剣道の試合に臨む際、「相手のどこを見ればいいのか?」という疑問を持つ方は多いものです。打突部位ばかりに目を向けると、相手に狙いを読まれてしまう可能性があり、また防御や反撃の際に遅れてしまうこともあります。この記事では、試合中の視線の使い方や、相手に攻め込まれたときの反撃方法について詳しく解説します。
試合中は「全体を見る」意識が大切
剣道の指導ではよく「相手の目を見る」や「胸を見る」と言われますが、実際には一部分に集中するのではなく、相手の全体を捉える意識が効果的です。これを「正眼で相手を観る」と言います。胸や喉元あたりを基準に視線を置くと、相手の上段・中段・下段の動きすべてを把握しやすくなります。
実際に強豪選手は、相手の目や竹刀先に釣られず、相手全体の気配を感じるようにして攻防を展開しています。部分に囚われるよりも「気配を観る」ことが勝敗を分けます。
打突部位を見ない方が良い理由
面や小手などの打突部位をチラチラ見てしまうと、相手はその意識を敏感に察知し、逆に隙を突かれることがあります。例えば「小手を見ているな」と気づかれると、面や突きで反撃されやすくなります。
そのため、目線はあくまで中正の位置に置き、打突部位は視界の端で自然に捉えるようにすることが重要です。これは剣道だけでなく、他の武道やスポーツでも共通する「視野の広さ」を活かした戦い方といえます。
相手に攻め込まれているときの反撃方法
一方的に打たれてしまうと焦ってしまいますが、防御だけに意識を向けるとますます受け身になります。反撃の基本は「相手の攻めに合わせて打ち返す」ことです。例えば、相手が面に来た瞬間に小手を返す「小手返し面」や、相手の打突に合わせて竹刀を弾いて反撃する「応じ技」が有効です。
また、下がりながら守るのではなく、一歩踏み込んで相手の間合いを崩すのも有効な方法です。気持ちで引いてしまうとますます打たれるため、反撃の意思を強く持つことが大切です。
反撃の実例:小手返し面と出小手
代表的な反撃技として「小手返し面」があります。相手が小手を狙ってきた瞬間に竹刀を捌き、すぐに面を打ち返す技です。これにより相手は不用意に小手を出せなくなり、こちらの攻めが有利になります。
もう一つは「出小手」。相手が面に来ようと踏み込んだ瞬間に、その腕を打つ技です。相手の動き出しを狙うことで、攻め込まれている状況を逆転できます。
まとめ
剣道の試合において大切なのは、相手の特定の部位を見るのではなく、全体を捉えて気配を感じることです。打突部位を見すぎると相手に読まれるため注意しましょう。また、攻め込まれたときには受け身にならず、応じ技や反撃技を積極的に使うことで流れを変えることができます。日々の稽古で「視野の広さ」と「反撃の引き出し」を意識することで、試合での対応力が大きく向上するでしょう。
コメント