読売ジャイアンツが2026年シーズンにボビー・ダルベックを獲得した最大の理由は、単純に「資金があるから外国人選手を集めた」というより、メジャーへ移籍した岡本和真が担っていた長打力と一塁・三塁のポジションを短期間で補う必要があったからと考えるのが自然です。
ダルベックはメジャー通算47本塁打を記録し、2021年にはボストン・レッドソックスで25本塁打、78打点をマークした右の長距離打者です。2025年も3Aで100試合以上に出場し、20本を大きく超える本塁打を放っていました。さらに一塁と三塁の両方を守れるため、岡本の離脱によって巨人に生じた補強ポイントとかなり一致していました。[参照:日刊スポーツ]
一方で、「これほど資金力のある球団なのに外国人へ頼るのか」「生え抜きを育てるべきではないか」という疑問も理解できます。ただし、外国人補強と生え抜き育成は本来どちらか一方を選ぶものではありません。2026年の巨人を見ると、ダルベックを中軸で使いながら、泉口友汰、井上温大、浦田俊輔、石塚裕惺、笹原操希ら若い日本人選手も一軍で起用されています。ここではダルベック獲得の背景と、現在の巨人の育成・補強方針を分けて考えていきます。
- ダルベック獲得の最大の理由は「ポスト岡本」だった
- 2025年の巨人には長打力不足という明確な課題があった
- ダルベックは「名前だけの元メジャーリーガー」ではなかった
- 結果論では2026年のダルベック獲得は成功に近い
- 守備面でも一塁と三塁を実際に担当している
- では巨人は本当に「生え抜きを育てていない」のか
- 浦田俊輔の台頭は「育成と補強の両立」を示す例
- 育成選手から支配下へ上がった選手も複数いる
- それでも「巨人らしい生え抜きスターが少ない」という違和感は理解できる
- ただし4番打者は簡単には育成できない
- 外国人選手を使うこと自体は弱点ではない
- 「金満だから外国人を買う」という見方だけでは説明できない
- ダルベック獲得時に球団側が期待していたポイント
- 「外国人に頼る」と「外国人を戦力として利用する」は違う
- FA補強についても同じ考え方ができる
- ダルベックが若手の成長を完全に妨げているとも言い切れない
- 2026年の成績を見ると「補強と育成」が同時進行している
- 巨人ファンが本当に求めているのは「次の岡本」なのかもしれない
- 理想は「ダルベックが打っている間に次世代を育てる」こと
- 2026年の時点ではダルベック獲得の合理性は高い
- まとめ|ダルベック獲得は岡本の穴を埋める即戦力補強、生え抜き育成とは別に考えるべき
ダルベック獲得の最大の理由は「ポスト岡本」だった
2025年までの巨人打線で最も大きな存在だったのが岡本和真です。岡本は長年にわたって本塁打と打点を稼ぎ、一塁・三塁を守りながら中軸を担ってきました。
その岡本がポスティングシステムを利用してメジャー移籍へ向かうことになったため、2026年の巨人には「誰が中軸で長打を打つのか」「誰が一塁または三塁を守るのか」という二つの問題が同時に発生しました。
ダルベックは右打ちの長距離打者で、一塁と三塁を守れます。補強が報じられた段階から、国内メディアでも岡本の穴を埋める「ポスト岡本」の候補として位置づけられていました。[参照:スポニチ]
2025年の巨人には長打力不足という明確な課題があった
ダルベック獲得を理解するには、前年の巨人打線を見ることも重要です。
2025年の巨人はリーグ3位に終わり、岡本が故障で長期間離脱した時期には得点力が大きく低下しました。スポニチによると、2025年はキャベッジの17本塁打がチーム最多で、岡本不在時の得点力不足が大きな課題になっていました。[参照:スポニチ]
この状況で岡本までメジャーへ移籍すれば、「若手が育つまで待つ」だけでは翌年の優勝争いが難しくなります。そこで即戦力の長距離打者を海外から加えることには、チーム編成上かなり分かりやすい理由があります。
ダルベックは「名前だけの元メジャーリーガー」ではなかった
外国人補強では、過去のメジャー実績だけが注目されることがあります。しかしダルベックの場合、巨人加入直前にもマイナーで長打力を維持していました。
2025年は複数球団の傘下でプレーし、3Aでは105試合で25本塁打、82打点と報じられています。つまり数年前のメジャー実績だけを見て契約したわけではなく、直近でも長打を期待できる材料がありました。[参照:日刊スポーツ]
