Wilier FILANTE SLR(ID2ではない従来型)のスルーアクスルは、一般的なロードバイクの「フロント12×100mm・リア12×142mm」というハブ規格だけを見て選ぶと失敗しやすい部品です。FILANTE SLRのフレームとフォークはMavic Speed Release方式を前提に設計されており、Wilier公式もフロント12×100mm、リア12×142mmのSpeed Release仕様と明記しています。[参照:Wilier FILANTE SLR公式]
現在の純正仕様では専用のMiche製スルーアクスルが採用され、Miche公式ではFILANTE SLR対応品についてフロント12×118mm・P1ダブルスレッド、リア12×165mm・P1ダブルスレッドと具体的な寸法まで公開されています。[参照:Miche LIGHT RD AXLES ROAD]
したがって、「12×100/12×142と書いてあれば何でも使える」というわけではありません。交換品を探す場合には、ハブ幅だけでなくアクスル全長、ネジピッチ、ネジ部分の形状、頭部の座面、そしてSpeed Releaseフレームへの対応を確認する必要があります。
- FILANTE SLRの基本規格はフロント12×100・リア12×142
- Miche純正対応品の寸法はフロント118mm・リア165mm
- 「P1」はネジピッチ1.0mmという意味
- さらに重要なのが「Double Thread」
- Mavic純正Speed Releaseは使用できる
- Wilierの旧資料にはMavicの品番も掲載されている
- MicheのLIGHT RD AXLES ROADはかなり分かりやすい代替候補
- では他メーカーの汎用スルーアクスルは使える?
- 交換アクスルで確認するべき5項目
- 「軸長」はどこからどこまで測るのかにも注意
- ネジ部分の長さも重要
- Speed Release対応だからホイールも専用品なの?
- 普通のスルーアクスルを入れるとSpeed Release機能は失われる?
- 純正MavicとMicheでは考え方が少し違う
- 市販品を探すなら「12×100」より「Wilier対応」で検索する
- 固定トレーナー用アクスルはさらに注意
- 購入前に純正アクスルを実測すると確実
- 交換時の締め付けトルクにも注意
- 社外品を使うメリット
- 互換性が不明な製品を試しにねじ込むのは避ける
- 確実性を優先したおすすめ順
- まとめ|FILANTE SLRは12×100/142だけで選ばず、118mm・165mm・P1まで確認
FILANTE SLRの基本規格はフロント12×100・リア12×142
Wilierの公式技術資料では、FILANTE SLRのフロントフォークO.L.D.は100mm、リアは142mmで、いずれもMavic Speed Release 12mmアクスル仕様とされています。[参照:Wilier FILANTE SLR Technical Introduction]
この「12×100」「12×142」の数字は、基本的には12mm径のスルーアクスルを使い、ハブのエンド幅がフロント100mm、リア142mmという意味です。
しかし交換用スルーアクスルそのものの長さが100mmや142mmという意味ではありません。フォークやフレームを貫通し、さらに反対側のネジ部へ届かなければならないため、実際のアクスル全長はもっと長くなります。
Miche純正対応品の寸法はフロント118mm・リア165mm
MicheがWilier用として販売しているLIGHT RD AXLES ROADは、Wilier 0 SLR/SL、FILANTE SLR/SL、Verticale SLR向けの専用品です。
メーカー公表値は次のようになっています。[参照:Miche公式]
| 位置 | ハブ規格 | Micheアクスル寸法 | ネジ |
|---|---|---|---|
| フロント | 12×100mm | 12×118mm | P1 Double Thread |
| リア | 12×142mm | 12×165mm | P1 Double Thread |
つまり社外品を探す場合も、少なくともこの実寸を基準として確認するのが安全です。
「P1」はネジピッチ1.0mmという意味
Micheの表記にある「P.1」は、一般的にはネジピッチ1.0mmを示します。スルーアクスルでは同じ12mm径でも、M12×1.0、M12×1.5、M12×1.75など複数のネジ規格が存在します。
そのため、径が12mmで全長まで合っていても、ネジピッチが1.5mmなど別規格なら使用できません。無理にねじ込むとフレーム側のネジ山を損傷する危険があります。
FILANTE SLR用Miche品を基準にするならM12×1.0が重要な条件になります。
さらに重要なのが「Double Thread」
MicheはFILANTE SLR対応品について単にP1とするだけでなく、「Double Thread」と明記しています。これは通常の汎用M12×1.0スルーアクスルとは構造が異なる可能性があることを意味します。
