北アルプスの奥地にそびえる鷲羽岳と水晶岳は、アルプス登山者にとって憧れの縦走ルートのひとつです。アクセスが難しく、通常は2泊3日以上で計画されることが多いですが、体力と装備次第ではULスタイルで1泊2日の挑戦も現実味を帯びます。ここでは、新穂高温泉を起点に鷲羽岳と水晶岳の両方を踏破するルート案と、現実的なプランについて解説します。
想定ルートの全体像
新穂高温泉から入山する場合、一般的なルートは小池新道を辿り、鏡平山荘~双六小屋~三俣山荘を経由して鷲羽岳へ至ります。その後、水晶岳へは三俣山荘をベースに往復する形が標準的です。
鷲羽岳から水晶岳の往復はコースタイムで約3時間半〜4時間が目安とされ、健脚者なら日帰りピストンも十分可能といえます。
1泊2日プランのモデル例
UL装備を前提とした場合の現実的なプランは以下の通りです。
- 1日目:新穂高温泉 → 鏡平山荘 → 双六小屋 → 三俣山荘(泊)
- 2日目:三俣山荘 → 鷲羽岳 → 水晶岳(往復) → 三俣山荘 → 双六小屋 → 新穂高温泉(下山)
この場合、初日は長時間行動になりますが、三俣山荘で宿泊することで2日目に効率よく鷲羽岳と水晶岳を踏破できます。
宿泊ポイントの検討
1泊プランで最適な宿泊地は三俣山荘です。ここに泊まることで、2日目に水晶岳を含めたピークハントを短時間で行うことが可能になります。双六小屋泊とした場合は2日目の行動距離が大幅に延びるため、時間的に厳しくなります。
テント泊の場合も三俣山荘テント場を利用するのが現実的です。行程に余裕を持たせたい場合は双六小屋泊+三俣山荘泊の2泊3日に切り替える柔軟さも必要です。
体力・経験からみた実現可能性
質問者のように富士山御殿場ルート日帰りや幌尻岳日帰りの経験がある場合、鷲羽岳と水晶岳の1泊2日縦走も十分挑戦可能なレベルといえます。ただし、標高差や長時間行動による疲労、悪天候リスクを考慮すると「無理をしない」判断力が重要です。
特に2日目の下山は20km近い長丁場となるため、早朝出発と計画的な休憩が求められます。
安全に挑戦するためのポイント
- 天気予報を事前に確認し、悪天候が予想される場合は無理せず2泊3日に切り替える
- UL装備でも防寒具・レインウェアは必須
- 行動食・水分補給を計画的に行い、疲労を溜めない
- 万一の下山遅れに備え、ヘッドランプを携行
鷲羽岳・水晶岳はいずれも標高2,900m級の高峰であり、天候変化が急なエリアです。余裕を持った計画が何よりも大切です。
まとめ
新穂高温泉を起点に鷲羽岳と水晶岳を1泊2日で登頂することは、体力と経験があれば十分可能です。最適な宿泊地は三俣山荘で、ここをベースにすることで効率よく両山を踏破できます。ただし、天候や体調次第では迷わず2泊3日に切り替える柔軟性が必要です。無理のない計画で挑戦し、北アルプスの名峰を安全に楽しみましょう。
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