高校生や大学生くらいの女性が、ボクシングや総合格闘技(MMA)、キックボクシングなどをどの程度知っているのかは、ひとまとめにはできません。格闘技をほとんど見ない人がいる一方、RIZINやボクシングの大会を配信で追い、特定の選手を応援している若い女性もいます。
公表されているスポーツ観戦調査を見ると、格闘技はインターネット観戦との相性が比較的良い競技ですが、女性全体の視聴率は男性より低い傾向があります。一方、RIZINの実際の来場者データでは若年層が非常に多く、女性ファンも一定数存在しています。
そのため、「高校生・大学生の女性には格闘技がほとんど知られていない」と考えるのも、「若い女性にも広く一般的な趣味になっている」と考えるのも極端です。実態としては、競技そのものへの関心はまだ男性の方が強いものの、SNS、YouTube、ショート動画、選手の知名度などを入口に若い女性へ届くケースが増えている、と捉えるのが適切でしょう。
- 若い女性の「格闘技を知っている」と「試合を見る」は別の話
- スポーツ観戦調査では女性の格闘技視聴は男性より少ない
- RIZINでは会場の約2割が女性というデータもある
- RIZINの会場客は若い世代が非常に多い
- 配信視聴者では女性比率が会場より低い
- 若い女性は「格闘技そのもの」より選手から興味を持つこともある
- 「推し活」と格闘技観戦が結びつくケースもある
- RIZINも女性ファン向けイベントを開催している
- ボクシングとMMAでは認知のされ方も少し違う
- 興味がなくても有名選手だけ知っている人は多い
- 高校生・大学生女性に聞くなら質問を段階化すると分かりやすい
- 格闘技に興味を持つ理由は人それぞれ
- 反対に格闘技を見ない理由も理解しておきたい
- 「男性が見るスポーツ」というイメージはまだ残っている
- 高校生と大学生でも興味の持ち方は違う
- SNS時代は「格闘技を見たことがない」の意味も変わった
- 若い女性ファンを一括りにしないことが重要
- 若い女性への格闘技人気をデータで整理すると
- まとめ|若い女性にも格闘技ファンはいるが、全体ではまだライト層・非視聴層の方が多い
若い女性の「格闘技を知っている」と「試合を見る」は別の話
格闘技の認知度を考える際には、「名前を知っている」「選手を知っている」「試合結果だけ見る」「大会を視聴する」「会場まで観戦に行く」といった段階を分ける必要があります。
例えばRIZINという大会名や、有名な格闘家の名前をSNSで見た経験があっても、ルールや階級まで知っているとは限りません。逆にボクシングには詳しくてもMMAには興味がないという人もいます。
高校生・大学生程度の年代では、テレビだけでなくTikTok、Instagram、YouTube、Xなどから競技や選手を知ることが多いため、競技全体より先に「特定の選手を知る」形で認知が始まることも珍しくありません。
スポーツ観戦調査では女性の格闘技視聴は男性より少ない
笹川スポーツ財団の「スポーツライフに関する調査2024」では、インターネットで観戦したスポーツとして「格闘技(ボクシング、総合格闘技など)」が全体で6.6%となり、調査対象となった種目の中では最も高い数字でした。[参照:笹川スポーツ財団]
ただし男女別では、男性が10.9%だったのに対し、女性は2.4%でした。この数字を見る限り、格闘技のインターネット観戦は女性にも存在するものの、現状では男性ファンの方がかなり多いことが分かります。
なお、この調査は高校生・大学生女性だけを抽出した数字ではありません。そのため「女子高校生の2.4%が格闘技を見る」という意味ではなく、女性全体の傾向を知るための参考値として扱う必要があります。
RIZINでは会場の約2割が女性というデータもある
国内MMAの代表的イベントであるRIZINについては、運営会社の開示資料に観客・視聴者属性が掲載されています。
2024年7月28日に行われた「超RIZIN.3」の来場者では、男性77.4%、女性22.3%でした。つまり単純計算では、会場客のおよそ5人に1人以上が女性だったことになります。[参照:公開資料・RIZIN DEMOGRAPHICS]
女性が多数派という状況ではありませんが、「格闘技会場はほぼ男性しかいない」というイメージとも少し異なります。
RIZINの会場客は若い世代が非常に多い
同じ「超RIZIN.3」の来場者データでは、10代が22.7%、20代が30.5%、30代が22.5%でした。10代と20代を合わせると半数を超えています。[参照:公開資料・RIZIN DEMOGRAPHICS]
この資料では年齢と性別を掛け合わせた「10代女性が何%」という数字までは示されていません。そのため女子高校生・女子大学生の割合を直接算出することはできません。
それでも、RIZINの会場そのものが20代以下を多く含むこと、女性客も2割以上いることを考えると、若い女性の格闘技ファンが一定数存在することは間違いないと言えます。
配信視聴者では女性比率が会場より低い
