近年、アディゼロフィネスのような厚底スパイクを愛用する短距離選手が増えています。しかし練習においては、厚底だけでなく薄底シューズを取り入れるべきか悩む選手も少なくありません。ここでは厚底と薄底の特徴や練習での使い分けの重要性について解説します。
厚底スパイクのメリットと課題
厚底スパイクは反発性と推進力が高く、最大スピードを引き出すのに適しています。その一方で、クッション性が高いぶん接地感覚が曖昧になりやすく、細かな動きの習得には向かない側面があります。
試合で使用することを前提とすると、厚底の感覚に慣れることは不可欠ですが、常に厚底だけで練習すると基礎的な走力やフォームの確認がしにくくなる可能性があります。
薄底シューズを練習に取り入れる意味
薄底シューズは地面との距離が近いため、接地感覚や体の使い方を磨くのに効果的です。特にウィンドスプリントや基礎的なランニングドリルでは、薄底を使用することで脚のバネや姿勢を正しく意識しやすくなります。
例えば、短い距離の流し(50m前後)を薄底で行うことで、足裏の感覚や接地の速さを鍛えることができます。これは厚底では得られにくいトレーニング効果です。
練習メニューごとのシューズ選び
厚底と薄底を併用する場合、次のような分け方が効果的です。
- 厚底:試合想定の全力疾走やタイムトライアル
- 薄底:基礎ドリル、ウィンドスプリント、補強的なスピード練習
- ランニングシューズ:持久系ジョグやリカバリー走
こうした使い分けにより、フォームの確認とスピード強化の両立が可能となります。
実例:トップ選手のシューズ活用法
実際に多くのトップスプリンターは、練習内容に応じてシューズを使い分けています。試合前の調整では厚底を使用しつつ、基礎練習では薄底を選び、感覚のリセットを行うケースもあります。
このようなアプローチは、厚底に頼りすぎず、長期的にパフォーマンスを高めるうえで効果的です。
まとめ
厚底スパイクは試合での力を最大限発揮する強力な武器ですが、練習においては薄底シューズを取り入れることでフォームや接地感覚を養うことができます。短距離選手にとっては「厚底に慣れること」と「薄底で基礎を磨くこと」の両立が重要です。練習目的に合わせたシューズ選びを意識し、バランスの取れたトレーニングを行いましょう。
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