フィギュアスケートのペアで活躍する三浦璃来選手は、小柄な体格を生かしたスピード感のある演技でも知られています。そのため、幼い頃からフィギュアスケートを続けてきたことが身長に影響したのではないか、と疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし、人の最終的な身長は単純に一つの原因で決まるものではありません。特に、「子どもの頃からスポーツをしていたから身長が低くなった」と個人について断定することはできません。身長には遺伝をはじめ、栄養状態、健康状態、ホルモン、成長時期など多くの要因が関係します。
この記事では、三浦璃来選手のような小柄なアスリートを例に、スポーツと身長の関係、遺伝の影響、そしてフィギュアスケートにおける体格について整理します。
三浦璃来選手が小柄なのは幼少期からのスポーツが原因なのか
まず押さえておきたいのは、通常のスポーツ活動をしていること自体を、低身長の直接的な原因と考えるのは適切ではないという点です。
世界保健機関(WHO)は、子どもや青少年に対して適切な身体活動を推奨しており、運動には心肺機能や筋力だけでなく、骨の健康などにもメリットがあるとしています。つまり、スポーツをすることそのものは、健康的な成長と相反するものではありません。[参照]
したがって、三浦選手が幼少期からスケートをしていたという事実だけを根拠として、「スケートをしたため身長が伸びなかった」と結論づけることはできません。本人の成長過程や医学的情報が公表されていない限り、その因果関係を外部から判断することは困難です。
身長には遺伝的要因が大きく関係している
身長を考えるうえで重要なのが遺伝です。米国国立医学図書館のMedlinePlus Geneticsでは、人の身長の個人差には遺伝的要因が大きく関係しており、多数の遺伝子と環境要因の組み合わせによって決まると説明されています。[参照]
ただし、「身長には遺伝が関係する」という一般論と、「三浦選手が家系的に小柄である」という個別の話は分けて考える必要があります。両親や親族の身長などについて信頼できる情報が確認できない場合、家系が原因だと断定することもできません。
例えば、両親が小柄なら子どもも比較的小柄になる傾向は考えられますが、兄弟姉妹でも身長が異なることがあります。これは身長が一つの遺伝子だけで決まるのではなく、多数の遺伝的要因と環境要因が複雑に作用するためです。
遺伝だけではない|栄養・健康・ホルモンなども成長に関係する
身長には遺伝以外の要素も影響します。MedlinePlusは、栄養などの環境要因も身長に関係すると説明しています。また、子どもの成長には食事、運動、遺伝など複数の要素が関係します。[参照]
成長には、十分なエネルギーや栄養素、睡眠、健康状態、成長ホルモンなども関係します。慢性的な病気や栄養不足、内分泌系の問題などが成長に影響する場合もありますが、これらは医療上の問題であり、外見や競技歴だけから判断することはできません。
そのため、特定のアスリートについて「練習量が多かったから小柄になった」「食事制限をしていたから身長が伸びなかった」といった推測を事実のように扱うのは避けるべきでしょう。
フィギュアスケート選手が小柄に見えやすい理由
ここで混同しやすいのが、「スポーツによって小柄になった」のか、「その競技で小柄な選手が活躍している」のかという違いです。この二つは同じではありません。
競技スポーツでは、身体的特徴によって得意な動作や適性が変わることがあります。フィギュアスケートでも、身長だけではなく、体重、重心、筋力、柔軟性、回転能力、スピード、技術などさまざまな要素がパフォーマンスに関係します。
つまり、トップレベルに小柄な選手がいるからといって、「フィギュアスケートをすると身長が低くなる」という意味にはなりません。もともとの身体的特徴と競技適性、長年の技術習得などが組み合わさった結果として考える方が自然です。
ペアスケートでは男女の体格差が競技上の特徴になる
三浦璃来選手について考える場合、さらに重要なのがペアという競技種目です。ペアスケートには、男女が別々に滑るだけでなく、リフト、ツイストリフト、スロージャンプなど、パートナー同士の身体的な連携を必要とする技があります。
特にリフトでは男性選手が女性選手を持ち上げるため、二人の身長差や体格差は演技の見え方や技の実施に関係する要素の一つになります。ただし、単純に女性選手が小柄なら優れているというものではなく、筋力、タイミング、姿勢、バランス、相互の技術などが不可欠です。
三浦選手の体格についても、「なぜその身長になったのか」という原因探しだけでなく、現在の身体的特徴をパートナーとの演技の中でどのように生かしているのかという視点で見ると、ペア競技の特徴がより分かりやすくなります。
「スポーツをすると身長が伸びない」という説には注意が必要
子どものスポーツについては、「筋トレをすると身長が伸びない」「激しい運動をすると成長が止まる」といった話が語られることがあります。しかし、こうした表現は非常に単純化されています。
WHOは5~17歳の子ども・青少年について、中強度から高強度の身体活動を週を通じて1日平均60分以上行うことを推奨しています。身体活動は骨の健康を含む複数の健康上の利益につながるとされています。[参照]
もちろん、競技レベルのトレーニングでは適切な休養や栄養管理が重要です。しかし、それは「運動そのものが身長を止める」という話とは別です。成長期の選手では、練習量だけを見るのではなく、摂取エネルギー、栄養、睡眠、疲労、けが、健康状態などを総合的に管理する必要があります。
三浦璃来選手の身長の理由を一つに決めることはできない
結局のところ、三浦璃来選手が現在の身長になった理由を、公開情報だけから「幼少期のスポーツ」または「家系」のどちらか一方に決めることはできません。
科学的な一般論としては、身長には遺伝的要因が大きく関係するとともに、栄養や健康状態などの環境要因も影響します。一方で、幼少期から通常の範囲でスポーツをしているという理由だけで、成人時の身長が低くなると単純に判断することはできません。
また、本人や家族の詳細な身体情報が公表されていない以上、「家族が小柄だから」と推測することにも根拠が必要です。著名な選手についても、確認できる事実と一般的な医学・科学情報を分けて考えることが大切です。
まとめ|小柄な体格を「幼少期からスポーツをした結果」とは断定できない
三浦璃来選手のような小柄なトップアスリートを見ると、幼少期からの競技生活が身長に影響したのではないかと考えたくなるかもしれません。しかし、スポーツ歴だけを理由として身長が低くなったと判断する科学的根拠はありません。
身長は多数の遺伝的要因に加えて、栄養、健康状態、ホルモン、成長環境などが複雑に関係して決まります。三浦選手個人について、家系と競技生活のどちらがどの程度影響したかは、公開されている情報だけでは判断できません。
むしろフィギュアスケート、とりわけペア競技を見る際には、身長の大小だけではなく、二人の体格の組み合わせ、筋力、スピード、タイミング、技術、表現力などを総合的に見ることで、選手の強みをより深く理解できるでしょう。


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