イタリア代表は近年、ワールドカップでは苦しい結果が続いています。2018年ロシア大会、2022年カタール大会、2026年大会予選では本大会出場を逃すなど、かつて世界王者だったチームとは思えない状況が続きました。
しかし、その一方で2021年に開催されたEURO2020では見事に優勝を果たしています。なぜイタリアはワールドカップでは結果を残せない時期がありながら、欧州選手権では頂点に立つことができたのでしょうか。この記事では、その背景にあるチーム作りや戦術、選手層について解説します。
ワールドカップ予選敗退とEURO優勝は矛盾しない
サッカーでは、代表チームの成績は大会ごとの相性やチーム状態によって大きく変わります。ワールドカップ予選で苦戦したからといって、そのチームが必ず弱いというわけではありません。
特に欧州予選は非常に競争が激しく、強豪国でも一度の失敗で本大会出場を逃すことがあります。イタリアほどの伝統国でも、短期的なチーム再建の時期には予選突破を逃す可能性があります。
一方でEUROは出場国の状況や大会形式が異なり、チームの完成度や勢いが結果に大きく影響します。
マンチーニ監督によるチーム再建が成功した
EURO2020優勝の大きな要因は、ロベルト・マンチーニ監督によるチーム改革でした。
2006年ワールドカップ優勝時のイタリアは、カンナバーロやブッフォン、デル・ピエロなど経験豊富なスター選手を中心とした守備力の高いチームでした。しかし、その世代が離れた後、イタリアは新しい方向性を模索する必要がありました。
マンチーニは伝統的な堅守だけに頼るのではなく、ボールを保持して攻撃する現代的なサッカーへ転換しました。若い選手たちを積極的に起用し、チーム全体の連動性を高めたことが成功につながりました。
EURO優勝時のイタリアはスター軍団ではなく組織力のチームだった
EURO2020のイタリアには、2006年大会のような世界的なスーパースターが多数いたわけではありませんでした。
しかし、ジョルジーニョ、ヴェラッティ、バレッラら中盤の選手を中心に、高い技術と戦術理解を持った選手が揃っていました。また、キエーザやインシーニェなど攻撃陣も特徴を生かし、相手に合わせた戦い方ができました。
守備面ではキエッリーニやボヌッチという経験豊富なセンターバックがチームを支え、若手とベテランのバランスが非常に良い状態になっていました。
イタリアがEUROで強かった理由は無敗記録にも表れている
EURO2020でのイタリアは、グループステージから決勝まで安定した戦いを続けました。大会期間中、攻守両面で完成度の高さを見せ、多くの強豪国を相手に勝ち上がりました。
特に特徴的だったのは、相手に合わせて守備的にも攻撃的にも対応できた点です。以前のイタリアは守備を重視する印象が強かったですが、この大会では積極的に前からプレッシャーをかけるサッカーを展開しました。
単なる守備の国ではなく、現代的な攻撃サッカーもできるチームへ変化していたことが優勝の大きな理由です。
ワールドカップで苦戦した理由
では、なぜEURO優勝後もワールドカップでは苦戦したのでしょうか。
大きな理由の一つは、代表チームの世代交代の難しさです。クラブチームとは違い、代表では限られた期間でチームを作る必要があります。主力選手のコンディションや世代交代のタイミングによって、強さが維持できないことがあります。
また、EURO優勝時の戦術を研究され、相手チームから対策されたことも影響しました。成功したチームほど次の大会では研究対象になるため、継続して結果を出すことは非常に難しいです。
イタリア代表の復活は一時的な幸運ではなかった
EURO2020の優勝は偶然ではなく、監督の明確な方針、選手選考、戦術の浸透が組み合わさった結果でした。
ただし、代表チームは常に選手が入れ替わるため、一度成功したチームを長期間維持することは簡単ではありません。
イタリアは伝統的な守備力に加えて、若手育成や攻撃的なサッカーにも取り組みながら、新しい時代の強豪国を目指している段階と言えます。
まとめ
イタリア代表がワールドカップ予選で苦戦しながらEURO2020で優勝できた理由は、単純に選手の能力が高かったからだけではありません。
マンチーニ監督による戦術改革、経験豊富なベテランと優秀な若手の融合、チーム全体の組織力が大きな要因でした。
サッカーでは大会ごとに求められる力が異なります。ワールドカップ予選敗退という結果だけでイタリアの実力を判断することはできず、EURO優勝はイタリアが再び世界トップレベルに戻る力を持っていたことを証明した出来事でした。


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