またメジャーでは一塁で多く出場し、マイナーでは三塁経験も豊富でした。中軸打者と一・三塁の両方を補えるため、巨人にとっては編成上の使い勝手が良い選手だったと言えます。
結果論では2026年のダルベック獲得は成功に近い
獲得時点の判断と、実際に活躍したかどうかは分けて考える必要があります。そのうえで2026年8月26日時点の成績を見ると、ダルベックは111試合に出場し、打率.256、21本塁打、70打点、長打率.467を記録しています。[参照:NPB公式・ダルベック年度別成績]
21本塁打、70打点はいずれも巨人打線の中で重要な数字です。少なくとも「なぜ獲ったのか分からない」という成績ではなく、球団が期待した長打力と得点力を実際に提供しています。
もちろん三振も多く、8月26日時点で148三振を記録しているため、弱点のない打者ではありません。しかし中軸候補として求められた本塁打と打点という意味では、補強の目的に沿った働きをしています。
守備面でも一塁と三塁を実際に担当している
ダルベック獲得時には「一塁と三塁を守れる」という点も評価されていました。そして2026年には、その想定通り両方のポジションで起用されています。
NPB公式記録では8月26日時点で、一塁手として88試合、三塁手として40試合に出場しています。一塁では守備率.993を記録しており、規定以上の一塁手としてリーグ上位の数字です。[参照:NPB公式・巨人守備成績]
つまり「外国人の大砲を一人追加した」というだけではなく、岡本が担っていた守備ポジションの一部まで埋める目的があったことが分かります。
では巨人は本当に「生え抜きを育てていない」のか
ここは少し分けて考える必要があります。「以前ほど生え抜きの絶対的スターが見えにくい」という印象と、「若手をまったく育てていない」という事実は同じではありません。
2026年の一軍を見ると、遊撃では泉口友汰が中心となり、二塁では浦田俊輔が多く出場しています。投手では井上温大が先発陣の中心となり、NPB公式のチームページでは8月時点で防御率、勝利、奪三振など複数部門でチームトップとなっています。[参照:NPB公式・読売ジャイアンツ]
また石塚裕惺、笹原操希など若い選手も一軍出場を経験しています。そのため「外国人を獲った=日本人若手を育てていない」という構図ではありません。
浦田俊輔の台頭は「育成と補強の両立」を示す例
2026年の巨人では浦田俊輔のような日本人若手も重要な役割を担っています。
NPB公式記録では、浦田は8月26日時点で打率.280を記録し、二塁手として77試合に出場。守備率.995と安定した数字を残しています。[参照:NPB公式・巨人打撃成績][参照:NPB公式・巨人守備成績]
つまりダルベックを獲得したからといって、すべてのポジションを外国人選手やFA選手で埋めているわけではありません。足りない部分を外部補強しながら、若手が戦力になれば一軍で使うという構成です。
育成選手から支配下へ上がった選手も複数いる
巨人は近年、多数の育成選手を抱えることでも知られています。2026年にも育成契約から支配下へ移った選手が複数います。
NPBの公示では、2026年に宇都宮葵星、平山功太、ティマ、笹原操希、知念大成、代木大和、鈴木大和らが育成選手登録を外れ、支配下へ移行しています。[参照:NPB公式・巨人育成選手登録]
全員が一軍の主力になるとは限りませんが、「育成をしていない」という評価とは少し違う実態があります。むしろ巨人は育成枠をかなり積極的に活用している球団の一つです。
それでも「巨人らしい生え抜きスターが少ない」という違和感は理解できる
一方で、ファンが感じる違和感にも理由があります。
巨人は歴史的に、王貞治、長嶋茂雄、原辰徳、松井秀喜、阿部慎之助、坂本勇人、岡本和真など、球団の顔となる日本人スターを継続的に輩出してきました。その歴史と比較すると、「次の絶対的な4番は誰なのか」という部分が現在は見えにくくなっています。
特に岡本の後任となる4番候補を生え抜きの若手ではなく外国人のダルベックが担っているため、従来の巨人像を強く持っているファンほど「少し違う」と感じるのは不思議ではありません。
ただし4番打者は簡単には育成できない
プロ野球で一軍選手を育てることと、年間30本塁打前後を期待できる4番打者を育てることには大きな違いがあります。
