ニーオンベリーは利き足の膝でやる?柔術・グラップリングでの基本位置と左右の使い分けを解説

総合格闘技、K-1

柔術やグラップリングで、寝ている相手の胴体付近へ片膝を置いて上からコントロールするポジションは、一般に「ニーオンベリー(Knee on Belly)」と呼ばれます。「ニーオンストマック」「ニーマウント」「ニーライド」などと呼ばれることもあります。

名前から「お腹へ膝を突き刺す技」のように感じるかもしれませんが、基本的には相手の胴体へ膝からスネにかけてを置き、反対側の脚を広げてバランスを取りながらコントロールするポジションです。競技柔術ではポイントになることもある重要なポジションです。

そして、ニーオンベリーで使う膝は「利き足だから右」「利き足だから左」と固定するものではありません。通常は、自分が相手のどちら側にいるか、そこからどちらの膝を入れやすいかによって決まります。実戦的には左右どちらでもできるよう練習するのが基本です。

ニーオンベリーとはどんなポジション?

ニーオンベリーは、トップポジションの選手が相手の胴体へ片方の膝またはスネを置き、もう一方の脚を横へ出してバランスを取るコントロールポジションです。

柔術ではサイドコントロールから移行することが多く、相手を押さえ込みながらも、自分は比較的自由に移動できます。そのためマウントのような固定型のポジションとは少し性格が異なり、相手の反応に合わせてマウント、バック、反対側へのニーオンベリーなどへ移行しやすいのが特徴です。

JJIFのルールでは、相手が仰向けまたは横向きの状態で、上の選手が膝またはスネを腹部・胸部・肋骨付近へ置き、反対の膝をマットから浮かせた状態を3秒安定させると2ポイントになると定義されています。[参照:JJIF Jiu-Jitsu Rulebook]

利き足の膝を使えばいいわけではない

ニーオンベリーでは、サッカーのキックのように「利き足」が直接的な基準になるわけではありません。

例えば相手の右側でサイドコントロールをしている場合、その位置から自然に相手の胴体へ入れられる側の膝を使います。反対側へ回れば、反対の膝を使うことになります。

つまり、「自分は右利きだから必ず右膝」という覚え方をすると、相手の反対側へ回ったときに動けなくなってしまいます。左右どちらのニーオンベリーも一つの技術として覚える方が実戦的です。

基本は「相手に近い側の膝」を使うことが多い

サイドコントロールからニーオンベリーへ移る一般的な形では、相手の胴体に近い側の膝を相手へ乗せます。

例えば自分が相手の右側にいるなら、相手側に近い脚を持ち上げ、その膝・スネを胴体へ入れます。そして反対の脚は横方向へ広げ、支えとして使います。

この形にすると、相手へ圧力をかけながらも自分の重心を調整しやすくなります。BJJ Universityでも、ニーオンベリーは片方の膝とスネを相手の胴体へ置き、反対側の脚を横へ伸ばして安定性を確保するポジションとして説明されています。[参照:BJJ University]

膝だけをお腹へ突き刺す技ではない

初心者が名称だけを聞くと、「膝の先端を相手のお腹へ強く押し込む」と考えてしまうことがあります。

しかし基本的なニーオンベリーでは、膝だけではなくスネも相手の胴体に沿わせるように使います。そして膝へ全体重を集中させるのではなく、反対の足や自分の姿勢を使って体重配分を調整します。

Rickson Gracieの教材でも、ニーオンベリーでは体重を膝だけにすべて乗せるのではなく分散させ、反対側の脚でバランスを取りながら相手の動きについていくことが説明されています。[参照:Rickson Gracie Self Defense Unit]

どの位置へ膝を置くのが正しい?

競技ルール上は腹部だけに限定されず、腹部・胸部・肋骨付近へ膝またはスネを置く形がニーオンベリーとして扱われるルールもあります。

ただし練習では、相手を必要以上に痛めるためにみぞおちへ膝を突き刺すような使い方をする必要はありません。特に初心者同士では、まず安定したポジションを維持することを優先した方がよいでしょう。

相手の腹部から骨盤付近へスネを沿わせ、自分の姿勢を起こしながら反対脚でベースを取ると、圧力を調整しやすくなります。

反対側の脚は何をしている?

ニーオンベリーでは、相手へ乗せていない方の脚が非常に重要です。

この脚を横や斜め後方へ伸ばすことで、自分の身体が簡単に倒れないようにベースを作ります。相手がブリッジをしたり横向きになったりした場合も、この脚で床を捉えながら重心を調整します。

そのため実際には「どちらの膝を置くか」だけでなく、反対脚でどの位置にベースを作るかがニーオンベリーの安定性を大きく左右します。

ニーオンベリーは固定するより相手について動く

ニーオンベリーはサイドコントロールほど身体全体で相手を押さえ込むポジションではないため、相手が大きく動くと外されやすい特徴があります。

そのため「膝で相手を床へ押し付け続ける」というより、相手が逃げる方向に合わせて自分の重心や脚の位置を変えていく感覚が重要です。

例えば相手が自分側へ向いてきたら位置を調整し、反対側へ逃げればマウントやバックへの移行を狙います。ニーオンベリーは相手を完全に停止させるだけのポジションではなく、相手の動きを利用して次のポジションへ進むためにも使われます。