同資料によると、超RIZIN.3の視聴者属性は男性83%、女性17%でした。
会場来場者の女性比率22.3%より少し低いため、この大会に限れば女性はオンライン視聴者より現地観戦客の中でやや高い比率を占めていました。
一方、視聴者の年代は20代30.5%、30代31.7%となっており、配信でも若年〜若手社会人世代が中心です。格闘技コンテンツがネットを通じて若い世代へ届いていることが読み取れます。
若い女性は「格闘技そのもの」より選手から興味を持つこともある
格闘技に限らず、若い世代では競技より先に人物へ興味を持つことがあります。
例えばSNSで試合のハイライトを見て選手を知り、YouTubeのインタビューや密着動画を見て人柄に興味を持ち、その後に試合を見るようになるという流れです。
この場合、最初は「MMAが好き」というより「この選手の試合は見たい」という状態です。そこから対戦相手や階級、他大会へ興味が広がれば格闘技ファンになっていきます。
「推し活」と格闘技観戦が結びつくケースもある
2026年にタニタが行った推し活調査では、10代・20代女性はアイドルを推す割合が特に高く、人物を中心としたファン活動が若い女性に定着していることが示されています。[参照:タニタ「推し活に関する意識・実態調査2026」]
もちろん、この調査から格闘家の推し活が多いと結論づけることはできません。ただ、「特定の人物を応援し、SNSをフォローし、イベントへ行く」という消費行動そのものは若い女性に非常に馴染みがあります。
格闘技でも選手のSNSやYouTube、ファンイベント、グッズなどが充実したことで、試合だけを売るスポーツから「選手個人を応援する楽しみ方」へ入口が広がっています。
RIZINも女性ファン向けイベントを開催している
RIZINでは2026年にも女性限定の「RIZIN Girls Fan Meeting」が開催されており、女性ファン同士が交流しながら選手と接点を持てるイベントが企画されています。[参照:RIZIN公式]
こうしたイベントが継続していること自体、女性ファンが無視できない市場になっていることを示しています。
特に格闘技会場へ一人で行くことに抵抗がある女性でも、女性限定イベントや友人同士で参加できる機会が増えれば、競技に触れるハードルは下がります。
ボクシングとMMAでは認知のされ方も少し違う
「格闘技」と一括りにしても、ボクシング、MMA、キックボクシング、空手、柔道、プロレスなどでは認知のされ方が違います。
ボクシングの場合は世界タイトルマッチやオリンピック競技として知る人もいます。MMAではRIZIN、UFCなど大会名から入る人が多く、キックボクシングではK-1などのブランドを通じて認知する場合があります。
そのため「格闘技を知っていますか」と聞けば「よく分からない」と答える人でも、「RIZINは知っている」「ボクシングなら有名選手を知っている」となる可能性があります。
興味がなくても有名選手だけ知っている人は多い
スポーツ全般でよくあるのが、競技ルールは知らないもののスター選手の名前だけは知っているという状態です。
格闘技でもSNSやテレビ出演、ニュースなどによって選手個人が一般層へ知られることがあります。この段階では「認知」はあるものの、必ずしも「格闘技に興味がある」とは言えません。
アンケートを取る場合には、単純な「格闘技に興味がありますか」だけでなく、認知と視聴経験を分けると実態が見えやすくなります。
高校生・大学生女性に聞くなら質問を段階化すると分かりやすい
実際に若い女性の格闘技への関心を調べるなら、次のような段階で質問すると回答しやすくなります。
| 段階 | 質問例 |
|---|---|
| 認知 | RIZIN・UFC・K-1・ボクシングなどを知っているか |
| 選手認知 | 名前を知っている格闘家がいるか |
| 視聴経験 | 試合をテレビ・配信・SNSで見たことがあるか |
| 関心 | 今後試合を見たいと思うか |
| 現地観戦 | 会場へ行ってみたいと思うか |
| ファン行動 | SNSフォローやグッズ購入をしたことがあるか |
こうすると、「名前は知っているが試合は見ない人」と「毎大会見る人」を同じ「知っている」にまとめずに済みます。
格闘技に興味を持つ理由は人それぞれ
若い女性が格闘技を好きになる理由も一つではありません。競技性が好きな人もいれば、選手の人柄、ビジュアル、ストーリー、身体能力、勝負の緊張感などに魅力を感じる人もいます。
例えば技術的な駆け引きを見て面白いと思う人もいれば、推している選手が勝つかどうかを楽しむ人もいます。友人や恋人、家族の影響で見始める場合もあります。
どの入口から入っても、試合を何度か見るうちにルールや技術が分かり、それまで以上に面白く感じるケースがあります。
反対に格闘技を見ない理由も理解しておきたい
格闘技に興味がない女性にとっては、「痛そう」「流血を見るのが苦手」「ルールが分からない」「どの大会を見ればよいのか分からない」といった理由があります。
