バレーボールのアンダーハンドパスを練習していると、「腕で振らずに膝を使う」「膝の曲げ伸ばしでボールを運ぶ」と教わることがあります。これは初心者が腕だけでボールを飛ばす癖を防ぐためには分かりやすい表現ですが、実際のアンダーハンドパスは膝を大きく伸ばしてボールを持ち上げることだけが重要なのではありません。
大切なのは、ボールの落下地点まで足を動かして入り、膝を適度に曲げた安定した姿勢を作り、両腕で作った面を狙う方向へ向けることです。ボールが当たる瞬間には腕を大きく振り回さず、脚と体全体を使いながら必要な分だけ上方向へ力を伝えます。
フォームを映像で確認するなら、競技団体などが公開している指導動画が参考になります。特にUSA Volleyballのフォアアームパス解説動画は、初心者でも確認しやすい内容です。[参照:USA Volleyball「Forearm Passing」動画]
- アンダーハンドパスで膝を曲げる理由
- 膝はどのくらい伸ばせばいい?
- 腕を振らずに「面」を作ることが重要
- 参考になるアンダーハンドパス動画
- 動画を見るときは「膝」だけを見ない
- 基本姿勢は「低すぎない」ことも大切
- 腕の組み方も毎回同じにする
- ボールを当てる位置は手ではなく前腕
- アンダーでは「面の角度」で方向が決まる
- 膝を使ったアンダーの練習方法
- 壁を使った練習もできる
- 左右に投げてもらう練習が重要
- 強いサーブでは膝を伸ばしすぎない
- 弱いボールでは脚を少し多めに使う
- 初心者によくある失敗と直し方
- 上手い選手の試合映像を見るときのチェックポイント
- 膝の使い方より先に「ボールの下へ入る」ことを覚える
- 膝や腰を痛めないフォームも大切
- まとめ|アンダーは膝だけでなく「足・面・角度」の3つが重要
アンダーハンドパスで膝を曲げる理由
アンダーハンドパスでは、ボールが飛んでくる前に膝を軽く曲げて構えます。この姿勢にすることで重心を下げ、前後左右へ素早く動きやすくなります。
USA Volleyballの指導資料でも、フォアアームパスでは足を肩幅程度にし、膝を曲げてボールの位置へ移動することが基本として紹介されています。さらに両腕で安定した面を作り、狙う方向へ角度を合わせることが重視されています。[参照:USA Volleyball]
つまり膝を曲げる目的は、単純に「その後に強く伸ばすため」ではありません。低く安定した姿勢を作り、ボールの下へ正確に移動するためという意味も非常に大きいのです。
膝はどのくらい伸ばせばいい?
初心者によくある誤解が、「アンダーは膝を伸ばして飛ばすものだから、当たる瞬間に思い切り立ち上がればよい」というものです。
実際には、近距離へのパスなら膝の伸びは小さくて構いません。相手から強いサーブやスパイクが来た場合は、ボール自体に十分な勢いがあるため、むしろ身体を大きく動かさず、腕の面で勢いをコントロールする場面もあります。
反対に、弱いボールをセッターまで長く返したい場合は、脚を少し伸ばしながら身体全体で押し出すようにすると距離を出しやすくなります。ボールの強さや距離によって脚の使い方を変えるのがポイントです。
腕を振らずに「面」を作ることが重要
アンダーハンドパスでボールが安定しない原因として非常に多いのが、両腕を下から上へ大きく振ってしまうことです。
腕を振り上げると、毎回ボールへ当たる角度が変化します。その結果、ボールが左右へ飛んだり、必要以上に高く上がったり、ネットを越えてしまったりします。
USA Volleyballの指導では、ボールは手首より少し上の前腕付近へ当て、そこに作った面の角度でターゲットへ運ぶ考え方が紹介されています。また動作量は必要以上に大きくしないことも説明されています。[参照:USA Volleyball]
参考になるアンダーハンドパス動画
フォームを確認したい場合、まずUSA Volleyball公式の「USAV Skill Video Forearm Passing」が参考になります。米国代表経験者がフォアアームパスの基本を実演しており、腕の面、構え、ボールへの入り方などを映像で確認できます。
[動画:USA Volleyball Forearm Passing]
またUSA Volleyballには、東京オリンピック金メダルメンバーでベストリベロにも選ばれたJustine Wong-Orantesによるパスのポイントを扱う教育コンテンツもあります。トップレベルの選手がどのような姿勢や考え方でレシーブしているかを見る材料になります。[参照:USA Volleyball USAVLearn]
