フィギュアスケートでGOE−5は実際に付く?採点の仕組みと転倒・重大ミスの評価を解説

フィギュアスケート

フィギュアスケートの採点表を見ると、ジャンプやスピン、ステップなどの各要素にGOE(Grade of Execution/出来栄え点)が付けられています。現在のISUジャッジングシステムでは、GOEは+5から−5までの11段階で評価されるため、制度上はもちろん「−5」という評価も存在します。

ただし、GOE−5は単純に「少し失敗したから付く」というものではありません。また、採点結果として表示される最終的なGOEと、個々のジャッジが入力する−5を区別して考える必要があります。ここではGOE−5がどのような位置付けなのか、転倒との関係も含めて整理します。

フィギュアスケートのGOEは+5から−5まで

ISU(国際スケート連盟)のジャッジングシステムでは、ジャッジが各エレメンツの出来栄えを+5、+4、+3、+2、+1、0、−1、−2、−3、−4、−5の尺度で評価します。したがって、−5は実際に使用できる正式な評価です。

重要なのは、GOEが「技そのものの難易度」を決めるものではない点です。ジャンプなどの種類や回転数、スピン・ステップのレベルなどは技術パネルが認定し、その要素に設定された基礎点に対して、ジャッジが実施の質をGOEで評価します。

つまり同じジャンプを跳んでも、美しい着氷や優れた高さ・流れなどを備えた実施ならプラス方向へ、転倒や重大な着氷ミスなどがあればマイナス方向へ評価される仕組みです。ISU公式サイトでもGOEが+5から−5の尺度であることを確認できます。[参照:ISU Figure Skating Rules]

GOE−5は実際にあり得る

個々のジャッジが−5を付けることは実際にあります。特に、そのエレメンツに重大なエラーがあり、出来栄えを大きく下げる必要がある場合には、GOEは大幅なマイナス評価となります。

例えばジャンプで明確に転倒した場合を考えると分かりやすいでしょう。転倒はジャンプの成功度を大きく損なうため、ジャッジのGOE評価も非常に低くなります。ただし、「転倒したら機械的に全ジャッジが必ず−5」と単純化して覚えるのではなく、そのシーズンに適用されるISUのGOE評価ガイドラインに沿って判断されると理解するのが正確です。

また、ジャンプには回転不足、ダウングレード、踏み切りエッジの問題、不安定な着氷など複数種類のエラーがあります。どのエラーが存在するかによって評価の考え方が変わるため、「ミス=すべて−5」という仕組みではありません。

個々のジャッジの−5と最終GOEは別物

フィギュアスケートの採点を見る際に特に注意したいのが、ジャッジ一人ひとりが付けるGOE評価と、最終的に得点へ反映されるGOEは同じものではないという点です。

ISU大会では最大9人のジャッジによって採点され、各ジャッジのGOEから所定の方法で最高値・最低値を除外したうえで平均を求めます。このため、あるジャッジが−5を付けても、他のジャッジが−4や−3を付けていれば、最終的な評価はそれらを反映した値になります。

例えばジャッジの評価が「−5、−5、−4、−4、−4、−4、−3、−3、−3」のように分かれれば、採用される評価は単純な「全員−5」にはなりません。プロトコルを見ると各ジャッジの評価が掲載されるため、最終GOEだけでなくJ1〜J9の欄を見ると評価の違いが分かります。

GOE−5と「転倒による減点」は別に考える

もう一つ混同しやすいのが、GOEのマイナス評価と転倒によるディダクション(減点)は別の仕組みだという点です。転倒を伴ったエレメンツでは、その技の出来栄えがGOEに影響する一方、プログラム全体の得点から転倒に関する減点が行われる場合があります。

つまり、転倒したジャンプについて「GOEでマイナスになったから、それだけで処理終了」とは限りません。技術点の計算と、最終的なセグメントスコアに対するディダクションを分けて見る必要があります。

実際のISU大会のプロトコルには、エレメンツごとのGOEとは別に「Deductions」の項目があります。採点表を読むときは、基礎点・GOE・ディダクションをそれぞれ別の項目として確認すると理解しやすくなります。

「−5」がそのまま5点減点されるわけではない

GOEについてもう一つ重要なのが、ジャッジが入力した「−5」という数字を、そのまま基礎点から5点引くわけではないことです。GOEの評価尺度と、実際に技術点へ加算・減算される点数は区別されています。

例えば基礎点の高いジャンプと基礎点の低いエレメンツでは、同じGOE評価でも得点への影響額が同じとは限りません。そのため採点表を見る際には、「GOE−5だから−5.00点」と解釈しないことが大切です。

フィギュアスケートの採点を詳しく理解したい場合は、各大会のプロトコルにあるBase Value(基礎点)とGOE、Scores of Panelなどをセットで見ると、各エレメンツが最終的に何点になったのかを追いやすくなります。

GOE−5が珍しく感じられる理由

トップレベルの大会を普段見ていると、きれいに成功したエレメンツが多いため、+2、+3、+4などの数字が目立ちます。そのため−5は非常に特殊な数字のように感じられるかもしれません。

一方、GOEは−5から+5まで幅を持たせることで、単なる「成功・失敗」の二択では表現できない実施品質の差を採点できるようになっています。同じ成功ジャンプでも質には差がありますし、同じ失敗ジャンプでもエラーの内容や程度は異なります。

なお、採点基準や細かなガイドラインはシーズンによって改定されることがあります。特定の大会について「なぜこのジャッジは−5を付けたのか」を検証する場合は、その大会が開催されたシーズンのISUルール・ジャッジ向けハンドブックと公式プロトコルを確認するのが最も確実です。

まとめ

フィギュアスケートのGOEには正式に−5から+5までの11段階が用意されているため、GOE−5が付くことは実際にあります。重大なエラーを伴ったエレメンツでは、個々のジャッジから−5が提示されることもあります。

ただし、「一人のジャッジが−5を付けたこと」と「最終GOEが最低評価相当になること」は別です。複数ジャッジの評価から所定の計算を行って最終的なGOEが決まり、さらに転倒などのディダクションも別項目として扱われます。

採点表を理解するときは、①技術パネルによるエレメンツ認定、②基礎点、③各ジャッジのGOE、④最終的なGOEによる加減点、⑤転倒などのディダクションを分けて見ることがポイントです。最新の基準については、そのシーズンのISU公式フィギュアスケート規則・ハンドブック[参照]を確認すると、より正確に採点の理由を読み解けます。

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