ベンチプレスは平気なのにラーセン・足上げ・インクラインで肩が痛い原因は?フォーム差と右肩痛のチェックポイント

トレーニング

通常のベンチプレスでは肩が痛くないのに、ラーセンプレス、足上げベンチ、インクラインプレスにすると片側の肩だけ痛む場合、単純に「肩が弱い」というより、種目を変えたことで肩関節や肩甲骨にかかる負担、バーの軌道、胸郭の姿勢が変化している可能性があります。

特にラーセンプレスや足上げベンチでは脚による安定性が減り、通常のベンチプレスより上半身だけで姿勢を維持する必要があります。インクラインプレスでは上腕を前方へ上げる角度が大きくなるため、肩前面への負荷が増えやすくなります。

右肩だけに痛みが出る場合は、左右の肩甲骨の固定、バーの握り位置、肘の開き方、胸椎の可動性などに左右差がある可能性も考えられます。ただし肩痛には腱板、上腕二頭筋腱、肩鎖関節などさまざまな組織が関係するため、痛みだけから原因を断定することはできません。

通常のベンチプレスでは痛くないのに別種目で痛む理由

通常のベンチプレスでは、足を床へつけてレッグドライブを使い、胸をある程度高くした姿勢を作れます。この姿勢では肩甲骨をベンチへ押し付けやすく、バーを胸の比較的低い位置へ下ろせます。

一方、ラーセンプレスや足上げベンチでは脚からの支持が弱くなります。その結果、胸郭の高さが落ちたり、肩甲骨の固定が不十分になったりすると、バーを下ろしたときに上腕骨が肩関節の前方へ移動しやすくなることがあります。

通常のフォームだけ痛くない場合、普段はアーチやレッグドライブによって肩への負担をうまく減らせているものの、それを外したときにフォーム上の弱点が表面化している可能性があります。

ラーセンプレスで肩が痛くなる原因として考えられること

ラーセンプレスは脚をベンチ前方へ伸ばしたり浮かせたりして行うため、通常のベンチプレスより身体の安定性が低下します。脚で身体を固定できないため、バーを下ろしたときのわずかな左右差も肩へ伝わりやすくなります。

例えば右側だけ肩甲骨が前へ出てしまうと、右上腕だけが必要以上に後方へ下がり、肩前面にストレスが集中することがあります。通常のベンチでは脚による全身の張りによって、この左右差が目立ちにくい場合があります。

またラーセンプレスでは通常より胸が低くなりやすいため、同じバーの下ろし位置でも実際には肩関節の伸展量が大きくなります。つまり「いつもの位置まで下ろしているだけ」でも、肩にとっては通常より深い可動域になっている可能性があります。

足上げベンチでも同じ問題が起こりやすい

足上げベンチでは足をベンチ上へ置くため、腰のアーチが小さくなりやすく、胸郭も通常のベンチほど高く保ちにくくなります。

胸が低くなれば、バーが胸へ触れるまでの距離が長くなります。その結果、ボトムポジションで上腕が体幹より深く下がり、肩前面に大きな伸張ストレスが加わる場合があります。

特に肩に違和感がある人では、足上げだからといって必ず胸へタッチする必要はありません。痛みが出る直前までの可動域に制限し、軽重量でフォームを確認する方が安全です。

インクラインプレスでは肩前面の負担が増えやすい

インクラインプレスはベンチ角度を上げるほど、水平プレスというよりショルダープレスに近い動作になります。そのため大胸筋上部だけでなく、三角筋前部や肩周囲の組織の関与も増えます。

ベンチ角度が高すぎる場合、肩に問題がなくても前側へ疲労を感じやすくなります。さらに肘を真横へ大きく開いてバーを鎖骨付近へ下ろすフォームでは、肩関節への負担が増えることがあります。

インクラインで肩が痛む場合は、まず30度前後の低めの角度から試し、肘を少し身体側へ寄せる、バーまたはダンベルを必要以上に深く下ろさない、といった調整が考えられます。

右肩だけ痛むなら左右差を確認したい

片側だけ痛む場合には、左右のフォームが同じに見えても実際には微妙に違うことがあります。

例えば右手だけバーを広く握っている、右肘だけ外へ開いている、右肩甲骨だけベンチから浮く、バーが右側へ傾いている、といった小さな左右差です。重量が重くなるほど、この差が大きな負担につながることがあります。