右ニーオンベリーと左ニーオンベリーの両方を練習した方がいい

最初は利き手・利き足側の方がバランスを取りやすく感じることがあります。右利きの人が右側のニーオンベリーだけ得意になることも珍しくありません。

しかし柔術では、試合中に相手のどちら側へパスできるかを自由に選べるとは限りません。右側のサイドコントロールになることもあれば左側になることもあります。

そのため練習では「右から5回、左から5回」のように左右を同じ回数行う方法がおすすめです。慣れてくると、利き足という感覚より「今いる側から自然に膝を入れる」という感覚になります。

左右で得意不得意があるのは普通

左右を練習してみると、片側だけ非常に安定し、もう片側ではバランスを崩すことがあります。

これは必ずしも膝そのものの問題ではありません。股関節の可動域、足首の使い方、サイドコントロールでの得意側、手のグリップなど複数の要素が関係しています。

苦手側ではまず強く圧力をかけようとせず、相手なしで膝を置く位置と反対脚のベースを確認するところから始めると感覚をつかみやすくなります。

ニーオンベリーから何につなげる?

ニーオンベリーは、それ自体でコントロールするだけでなく、次の攻撃への中継地点として非常に使いやすいポジションです。

相手が膝を押して逃げようとすれば腕が空き、アームバーなどを狙えることがあります。相手が反対側へ向けば背中が見え、バックを狙える場合があります。また相手の脚が開けば、そのままマウントへ移ることもできます。

そのため上級者はニーオンベリーを長時間固定するより、相手の反応を引き出して次のポジションへ進むために利用することも多くあります。

競技ではポイントになるポジション

柔術系の競技ではニーオンベリーが得点対象になるルールがあります。

JJIFルールでは、上の選手が相手の腹部・胸部・肋骨付近へ膝またはスネを置き、反対の膝を床から離した状態で3秒間安定すると2ポイントです。[参照:JJIF Rulebook]

反対側の膝を床についてしまうと、正式なニーオンベリーとして完成していない扱いになる場合があります。この点からも、相手へ乗せる膝より反対脚のベースが重要であることが分かります。

初心者がやりがちな失敗

よくある失敗 問題点 改善の考え方
利き足側しかできない 反対側から攻められない 左右同じ回数練習する
膝の先だけを突き刺す 不安定で練習相手にも負担が大きい 膝とスネを使って面でコントロール
全体重を膝だけに乗せる 相手のブリッジで崩れやすい 反対脚にも体重を分散する
反対膝を床につく ニーオンベリーの機動性が失われる 反対脚を広げてベースを作る
相手が動いてもそのまま固まる 簡単に外される 相手の動きに合わせて重心を変える

特に最初は「強く押すこと」より「相手が動いても自分が倒れないこと」を優先すると上達しやすくなります。

練習では相手への圧力を調整する

ニーオンベリーは体重のかけ方によってかなり強い圧力を発生させられるポジションです。そのため練習相手へいきなり全体重を乗せるのは避けた方がよいでしょう。

技術練習では、まず軽い圧力で位置とバランスを確認し、相手が動いたときについていく練習をします。スパーリングになれば競技レベルに合わせて必要な圧力を使います。

特に体格差が大きい相手や初心者を相手にするときは、膝の先端をみぞおちへ強く押し込むような使い方は避け、安全に練習することが大切です。

「右足が利き足なら右ニー」ではなくポジションで決める

整理すると、ニーオンベリーでどちらの膝を使うかは、利き足よりも自分が相手のどちら側からコントロールしているかで決まることが一般的です。

右側からサイドコントロールしていれば、その位置から相手に近い側の膝を使い、左側へ回れば反対側を使います。

そのため「利き足は右だから常に右膝」という意識より、「相手に近い膝を自然に入れ、反対脚でベースを取る」と覚えた方が実戦で応用できます。

まとめ|ニーオンベリーは利き足ではなく位置に合わせて左右を使う

寝ている相手の胴体へ片膝を置いて上からコントロールするポジションは、一般にニーオンベリー(Knee on Belly)と呼ばれます。

使用する膝は「自分の利き足の膝」と決まっているわけではありません。基本的には、サイドコントロールなどで自分が相手のどちら側にいるかによって、自然に入れられる側の膝を使います。

また、ニーオンベリーでは膝だけを相手のお腹へ突き刺すのではなく、膝からスネにかけてを使って胴体をコントロールし、反対脚を横へ広げてバランスを取ります。JJIFの競技ルールでも、相手の胴体へ膝またはスネを置き、反対の膝をマットから離して安定させる形がニーオンベリーとして定義されています。[参照:JJIF Jiu-Jitsu Rulebook]

柔術では左右どちら側のサイドコントロールになるか分からないため、右ニーオンベリーと左ニーオンベリーの両方を練習しておくのがおすすめです。最初は得意側からフォームを覚え、その後反対側でも同じ動作を繰り返すと身につきやすくなります。

特に意識したいのは「どちらの膝か」以上に、膝とスネの位置、反対脚のベース、体重配分、相手の動きについていくことです。これらができるようになると、ニーオンベリーからマウントやバック、各種サブミッションへも自然につなげられるようになります。

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