70℃のサウナで5時間でも氷が溶けないクーラーボックスはアイリスオーヤマだけ?真空断熱モデルを比較

キャンプ、バーベキュー

クーラーボックスの保冷性能を紹介する動画では、非常に高温の環境へ製品を置き、内部の氷がどれだけ残るかを見せる実験があります。アイリスオーヤマのHUGEL真空断熱クーラーボックスも高い保冷力で知られており、6面すべてに真空断熱パネルを採用しているのが大きな特徴です。

ただし、高性能な6面真空断熱クーラーボックスを販売しているのはアイリスオーヤマだけではありません。釣具メーカーのダイワやシマノにも6面真空パネルを採用した高保冷モデルが存在し、炎天下や長時間の使用を想定した製品が販売されています。

一方で、「室温70℃で5時間置いても氷が全然溶けない」という個別の動画実験と、各メーカーが公表している保冷性能試験は条件が異なります。そのため、動画だけを見て他社製品より必ず優れていると判断するより、断熱構造、容量、氷の量、メーカーの試験条件まで確認して比較することが重要です。

アイリスオーヤマのHUGELは何がすごい?

アイリスオーヤマのHUGEL真空断熱クーラーボックスは、冷蔵庫にも使われている技術を応用し、天面・底面・側面を含む6面すべてに真空断熱パネルを採用しています。

さらに真空断熱パネルだけではなく、高密度の発泡ウレタンも組み合わせています。真空パネルで熱の侵入を抑え、パネル同士の隙間などを発泡ウレタンで補う構造です。[参照:アイリスオーヤマ HUGEL真空断熱クーラーボックス]

2026年モデルでは、20LのVITC-20Rが最大約7日、40LのVITC-40Rが最大約14日の保冷力をうたっています。従来モデルの40Lについても、約40℃の環境下で約55時間の保冷状態を維持する試験結果が公式に公表されています。[参照:アイリスオーヤマ公式発表]

70℃で5時間という動画はメーカー公式の標準試験とは別に考える

質問で挙げられている動画のような高温試験は、クーラーボックスの断熱性能を視覚的に理解するうえでは非常に分かりやすいものです。

しかし、その結果を製品同士の厳密な比較に利用する場合には注意が必要です。クーラーボックス内へ入れた氷の重量、氷の形状、事前に本体を冷やしたか、室内温度がどれだけ安定していたか、箱の容量に対する氷の割合などによって結果は大きく変わります。

例えば40Lの箱へ大量の氷を入れる場合と、同じ40Lへ小さな氷を数個だけ入れる場合では、当然ながら5時間後の状態は違います。したがって「70℃で5時間氷が残った」という結果は高い断熱性を示す材料にはなりますが、その数字だけで他社との優劣を断定するのは難しいでしょう。

アイリスオーヤマだけではない|ダイワにも6面真空パネルモデルがある

非常に高い保冷力を求める場合、釣具メーカーのダイワは有力な比較対象です。

ダイワの上位クーラーボックスには、6面真空パネルと発泡ウレタンを組み合わせたZSS・VSSクラスがあります。ダイワ公式では、真空パネルの熱伝導率を約0.002~0.008W/mKとしており、同社が使用する断熱材の中で最も高性能と説明しています。[参照:DAIWA クーラーボックスの断熱構造]

またダイワは、6面真空パネルモデルについて「炎天下での長時間使用や真夏の車中など、とても過酷な条件下での使用を想定した高保冷力モデル」と説明しています。つまり、暑い車内や夏場のアウトドアを想定したハイエンド製品はアイリスオーヤマ独自ではありません。

ダイワのPV-REXには極厚6面真空モデルもある

ダイワのPV-REXシリーズには、6面すべてに真空パネルを使ったモデルだけでなく、「極厚真空6面」を採用したZSS EXグレードも存在します。

例えばPV-REX ZSS2800 EXは、極厚の6面真空パネルとウレタンを組み合わせ、ダイワ独自基準でKEEP150という保冷力が示されています。通常のZSS2800も6面真空パネルとウレタンでKEEP130です。[参照:DAIWA PV-REX]

したがって、純粋に「6面真空断熱で長時間保冷できる製品」という条件なら、アイリスオーヤマ以外にも明確な選択肢があります。

シマノにも6面真空パネルの高級クーラーがある

シマノも釣り用クーラーボックスで非常に高い保冷性能を追求しているメーカーです。

シマノ公式ではPREMIUMシリーズに、上面・側面・底面の6面全面へ真空パネルを採用しています。FIXCELの17L・22L・30Lなどでは6面真空パネルとウレタンを組み合わせた構造になっています。[参照:シマノ クーラー断熱構造]

2026年時点のフィクセルシリーズには、22Lで「6面極厚真空パネル+発泡ウレタン」のモデルや、30Lで同じく6面極厚真空パネルを採用した上位モデルがあります。[参照:SHIMANO FIXCEL]