正面と頭側から動画を撮影し、バーの傾き、肘の位置、肩の高さを比較すると左右差を確認しやすくなります。

肩甲骨を「寄せる」だけでは足りない

ベンチプレスでは「肩甲骨を寄せる」とよく言われますが、単に左右へ寄せるだけでは十分でない場合があります。

肩甲骨を軽く寄せながら下方向へ安定させ、胸郭の上に肩甲骨が安定した状態を作ることが重要です。ただし力いっぱい固定しすぎると自然な動きを妨げることもあります。

特にラーセンや足上げでは、脚による全身のテンションが弱いため、通常のベンチより肩甲骨のセットが崩れやすくなります。セットアップ時に左右の肩を均等にベンチへ乗せられているか確認するとよいでしょう。

肘を開きすぎていないか確認する

ボトムポジションで肘が身体に対してほぼ90度近く開いている場合、肩前面への負担が増える人がいます。

一般的には、肘を完全に真横へ広げるのではなく、上腕と体幹の角度を少し狭くし、前腕が床に対しておおむね垂直になるグリップ幅を探すと安定しやすくなります。

ただし「肘は必ず45度」といった一律の正解はありません。骨格、腕の長さ、グリップ幅によって適切な角度は異なるため、痛みのない範囲で調整する必要があります。

バーを下ろす位置が高すぎる可能性もある

ベンチプレスでバーを鎖骨に近い高い位置へ下ろすと、肘が開きやすくなり、肩関節の負担が増えることがあります。

通常のベンチではアーチがあるため問題なくても、足上げやラーセンで胸が低くなると、同じ位置へバーを下ろすことで肩の角度が大きく変化します。

みぞおち寄りまで極端に下げる必要はありませんが、乳頭付近からやや下側など、前腕が安定して肩に痛みの出ないポイントを探すことが重要です。

グリップが広すぎる場合も肩に負担がかかる

広いグリップではバーの移動距離を短くできますが、そのぶんボトムで肩関節が外転した状態になりやすくなります。

特にアーチが小さい足上げやラーセンでは、広いグリップと深いボトムの組み合わせによって肩が強く伸ばされることがあります。

現在より指1~2本分ほど狭くして、同じ重量より軽い重量で試してみると、肩への負担が変化するか確認できます。

インクラインの角度を上げすぎていないか

インクラインプレスではベンチ角度が45度、60度と高くなるほど三角筋前部の仕事が増えます。

上胸を狙う目的なら、20~30度程度でも十分にインクラインとして機能します。肩に痛みがある人では、角度を低くするだけで症状が軽くなる場合があります。

角度を下げても痛む場合は、単なる角度の問題ではない可能性もあるため、その種目を続けて無理に慣らそうとしない方がよいでしょう。

肩前面が痛む場合に関係しやすい組織

ベンチプレス系動作で肩前面に痛みが出る場合には、上腕二頭筋長頭腱や腱板、肩峰下周辺、肩関節前方の組織などが関係している可能性があります。

ただし痛む位置だけで「インピンジメント」「腱板炎」などと自己診断することはできません。同じ場所に痛みを感じても原因は異なることがあります。

押す動作以外でも痛む、腕を上げるだけで痛い、夜間にも痛い、筋力低下がある場合は、トレーニングフォームだけの問題として処理せず整形外科などで評価を受ける方が安全です。

肩の後ろ側が痛む場合は深さにも注意

ボトムで肩後方が詰まるように痛む場合は、深く下ろしすぎていることや、肩甲骨と上腕骨の動きが合っていないことも考えられます。

ラーセンや足上げでは胸が低くなるため、バーを胸へ触れさせることにこだわると通常より深い肩関節伸展になります。

痛みがない高さで一度止める「Spoto Press」のような方法に変更すると、深さが原因かどうかを切り分ける一つの方法になります。ただし痛みが強い状態で無理に試す必要はありません。

ウォームアップ不足だけが原因とは限らない

肩が痛いと「もっとチューブで肩を温めればよい」と考えがちですが、ウォームアップを増やしてもフォームや負荷設定が原因なら根本的には改善しません。

もちろん軽い外旋運動、肩甲骨周囲の動き、軽重量のベンチなどで身体を温めることは有効ですが、それでも特定種目だけ痛むなら、その種目特有のポジションを確認する必要があります。