動画を見るときは「膝」だけを見ない
上手な選手の動画を見るとき、膝が何度曲がっているかだけに注目すると本質を見落としやすくなります。
確認したいのは、ボールが来る前に足を動かしているか、両肩が大きく傾いていないか、腕の面がターゲットへ向いているか、ボールが身体の真正面付近で当たっているかといった部分です。
特に重要なのは「ボールに合わせて腕を動かす」のではなく、「足を動かして身体をボールの後ろへ運ぶ」ことです。上級者ほど、腕だけで帳尻を合わせる場面が少なく見えます。
基本姿勢は「低すぎない」ことも大切
膝を使うと言われると、腰をかなり低く落として構える人もいます。しかし低すぎる姿勢では最初の一歩が遅くなる場合があります。
USA Volleyballの指導資料でも、構えについては極端に低くするのではなく、足を広げすぎず最初の一歩を出せる状態が示されています。足裏全体を床につけながら、重心をやや前方へ置く考え方です。[参照:USA Volleyball]
構えた状態から前後左右へ一歩動いてみて、すぐ動ける高さになっているか確認すると分かりやすいでしょう。
腕の組み方も毎回同じにする
アンダーハンドパスでは、左右の前腕をできるだけ平らな一枚の面に近づけます。
両肘が曲がったり片腕だけ高くなったりすると、ボールが当たった瞬間に左右へ逸れやすくなります。両肘を伸ばし、左右の親指をそろえるようにすると面を作りやすくなります。
ただし腕へ力を入れすぎて肩まで固める必要はありません。「肘は曲げないが、肩は必要以上に力まない」という状態を目指します。
ボールを当てる位置は手ではなく前腕
初心者の場合、ボールが手首や手の甲に当たって方向が安定しないことがあります。
基本的には手首より少し上の左右の前腕部分へ当てます。この部分で左右均等にボールを受けられると、狙った方向へ返しやすくなります。
ボールをよく見て、身体の前で同じポイントへ当て続ける練習をすると感覚がつかみやすくなります。
アンダーでは「面の角度」で方向が決まる
ボールをどこへ飛ばすかは、腕を振る方向よりも前腕の面の角度による影響が大きくなります。
例えば腕の面が天井に近い方向を向いていればボールは高く上がりやすく、面が前方を向けば低く前へ飛びやすくなります。
そのため狙った相手へパスするときは、ボールが当たる瞬間の腕の角度を毎回そろえることが重要です。手首を途中で曲げたり腕を振ったりすると、この角度が変化してしまいます。
膝を使ったアンダーの練習方法
フォームを覚えるには、最初から強いボールをレシーブする必要はありません。まず2人1組になり、相手に軽くボールを投げてもらう練習がおすすめです。
ボールが来たら膝を軽く曲げた状態で入り、腕を固定して、膝を少し伸ばしながら相手へ返します。このとき腕を振らないよう意識します。
最初は2~3mほどの近い距離で10回連続を目標にします。安定してきたら少しずつ距離を伸ばしていけば、脚で距離を調整する感覚が身につきます。
壁を使った練習もできる
一人で練習する場合は壁を利用できます。壁から2~3m程度離れ、自分で軽く投げたボールをアンダーで壁へ返します。
毎回同じ場所へボールが返ってくるようなら、腕の面が安定している可能性が高いでしょう。左右へ大きく散らばる場合は、腕の高さや肩の向きを確認します。
ただし壁当てだけを長時間続けると、実際の試合とは違う動きが習慣になる場合があります。慣れてきたら人にランダムな位置へ投げてもらい、足を動かして入る練習も取り入れましょう。
左右に投げてもらう練習が重要
試合では、自分の真正面に毎回ボールが来るわけではありません。そのため静止した状態のアンダーだけ上手でも、実戦ではうまく返せないことがあります。
パートナーに左右1~2m程度へランダムに投げてもらい、ボールの正面まで移動してからアンダーで返す練習が効果的です。
このとき腕を先に組んだまま移動すると走りにくいため、まず足を動かし、ボールの近くへ入ってから腕の面を完成させる方法も練習しておくとよいでしょう。
強いサーブでは膝を伸ばしすぎない
相手から非常に強いサーブが飛んできた場合は、弱いボールと同じように脚で押し返す必要はありません。
強いボールにはもともと十分なエネルギーがあるため、腕の面を正しく作って角度を合わせるだけでもセッター方向へ返せます。
この場面で膝と腕を大きく上へ伸ばすとボールが飛びすぎます。強いボールほど「自分から飛ばす」のではなく「勢いを利用して返す」という考え方が役立ちます。