また試合時間や配信料金、選手名・階級・団体の多さなどが初心者には分かりにくく、入り口で離脱することもあります。
そのため認知度を高めるだけでなく、初心者がルールを理解しやすい解説や短いハイライトなどが重要になります。
「男性が見るスポーツ」というイメージはまだ残っている
女性のインターネット格闘技観戦率が男性より低いという調査結果からも、現在の格闘技ファン層が男性中心であることは否定できません。
RIZINの公開資料でも男性が来場者の77.4%、視聴者の83%を占めています。したがって現時点では、男性ファンの方が圧倒的に多いジャンルです。
一方で女性が会場客の22.3%存在することを考えると、「女性は格闘技を見ない」という言い方も現実とは合いません。少数派ではあるものの、一定規模の女性ファン層があります。
高校生と大学生でも興味の持ち方は違う
高校生の場合、自由に使えるお金や移動範囲が限られるため、会場観戦よりSNSや無料動画が中心になりやすいでしょう。
大学生になるとアルバイトなどで使えるお金が増え、友達同士で大会へ行ったり、有料配信を購入したりする選択肢が広がります。
したがって同じ10代・20代女性でも「競技を知っている割合」と「実際にお金を払って観戦する割合」は大きく違う可能性があります。
SNS時代は「格闘技を見たことがない」の意味も変わった
以前なら格闘技を見るにはテレビ中継や大会映像を見る必要がありましたが、現在は数十秒のKOシーンや煽り映像がSNSで流れてきます。
そのため本人が「格闘技は見ない」と思っていても、SNS上で試合映像や選手の動画を見た経験がある場合があります。
このようなライトな接触まで含めれば、若い世代における格闘技の認知範囲は、正式な大会視聴率よりかなり広いと考えられます。
若い女性ファンを一括りにしないことが重要
格闘技好きの女性にもさまざまなタイプがあります。
技術分析が好きで海外MMAまで見る人、国内RIZINを中心に見る人、ボクシングだけを見る人、好きな選手の試合だけ見る人、会場へ頻繁に行く人など非常に幅があります。
したがって「女性は選手の見た目で見る」「男性は競技内容を見る」といった単純な分類は避けるべきです。性別より個々の観戦スタイルの違いの方が大きい場合があります。
若い女性への格闘技人気をデータで整理すると
| データ | 数字 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 2024年インターネット格闘技観戦・女性 | 2.4% | 男性10.9%より低い |
| 超RIZIN.3来場者・女性 | 22.3% | 会場客の約5人に1人以上 |
| 超RIZIN.3来場者・10代 | 22.7% | 若者の来場が多い |
| 超RIZIN.3来場者・20代 | 30.5% | 最大の年代層 |
| 超RIZIN.3視聴者・女性 | 17% | 配信でも女性ファンが一定数存在 |
これらからは、格闘技はまだ男性中心のスポーツコンテンツである一方、若年層への浸透が強く、女性ファンも無視できない規模になっていることが分かります。
ただし「高校生・大学生女性」という属性だけの全国的な格闘技認知・関心調査は限られているため、年代別・性別を掛け合わせた正確な割合については断定しない方が適切です。
まとめ|若い女性にも格闘技ファンはいるが、全体ではまだライト層・非視聴層の方が多い
高校生や大学生くらいの女性における格闘技への関心は、人による差が非常に大きいと考えられます。RIZINや有名選手を知っている程度のライト層から、毎大会チェックする熱心なファンまで幅があります。
全国調査では女性のインターネット格闘技観戦率は2.4%で、男性の10.9%よりかなり低くなっています。したがって、若い女性全体で見れば、格闘技を日常的に見る人はまだ多数派ではないと考えるのが自然です。[参照:笹川スポーツ財団]
一方、超RIZIN.3では来場者の22.3%が女性で、10代22.7%、20代30.5%と若い観客が中心でした。年代と性別の組み合わせまでは公開されていないため女子高校生・女子大学生の割合を直接示すことはできませんが、若い女性ファンが一定数存在することは十分うかがえます。[参照:RIZIN観客・視聴者データ]
現在は試合中継だけではなく、YouTube、TikTok、Instagram、選手個人のSNSなど接点が増えています。そのため「格闘技そのものが好き」という人以外にも、「SNSで選手を知った」「友達に勧められた」「好きな選手だけ見る」といった入口が増えています。
したがって若い女性の格闘技への関心を考えるなら、単純に「好き・嫌い」の二択ではなく、大会名を知っている、選手を知っている、SNS動画を見る、試合を見る、会場へ行くという段階に分けて考えるのが実態に近いでしょう。現状では男性ファンの方が多いものの、若年層を中心に女性が格闘技へ触れる入口は以前より広がっていると考えられます。


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