特に痛みを我慢してアップセットを重ねるのは避け、最初の軽重量から痛むのであればその日の該当種目は中止する方が安全です。

重量を通常ベンチと同じ感覚で設定していないか

ラーセンプレスや足上げベンチは通常のベンチプレスより安定性が低く、同じ重量でも上半身への負担が大きくなります。

通常ベンチの80~90%程度でも、人によっては十分に高強度です。インクラインも通常ベンチより扱える重量は一般的に低くなります。

フォーム確認を目的とするなら、まず普段よりかなり軽い重量から始め、痛みがない範囲で徐々に上げる方が原因を特定しやすくなります。

右肩痛の原因を切り分けるチェック方法

チェック項目 確認する内容
グリップ幅 左右同じ位置を握っているか、広すぎないか
肘の角度 右肘だけ外へ開いていないか
バー軌道 右側だけ高い・低いなど傾いていないか
肩甲骨 右肩だけ前へ出ていないか
ボトムの深さ 胸へ触れる直前だけ痛くないか
インクライン角度 角度を下げると痛みが減るか
重量 軽重量でも同じ場所が痛むか
日常動作 腕を上げる・後ろへ回す動作でも痛むか

この中で一つだけを正解と考えるのではなく、軽重量で条件を一つずつ変えて症状がどう変化するかを見ると原因を絞りやすくなります。

まず試すなら通常ベンチとのフォーム差を小さくする

通常のベンチが痛くないのであれば、まずそのフォームを基準にして変化を小さくすると原因を探しやすくなります。

例えばラーセンなら、完全にアーチを消すのではなく胸郭の高さと肩甲骨のセットは通常ベンチに近い状態を維持します。足上げでも腰を完全にベンチへ押し付ける必要はなく、自然な脊柱のカーブを残す方法があります。

インクラインなら最初は20~30度程度に設定し、ニュートラルグリップのダンベルプレスなど肩が楽な方法から試すのも選択肢です。

ダンベルにすると痛みが減る場合がある

バーベルでは両手が一本のバーで固定されるため、左右それぞれの肩に合った軌道へ自由に動かすことができません。

ダンベルなら手首の向きや肘の角度を個別に調整できます。手のひらを完全に前へ向けるのではなく、やや向かい合わせにしたニュートラル寄りのグリップにすると肩が楽になる人もいます。

ただしダンベルなら必ず安全というわけではありません。深く下げすぎれば同じように肩へ負担がかかるため、痛みのない可動域を優先します。

痛みを我慢して続けるのはおすすめできない

筋肉の疲労感と関節周辺の痛みは別物です。特に片側の肩へ鋭い痛みや引っかかりを感じる場合は、「続ければ慣れる」と考えて反復しない方がよいでしょう。

痛みをかばってフォームが崩れると、右肩だけでなく反対側や肘にも負担が広がる場合があります。

痛みが出る種目はいったん中止し、痛みのない通常ベンチも重量や頻度を一時的に下げながら様子を見るのが無難です。

医療機関を受診した方がよい目安

トレーニング時だけの軽い違和感で、負荷を下げれば完全に消える場合はフォーム調整で改善することもあります。しかし一定期間休んでも改善しない場合には評価を受けることをおすすめします。

特に、安静時にも痛む、夜寝ていると痛む、腕が上がらない、明らかな筋力低下がある、腫れや変形がある、急な外傷後から痛い、といった場合は早めに整形外科などへ相談してください。

スポーツ整形やトレーニングに詳しい理学療法士などに実際のベンチフォームを見てもらえると、肩の状態だけでなく動作上の左右差まで評価しやすくなります。

まとめ|通常ベンチだけ平気なら「安定性・深さ・肩角度」の変化を疑う

通常のベンチプレスでは肩が痛くないのに、ラーセンプレス、足上げベンチ、インクラインプレスで右肩だけ痛む場合、種目変更によって肩甲骨の安定性が低下したり、ボトムで肩が通常以上に深く伸ばされたりしている可能性があります。

ラーセンや足上げでは胸郭が低くなりやすいため、普段と同じようにバーを胸まで下ろすだけでも肩関節の可動域が大きくなります。インクラインでは上腕を前方へ上げる角度が増えるため、肩前面への負担が増えやすくなります。

右側だけ痛むのであれば、右肘だけ開いていないか、右肩甲骨が前へ出ていないか、グリップ幅が左右でずれていないか、バーが傾いていないかを動画で確認するとよいでしょう。

調整するなら、重量を下げる、グリップを少し狭める、肘を開きすぎない、ボトムを少し浅くする、インクライン角度を20~30度程度へ下げるといった方法を一つずつ試すと原因を切り分けやすくなります。

ただし肩痛の原因はフォームだけではなく、腱板や上腕二頭筋腱、肩鎖関節など複数の組織が関係する可能性があります。特定種目で繰り返し同じ右肩痛が出る、日常生活でも痛む、休んでも改善しない場合は、無理にプレス種目を続けずスポーツ整形などで評価を受けることが重要です。

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