弱いボールでは脚を少し多めに使う
反対に、相手からゆっくりしたチャンスボールが来た場合には、ボール自体の勢いが少ないため、自分からエネルギーを加える必要があります。
このときは膝を曲げた状態から少し伸ばし、身体全体を上前方へ動かしながら返すと距離を出せます。
つまり「膝を使う」という指導は間違いではありませんが、どんなボールでも同じ強さで膝を伸ばすわけではないという点が重要です。
初心者によくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 原因 | 改善ポイント |
|---|---|---|
| ボールが高く上がりすぎる | 腕を振り上げている | 腕を固定し、面の角度で調整する |
| 左右へ飛ぶ | 左右の腕の高さが違う | 親指と肘をそろえる |
| ボールが前へ飛ばない | 脚も身体も使っていない | 弱い球では膝を適度に伸ばす |
| 強いボールが飛びすぎる | 膝と腕を使いすぎている | 面を作って勢いを吸収・利用する |
| 身体の横で当たる | 足が動いていない | 腕より先に足を動かす |
| 手首に当たる | ボールとの距離が合っていない | 前腕中央付近で捉える |
特に初心者は腕の振りを小さくするだけで、ボールの方向が急に安定することがあります。
上手い選手の試合映像を見るときのチェックポイント
日本代表や海外代表の試合を見る場合も、リベロやアウトサイドヒッターのレセプションをスロー再生してみると参考になります。
注目したいのは、ボールが当たる瞬間だけではありません。サーバーが打つ前にどの姿勢で構えているか、サーブ直後にどちらの足から動いているか、ボールへ入った後にどの程度身体を動かしているかまで見ると学びやすくなります。
強烈なサーブを受けるトップ選手ほど、実際には腕を大きく振っていないことが分かります。前腕の面を作り、ボールの勢いを利用してセッター付近へ返している場面が多く見られます。
膝の使い方より先に「ボールの下へ入る」ことを覚える
アンダーハンドパスを安定させるためには、「どう膝を伸ばすか」以上に、ボールとの位置関係を整えることが重要です。
身体から遠すぎる位置でボールを取ると、腕だけを伸ばす必要があり面が崩れます。逆に身体へ近すぎると肘が曲がります。
理想は、自分の身体の前方で両腕を自然に伸ばした位置へボールが来ることです。その場所へ足で移動できるようになると、フォームがかなり安定します。
膝や腰を痛めないフォームも大切
レシーブでは中腰姿勢を繰り返すため、必要以上に深くしゃがんだ状態を長時間続けると負担になる場合があります。
日本バレーボール協会も、バレーボールではジャンプやレシーブで身体へ負担がかかるため、正しい練習方法や身体に関する知識が重要だと案内しています。膝周辺に継続する痛みがある場合は無理をしないことが大切です。[参照:日本バレーボール協会]
フォーム改善のために膝を極端に曲げる必要はありません。動きやすく、無理なく維持できる高さを探しましょう。
まとめ|アンダーは膝だけでなく「足・面・角度」の3つが重要
バレーボールのアンダーハンドパスでは膝の曲げ伸ばしは大切ですが、「膝を大きく伸ばせば上手に返せる」という技術ではありません。
基本は、まず足を動かしてボールの正面へ入り、膝を軽く曲げた安定した姿勢を作ることです。そして両肘を伸ばして前腕で平らな面を作り、その角度をターゲットへ向けます。
弱いボールなら膝を少し伸ばして身体全体で距離を出し、強いサーブなら身体の上下動を小さくしてボール自身の勢いを利用します。ボールによって脚の使い方が違う点を理解すると、アンダーがかなり安定しやすくなります。
映像で確認するなら、まずUSA Volleyball公式のフォアアームパス動画がおすすめです。[動画:USA Volleyball Forearm Passing] 動画を見る際には膝だけではなく、選手がボールの前へどのように移動しているか、腕をどの程度振っているか、前腕の面がどこを向いているかを確認してください。
練習では「近距離の投げてもらったボールを返す→左右へ動いて返す→実際のサーブを受ける」という順番で難易度を上げるとフォームを身につけやすくなります。アンダーは腕力で飛ばす技術ではなく、正しい位置へ移動し、安定した面を作り、必要な分だけ身体の力をボールへ伝える技術と考えると理解しやすいでしょう。


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