「瞬時の決断力」が求められます。取組中は勝敗を一瞬で見極める責任があり、しばしば専門的な判断が求められます。また、伝統的な掛け声や所作を美しく行うための訓練も欠かせません。
このように、行司が持つ能力は力士のような身体的な強さではなく、審判業務や所作に関する高度な専門性です。彼らは長年の修行を経て大相撲界に貢献しているのです。
まとめ: 行司の力量と役割の実際
結論として、行司は力士よりも身体的に強いというわけではありません。行司は身体能力よりも伝統・審判技術・進行管理能力を磨く役割の専門職です。大相撲の魅力を支えている縁の下の力持ちであり、取組を安全に進行・判定するための知識と経験に優れています。
そのため「行司=力士より強い」というイメージは、所作や演出が誤解を生んでいるだけであり、実際の力量は役割ごとの専門性に基づいたものだと言えます。


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