仮に有望な20歳前後の選手がいたとしても、「岡本が抜けたから来年から25本塁打を打ってください」と期待するのは現実的ではありません。長距離打者ほど一軍投手への対応に時間がかかるケースもあります。
そこで即戦力のダルベックに中軸を任せ、その間に石塚裕惺など次世代候補を育てるという考え方は、育成を放棄することとは異なります。
外国人選手を使うこと自体は弱点ではない
NPBでは外国人選手を戦力として利用することは一般的です。優勝する球団でも、外国人投手や外国人打者が中心選手になることがあります。
重要なのは「外国人を使ったか」ではなく、「何のために獲得し、コストに見合った働きをしているか」です。自前で育てにくい長打力を補い、日本人若手が伸びるまでの期間を埋められるのであれば、外国人補強には合理性があります。
むしろ資金力がある球団が、明確な補強ポイントを認識しながら何も補強しない方が、優勝を求められる球団としては批判される可能性があります。
「金満だから外国人を買う」という見方だけでは説明できない
巨人には豊富な資金力があるというイメージがありますが、ダルベック獲得を「お金が余っているから」とだけ説明するのは正確ではありません。
2026年に必要だったのは、右の長距離打者、一塁または三塁を守れる選手、そしてすぐ一軍で起用できる選手でした。ダルベックはこの三つを満たす候補でした。
外国人補強ではNPBへの適応というリスクがありますが、だからこそ巨人はメジャー25本塁打経験と直近3Aでの長打実績を持つ選手を選んだと考えられます。
ダルベック獲得時に球団側が期待していたポイント
2026年1月の入団会見では、水野編成本部長が岡本の退団後を期待していること、一発の長打力に魅力があること、できれば三塁を守ってほしいという趣旨を語っています。[参照:デイリースポーツ]
この発言を見ると、獲得理由はかなり明確です。単なるブランド力のある外国人選手ではなく、「岡本の代わりとなる長打力+三塁または一塁」を期待した補強でした。
実際には2026年シーズンで一塁を中心に三塁でも起用され、8月26日時点で21本塁打、70打点まで数字を伸ばしています。補強時の狙いと実際の起用方法はほぼ一致しています。
「外国人に頼る」と「外国人を戦力として利用する」は違う
チームの主力9人すべてを外部補強で埋め、若手にまったく出場機会を与えないのであれば、「外部戦力に頼りすぎ」という批判には説得力があります。
しかし2026年の巨人では、泉口、浦田、井上など日本人の若い選手が重要な位置を占めています。その中でダルベックが長打力を担当している形です。
この状態なら「外国人頼み」というより、自前選手と外部補強を組み合わせた一般的なプロスポーツのチーム編成と見る方が実態に近いでしょう。
FA補強についても同じ考え方ができる
巨人は歴史的にFA補強が多いことで批判されることがあります。確かに過去には他球団の主力を多数獲得した時代があり、そのイメージが現在まで残っています。
ただ、現代のチーム編成ではドラフト、育成、FA、トレード、外国人獲得を使い分けることが一般的です。一つの獲得方法だけでチームを作る必要はありません。
問題になるとすれば、外部補強した選手を優先することで有望な若手の出場機会が不合理に失われる場合です。したがって球団編成を評価するときは「誰を獲ったか」だけでなく、「その結果、誰の成長機会が失われたのか」まで見る必要があります。
ダルベックが若手の成長を完全に妨げているとも言い切れない
2026年の守備起用を見ると、ダルベックは一塁で88試合、三塁で40試合に出場していますが、三塁では石塚裕惺が21試合、門脇誠が39試合、小濱佑斗が18試合など複数選手も起用されています。[参照:NPB公式]
若手が完全に締め出されているわけではなく、試合状況や選手の成長段階に応じて併用されています。
むしろ石塚のような若い内野手を一年間ずっと4番・三塁として固定し、結果が出なくても責任を負わせ続けることが本当に育成に良いのかという別の問題もあります。ベテランや外国人と競争しながら段階的に一軍経験を増やす方法にも合理性があります。
2026年の成績を見ると「補強と育成」が同時進行している
| 選手 | 主な役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| ボビー・ダルベック | 中軸・一塁/三塁 | 岡本退団後の長打力を補完 |
