フィギュアスケートの採点を見ていると、テクニカルスペシャリストの判定とジャッジの評価が一致していないように感じる場面があります。特にジャンプの回転不足判定(アンダーローテーション)とGOE(出来栄え点)の関係は、観戦する側にとって分かりにくい部分です。
この記事では、テクニカルスペシャリストとジャッジがそれぞれ何を担当しているのか、回転不足とGOE評価がどのように関係するのかを分かりやすく解説します。
テクニカルスペシャリストとジャッジは役割が違う
フィギュアスケートの採点では、テクニカルパネルとジャッジパネルが別々の役割を担当しています。テクニカルスペシャリストは主に技術要素の種類や回転数、エッジ判定などを確認する役割です。
一方、ジャッジは演技の出来栄えを評価し、各技に対してGOEを付けたり、演技構成点を採点したりします。
つまり、テクニカルスペシャリストが「そのジャンプは何点の技術要素になるか」を判断し、ジャッジが「その技をどれだけ良く実施できたか」を評価するという分担になっています。
アンダーローテーションとダウングレードの違い
ジャンプの回転不足には段階があります。アンダーローテーション(qまたは<)は、回転が少し不足している状態を示します。一方、ダウングレード(<<)は、1回転以上不足していると判断された場合に適用される、より重い判定です。
例えば、トリプルジャンプを跳んだものの回転が3/4回転程度不足していた場合はアンダーローテーションになります。しかし、2回転分しか回っていないと判断される場合はダウングレードになります。
この判定はテクニカルスペシャリストが映像を確認して決定します。そのため、ジャッジが個人的な印象でダウングレード判定を出すことはありません。
アンダーローテーションでもGOEが大きく下がることはある
テクニカルスペシャリストがアンダーローテーションと判定したジャンプに対して、ジャッジが低いGOEを付けることはあります。
これはジャッジがダウングレードだと思ったからではなく、GOEは回転不足以外の要素も含めて評価されるためです。
例えば、着氷が乱れている、空中姿勢が悪い、流れがない、着氷後に余裕がないなどの場合、回転不足が軽度でもGOEは大きくマイナスになる可能性があります。
GOE評価で考慮されるポイント
GOEは単純に「成功したか失敗したか」だけで決まるものではありません。ジャンプの高さや飛距離、着氷の質、入り方、回転不足以外のミスなど、複数の要素を総合して判断されます。
例えば、同じアンダーローテーション判定のジャンプでも、着氷がきれいで流れがある場合と、着氷で大きくバランスを崩した場合では評価が変わります。
そのため、テクニカルスペシャリストが「アンダーローテーション」と判定したジャンプに対し、ジャッジが大きなマイナスGOEを付けることはルール上矛盾ではありません。
テクニカル判定とジャッジ評価が異なって見える理由
観客から見ると、「回転不足なのだからジャッジも同じ判断をしているのでは」と感じることがあります。しかし、実際には確認しているポイントが異なります。
テクニカルスペシャリストは技術的な基準に基づいて判定し、ジャッジは演技全体の質を評価しています。そのため、同じジャンプを見ても、それぞれが異なる視点から判断しています。
また、ジャッジは複数人で構成されており、それぞれの評価には一定の幅があります。そのため、同じ技でもGOEに多少の差が出ることがあります。
まとめ
フィギュアスケートでは、テクニカルスペシャリストとジャッジは別々の役割を持っており、判定基準も異なります。
テクニカルスペシャリストがアンダーローテーションと判断したジャンプでも、ジャッジは着氷の乱れやジャンプ全体の質を見て低いGOEを付けることがあります。
つまり、低いGOEが付いたからといって、ジャッジがダウングレード相当と判断したという意味ではありません。技術判定と出来栄え評価は別々に行われていると理解すると、フィギュアスケートの採点をより深く楽しめます。


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