走り高跳びをこれから始める場合、いきなり高いバーを背面跳びで越えようとするより、まずは助走・踏み切り・空中動作・着地を分けて身につけることが大切です。特に背面跳びは、助走で作ったスピードを上方向への力へ変える踏み切りと、カーブを使った助走がポイントになります。
初心者の段階では「何cm跳べたか」よりも、毎回ほぼ同じ場所から助走を始め、同じ位置で踏み切れるようになることを優先すると上達しやすくなります。ここでは走り高跳び初心者向けに、背面跳びを習得するための基本と練習メニューを順番に解説します。
走り高跳び初心者は背面跳びの前に基本動作を覚える
背面跳びは、単純にバーへ向かって走り、背中からジャンプする種目ではありません。助走のリズム、カーブ、踏み切り、振り上げ、空中姿勢、着地といった複数の動作がつながって成立します。
そのため初心者は、最初からすべてを同時に完成させようとしないことが重要です。まず「片足で強く踏み切って上に跳ぶ」感覚を覚え、次に助走を組み合わせ、最後に背面跳びの空中動作へ進むと理解しやすくなります。
特に重要なのは、バーを越えることよりも正しい踏み切りを身につけることです。低いバーなら多少フォームが崩れていても越えられますが、その跳び方を繰り返すと高さを上げたときに伸び悩みやすくなります。
最初に取り組みたい基礎練習
走り高跳びを始めたばかりなら、ウォーミングアップの後にスキップ、もも上げ、バウンディングなどを取り入れるとよいでしょう。走る動作と跳ぶ動作をつなげる感覚を養えます。
次に、左右それぞれで片足ジャンプを試し、自分が自然に強く踏み切れる足を確認します。背面跳びでは片足踏み切りになるため、自分の踏み切り足を早い段階で把握しておくことが重要です。
例えば、短い助走から踏み切り足で上方向へジャンプし、反対側の膝と腕を振り上げる練習を行います。この段階ではバーを越える必要はありません。「前へ飛ぶ」のではなく助走の勢いを利用しながら高く跳び上がることを意識します。
背面跳びで重要な助走を練習する
背面跳びでは、直線だけではなく後半にカーブを描く助走が一般的です。カーブを走ることで身体に適切な傾きが生まれ、踏み切り後にバーへ背中を向けていく動作につながります。
初心者は最初から長い助走にする必要はありません。まずは短い助走で、自分がコントロールできる速度から練習します。毎回助走開始地点が変わったり歩数が変化したりすると踏み切り位置も安定しないため、スタート位置に目印を置いて歩数をそろえると効果的です。
練習では地面に円弧をイメージし、そのカーブに沿って走る方法もあります。ただ曲がるのではなく、リズムを崩さず加速しながら踏み切りへ入ることを目指します。
踏み切りは「バーへ突っ込む」のではなく上へ跳ぶ
初心者に起こりやすい失敗の一つが、バーを越えようとして横方向へ飛び込んでしまうことです。走り高跳びでは助走の速度も必要ですが、最終的にはそのエネルギーを高さへ変えなければなりません。
短い助走から踏み切り、振り上げ脚の膝を上げながら真上方向へジャンプする練習を繰り返すと、踏み切りの感覚を覚えやすくなります。腕の振りも利用しますが、最初は細かなフォームより「踏み切り足で地面を押して高くなる」感覚を重視するとよいでしょう。
また、踏み切り位置がバーに近すぎると十分に上昇する前にバーへ接近してしまいます。反対に遠すぎてもバーまで届きにくくなるため、指導者に見てもらいながら自分に合った踏み切り位置を探すことが重要です。
背面跳びの空中動作は低い高さから覚える
助走と踏み切りの基本ができてきたら、十分な厚さと広さのある走り高跳び用マットを使用し、低い高さから背面跳びの動作を練習します。最初から記録を狙う必要はありません。
背面跳びでは踏み切った直後から無理やり身体を反らすのではなく、まずしっかり上昇することが大切です。その後、肩や背中がバーを通過し、腰を高い位置に保ち、最後に脚を抜いていく一連の動作につなげます。
初心者はバーが怖くて身体を早く倒してしまう場合があります。低いゴムバーなどを利用して恐怖心を減らし、正しい方向へ踏み切る練習を優先すると安全に習得しやすくなります。
初心者向けの走り高跳び練習メニュー例
1回の練習ですべてを大量に行うより、目的を決めて反復するほうがフォームを身につけやすくなります。例えば次のような流れが考えられます。
| 練習 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ウォーミングアップ | 軽いジョギング、動的ストレッチ | 身体を動かす準備 |
| スキップ・もも上げ | リズムよく脚と腕を動かす | 助走とジャンプの基礎 |
| 片足ジャンプ | 踏み切り足から上へ跳ぶ | 踏み切り感覚の習得 |
| 短助走ジャンプ | 3~5歩程度から踏み切る | 助走と踏み切りをつなげる |
| カーブ走 | 円弧を描くように走る | 背面跳び特有の助走を覚える |
| 低いバーで背面跳び | 高さを求めずフォームを確認 | 一連の動作を習得する |
回数は年齢、運動経験、練習頻度によって変わるため、「必ず何本」と固定する必要はありません。フォームが大きく崩れ始めた状態で何度も全力ジャンプを繰り返すより、十分な休憩を取りながら質の高い試技を行うほうが効果的です。
例えば初心者なら、その日のテーマを「踏み切り位置を安定させる」に絞り、バーの高さを上げずに同じ助走を繰り返す練習も有効です。成功したときの助走開始位置や歩数を記録しておけば、次回の練習にもつなげられます。
初心者が避けたい練習方法
最も避けたいのは、背面跳びの着地環境が十分でない場所で自己流のジャンプを行うことです。背面跳びは背中側から着地するため、適切なマットや設備がなければ危険です。
また、高さだけを追いかけてバーを上げ続ける練習にも注意が必要です。助走が毎回違う、踏み切り位置が安定しない、バーへ飛び込んでいるという状態なら、一度高さを下げて基本動作へ戻ったほうが結果的に上達が早くなります。
背面跳びは、可能な限り陸上競技の指導者や経験者にフォームを確認してもらい、走り高跳び用の安全な設備で練習してください。特に初心者の場合、自分では気づきにくい助走位置や踏み切り方向の問題を第三者から確認してもらう価値があります。
まとめ
走り高跳び初心者が背面跳びを覚えるなら、最初から高いバーへ挑戦するのではなく、基礎運動、片足踏み切り、短助走、カーブ助走、低いバーでの背面跳びという順番で練習すると理解しやすくなります。
特に最初の目標にしたいのは、毎回ほぼ同じ助走から同じ位置で踏み切り、前ではなく上方向へ身体を運べるようになることです。高さは、その動作が安定してから少しずつ上げていけば十分です。
背面跳びは技術性が高い一方、助走・踏み切り・空中動作を一つずつ練習すると初心者でも段階的に身につけられます。安全なマットを使用し、指導者の確認を受けながら基礎フォームを作ることが、記録を伸ばすための近道です。

コメント