シマノのスペーザにも6面真空モデルがある

シマノの大型クーラーではSPA-ZA PREMIUMも比較対象になります。

25Lのスペーザ プレミアム250、35Lのスペーザ プレミアム350などには6面真空パネルが採用されています。こちらは発泡ポリスチレンと組み合わせた構造です。[参照:SHIMANO SPA-ZA]

つまり国内メーカーだけを見ても、アイリスオーヤマ、ダイワ、シマノなど複数社が6面真空断熱の高性能クーラーを販売しています。

なぜ真空断熱パネルは保冷力が高いのか

クーラーボックス内へ熱が入る主な経路の一つが、箱の壁を通じた熱伝導です。

一般的な発泡スチロールに比べ、真空断熱パネルは熱を伝えにくい構造になっています。ダイワが公開している目安では、真空パネルの熱伝導率は約0.002~0.008W/mK、発泡ウレタンは約0.02~0.03W/mK、発泡スチロールは約0.03~0.04W/mKです。[参照:DAIWA 断熱材比較]

数値が小さいほど熱を通しにくいため、同じ厚みという単純比較ではありませんが、真空パネルが非常に高性能な断熱材であることが分かります。

「真空6面」なら全部同じ性能になるわけではない

ここで注意したいのは、6面真空パネルを採用していれば、どの商品も同じ保冷性能になるわけではないことです。

真空パネル自体の厚さ、配置、面積、発泡材の種類と厚さ、フタのパッキン、開口部の構造、本体サイズなどでも性能が変化します。

例えば同じ断熱材を使用していても、容量15Lと60Lでは表面積と内容積の関係が違います。そのため、メーカーの異なる製品を比較するときには「6面真空」という文字だけではなく、実際の保冷試験値も確認する必要があります。

クーラーボックスの保冷時間はメーカーごとに試験方法が違う

保冷力の比較を難しくしている最大の理由が、メーカーによって評価方法が異なることです。

例えばシマノでは、外気40℃に調整した恒温室へ、容量の25%に相当する角氷を入れたクーラーを置き、氷がなくなるまでの時間を算出する独自の「COOL」などの指標を使用しています。[参照:SHIMANO 保冷力試験の説明]

アイリスオーヤマにも独自の保冷試験条件があり、ダイワにはKEEP値があります。したがって「14日」「KEEP150」「COOL140」といった数字をそのまま横並びにして順位をつけることはできません。

他社比較では、できるだけ同じ試験条件で測定されたデータを見ることが理想です。

70℃の環境は一般的なアウトドア環境よりかなり厳しい

気温70℃は通常の屋外気温ではありません。ただし夏場の閉め切った車内や、直射日光を受けた物体表面では非常に高温になることがあります。

そのため、高温試験は「真夏の車内へ一時的に置いたときにもどれだけ熱の侵入を抑えられるか」という性能を見るには興味深い方法です。

一方、一般的なキャンプや釣りでは40℃前後の高温環境を基準に比較した方が現実的です。アイリスオーヤマが従来型VITC-40で公表している約40℃・55時間という試験結果も、日常用途を考える際にはこちらの方が参考にしやすいでしょう。

氷が少し溶けること自体は性能不足ではない

クーラーボックスは冷蔵庫のように内部で熱を外へ排出する機械ではありません。電源のないクーラーボックスは、外から入ってくる熱を断熱材によって遅らせているだけです。

したがって外気温が内部温度より高ければ、時間が経つにつれて必ず熱は入ります。氷はその熱を吸収して溶けることで内部を低温に保ちます。

つまり「5時間後に氷が何%溶けたか」だけでなく、その間に内部温度をどの程度低く維持できたかも重要な評価ポイントです。

大型クーラーほど氷を大量に入れる必要がある

クーラーボックスの性能を最大限に引き出すには、容量に対して適切な量の氷や保冷剤を入れる必要があります。

例えば40Lのクーラーへ500mlの保冷剤を1個だけ入れても、本来の保冷性能を十分に発揮できません。内部の食材や飲料そのものが常温であれば、それを冷却するだけでも大量の熱を吸収する必要があります。

長時間保冷したい場合には、飲料や食材を事前に冷蔵・冷凍し、クーラー本体も可能なら事前に冷やしたうえで使用すると効果的です。

フタの開閉回数でも大きく変わる

メーカー試験と実際の使用で結果が違いやすい理由の一つがフタの開閉です。

試験では基本的に長時間フタを閉じた状態ですが、キャンプでは飲み物を取るたびに開けます。フタを開ければ内部の冷たい空気と外部の暖かい空気が入れ替わります。

飲み物専用と食材専用でクーラーを分けたり、頻繁に取り出す物を上部へ配置したりすると、開放時間を短くでき、氷を長持ちさせやすくなります。

直射日光を避けるだけでも保冷力は変わる

高性能モデルを購入しても、真夏のアスファルトや直射日光の下へ長時間置けば熱の侵入量は増えます。

できれば日陰へ置き、熱くなった地面から少し離すと有利です。特に底面からの熱は無視できないため、メーカーによっては底面に真空パネルを重点的に配置したモデルもあります。