| 泉口友汰 | 遊撃 | 生え抜きの主力内野手 |
| 浦田俊輔 | 二塁など | 2026年に一軍で大きく台頭 |
| 井上温大 | 先発投手 | チームの先発陣を支える |
| 石塚裕惺 | 三塁など | 次世代の内野手候補 |
| 笹原操希 | 外野 | 育成から支配下へ昇格 |
このように見ると、ダルベックだけを切り取って「巨人は育成をやめた」と判断するのは少し極端です。
ただし将来的に石塚などがレギュラーへ定着し、次の日本人中軸が生まれるかどうかは、巨人の育成力を評価する重要な材料になります。
巨人ファンが本当に求めているのは「次の岡本」なのかもしれない
ファンが感じる物足りなさの本質は、外国人選手がいること自体ではなく、「次に球団の顔になる日本人スターがまだ見えてこない」という点かもしれません。
長嶋、王、原、松井、阿部、坂本、岡本という系譜を見てきた球団だけに、巨人には他球団以上に「自前のスター」を求める文化があります。
その期待は理解できます。しかしスター選手は毎年ドラフトから出てくるものではありません。岡本自身もドラフト1位で入団した後、すぐに4番になったわけではなく、数年間の育成期間を経ています。
理想は「ダルベックが打っている間に次世代を育てる」こと
巨人にとって最も理想的なのは、ダルベックが中軸として得点を稼いでいる間に、日本人の若手が成長することです。
例えば石塚などが数年後に一軍の中軸へ定着すれば、ダルベック獲得は「若手を塞いだ補強」ではなく、「若手が育つまで優勝争いを続けるための橋渡し」になります。
反対に今後も毎年外国人やFA選手だけで中軸を埋め、若手がまったく定着しない状態が続けば、その時には「育成より補強に依存している」という批判がより妥当になるでしょう。
2026年の時点ではダルベック獲得の合理性は高い
少なくとも獲得理由と2026年8月までの結果だけを見るなら、巨人がダルベックを獲得した判断にはかなり合理性があります。
岡本のメジャー移籍で長打力と一・三塁の守備に穴が生じ、前年から得点力にも課題がありました。その条件に対して、メジャー25本塁打経験、3Aでの長打実績、一・三塁を守れるダルベックは補強ポイントに合っています。
さらに実際に111試合で21本塁打、70打点を記録しているため、少なくとも「獲得した意図が分からない」という補強ではありません。[参照:NPB公式]
まとめ|ダルベック獲得は岡本の穴を埋める即戦力補強、生え抜き育成とは別に考えるべき
巨人がボビー・ダルベックを獲得した最大の理由は、岡本和真のメジャー移籍によって失われた右の長打力と一塁・三塁の守備を、即戦力で補う必要があったからです。
ダルベックはメジャー通算47本塁打、2021年に25本塁打を記録し、加入直前の2025年にも3Aで25本塁打、82打点と報じられていました。一塁・三塁の両方を守れることも巨人の補強ポイントと一致していました。[参照:日刊スポーツ]
そして2026年8月26日時点では111試合、打率.256、21本塁打、70打点を記録しています。結果から見ても、中軸の長打力を補うという獲得目的には応えています。[参照:NPB公式]
一方で「巨人には生え抜きスターを育ててほしい」というファン心理にも十分な理由があります。王、長嶋、原、松井、阿部、坂本、岡本と球団を代表する日本人選手が長く存在してきただけに、その系譜を期待するのは巨人という球団ならではでしょう。
ただし現在も泉口友汰、浦田俊輔、井上温大、石塚裕惺、笹原操希など日本人の若手・生え抜き選手が一軍で起用されています。また2026年には複数の育成選手が支配下へ昇格しています。[参照:NPB公式]
そのため現状を「外国人頼みだから育成をしていない」と断定するより、岡本という特殊なクラスの打者が抜けた穴だけは即戦力外国人で埋め、その横で次世代の日本人選手を育てている途中と見る方が実態に近いでしょう。
今後の評価を左右するのは、ダルベックがいることではなく、その間に石塚ら次世代候補がどこまで成長するかです。数年後に生え抜きの新しい中軸が誕生すれば今回の補強は非常に合理的だったと言えますし、反対に外部補強だけが何年も続くのであれば、そこで初めて「巨人の育成はどうなっているのか」という疑問がより重くなるでしょう。


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