つまり実際のアウトドアでは、「最強のクーラーを買う」ことと同じくらい置き場所や使い方も重要です。

アイリス・ダイワ・シマノの特徴を比較

メーカー 代表的な高保冷構造 特徴
アイリスオーヤマ HUGEL 6面真空パネル+発泡ウレタン キャンプ・買い物・釣りなど幅広い用途
ダイワ ZSS/VSS 6面真空パネル+発泡ウレタン 炎天下・真夏の車内など過酷環境も想定
ダイワ ZSS EX 極厚6面真空+発泡ウレタン 釣り用ハイエンドクラス
シマノ FIXCEL UP 6面極厚真空パネル+発泡ウレタン 高保冷の釣り用プレミアムモデル
シマノ SPA-ZA PREMIUM 6面真空パネル+発泡ポリスチレン 大型魚も収納しやすい長型設計

この比較からも、6面真空断熱自体はアイリスオーヤマだけの技術ではないことが分かります。

キャンプ用途ならHUGELはかなり魅力的

釣具メーカーの6面真空モデルは非常に高性能ですが、上位モデルでは価格も高くなりやすくなります。

アイリスオーヤマのHUGELは、冷蔵庫メーカーとして培った真空断熱技術をアウトドア向けへ展開し、キャンプや買い物など一般用途でも使いやすい設計にしている点が特徴です。

そのため「釣り専用ではなく、夏キャンプ・車中泊・防災・買い物にも使いたい」という目的なら、HUGELのバランスは非常に魅力的です。

保冷力だけなら釣具メーカーの最上位モデルも比較したい

一方、とにかく保冷力を優先するならダイワやシマノの最上位モデルまで比較する価値があります。

例えばシマノFIXCEL UP 30Lは6面極厚真空パネル+発泡ウレタンで、シマノ独自の保冷力指標では140。ダイワPV-REX ZSS2800 EXも極厚6面真空パネル+ウレタンでKEEP150とされています。[参照:SHIMANO FIXCEL][参照:DAIWA PV-REX]

メーカー独自試験なので数値を直接比較はできませんが、いずれも非常に高い保冷性能を狙った製品であることは明らかです。

購入時は「何日持つか」より用途から選ぶ

クーラーボックス選びでは最大保冷日数だけを見ると、必要以上に大きく重い製品を購入してしまうことがあります。

日帰りレジャーなら発泡ウレタンモデルでも十分なことが多く、1~2泊キャンプなら高性能ウレタンや一部真空パネルモデルでも対応できます。真夏に数日間使う、釣った魚を長時間低温保存する、災害時の保冷設備としても使いたい場合には6面真空モデルが有利です。

6面真空クーラーは断熱性能が高い代わりに、本体が重く価格も高くなる傾向があります。使用時間と持ち運びやすさのバランスを考えることが重要です。

まとめ|70℃動画のような高保冷クーラーはアイリスだけではない

アイリスオーヤマのHUGEL真空断熱クーラーボックスは、6面真空断熱パネルと発泡ウレタンを組み合わせた非常に高性能な製品です。2026年モデルでは20Lで最大約7日、40Lで最大約14日という保冷性能が公表されています。[参照:アイリスオーヤマ公式]

しかし、「高温環境でも氷を長時間残せる6面真空クーラーボックスはアイリスオーヤマだけ」というわけではありません。ダイワには6面真空パネル+発泡ウレタンや極厚6面真空モデルがあり、シマノにもFIXCEL UPなど6面極厚真空パネル+発泡ウレタンを採用した製品があります。

特にダイワは6面真空モデルを、炎天下や真夏の車中など過酷な条件での長時間使用を想定した製品と明記しています。シマノも6面全面へ真空パネルを採用するPREMIUMシリーズを展開しています。[参照:DAIWA][参照:SHIMANO]

一方、Amazonなどで見られる「70℃で5時間」といった実験と、メーカー公式の40℃試験や独自のKEEP・COOL基準は条件が異なるため、そのまま横並びにはできません。氷の量、容量、予冷、フタの開閉、試験時間などを揃えなければ公平な比較にならないからです。

そのため、キャンプや車中泊を中心に使いやすさと高保冷力を求めるならHUGEL、保冷性能を最優先して釣り用ハイエンドまで含めて探すならダイワZSS系やシマノFIXCEL UPなども比較する、という選び方が合理的です。

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