Mavic Speed Releaseは通常のスルーアクスルと違い、アクスルを完全にホイールから抜かずに車輪を外せる仕組みです。Mavic自身も「Speed Release対応フレーム/フォークのみ互換」と説明しています。[参照:Mavic Speed Release]
したがって「M12×1.0、長さ118mmだから使えるはず」という判断だけでは不十分です。FILANTE SLRで使用実績またはメーカー適合確認がある製品を選ぶ方が安全です。
Mavic純正Speed Releaseは使用できる
もちろんMavic純正Speed Releaseは本来の対応品です。FILANTE SLRの技術資料ではMavic Speed Release 12×100フロント、12×142リアが標準仕様として記載されています。[参照:Wilier技術資料]
Mavicでは現在もSpeed Releaseシリーズを展開しており、12×100フロントのV2720101、ボルトオン仕様のV3300101、リア12×142のV3300201などが掲載されています。[参照:Mavic公式]
純正構造をそのまま維持したいなら、Mavic Speed ReleaseまたはWilierが指定するMiche品を選ぶのが確実です。
Wilierの旧資料にはMavicの品番も掲載されている
Wilier系Speed Releaseフレームの技術資料では、交換部品としてMavicの品番が明記されています。
| 品番 | 内容 |
|---|---|
| LV2720100 | Mavic Speed Release 12×100 |
| LV2720200 | Mavic Speed Release 12×142 |
| LV3300100 | Mavic Speed Release 12×100 Bolt-on |
| LV3300200 | Mavic Speed Release 12×142 Bolt-on |
現在のMavic側では末尾などが変更された品番も見られるため、購入時には現行品番との対応を販売店で確認すると安心です。[参照:Mavic現行Speed Release]
MicheのLIGHT RD AXLES ROADはかなり分かりやすい代替候補
純正Mavic以外で最も判断しやすいのがMicheです。Miche自身が対応車種としてFILANTE SLRを明記しているため、寸法を自分で推測する必要がありません。
素材は7075-T6アルミで、前後セット重量は64g。カラーもブラック、レッド、ブルーなど複数用意されています。[参照:Miche公式]
軽量化やレバーのないすっきりした外観を求めるなら、メーカー側から車種適合が明示されているMiche品は有力です。
では他メーカーの汎用スルーアクスルは使える?
理論上は、必要な寸法・ネジ・座面形状を完全に満たした製品なら使用できる可能性があります。しかし2026年8月時点で確認できるメーカー公式情報では、FILANTE SLR専用適合が明確なのはMavic Speed ReleaseとMicheのWilier対応品が中心です。
一般的な社外スルーアクスルメーカーにはM12×1.0の製品がありますが、商品ページに「12×100」や「12×142」と書かれているだけでは適合保証にはなりません。
メーカー側が「Wilier FILANTE SLR対応」と明示していない製品を使用する場合は、少なくとも実物純正アクスルとの寸法比較が必要です。
交換アクスルで確認するべき5項目
| 確認項目 | FILANTE SLRで見るポイント |
|---|---|
| 軸径 | 12mm |
| アクスル全長 | 目安:前118mm、後165mm |
| ネジピッチ | 1.0mm |
| ネジ形状 | Miche純正相当のDouble Thread/Speed Release対応を確認 |
| 頭部・座面 | フレーム/フォークへ正しく密着すること |
これらのうち一つでも違う製品は、基本的には使用しない方が安全です。
「軸長」はどこからどこまで測るのかにも注意
スルーアクスルの商品ページを比較していると、同じ製品でも長さ表記が微妙に異なることがあります。
メーカーによって、頭部を含まないシャフト部分だけを測る場合、座面から先端までを測る場合など表記方法に違いがあるためです。
したがって118mmや165mmという数字だけを通販ページで照合するより、メーカーの寸法図を確認し、純正品と同じ基準で測られているかを見る必要があります。
ネジ部分の長さも重要
全長とピッチが一致していても、ネジ切りされている部分の長さが違うと正常に固定できない場合があります。
ネジが短すぎれば十分なかみ合い量を確保できず、長すぎたり形状が違ったりすると奥まで締め込めない可能性があります。
特にカーボンフレームでは、締結部品の不適合を無理に使うことは避けるべきです。
Speed Release対応だからホイールも専用品なの?
ここは混同しやすい部分ですが、基本となるハブ規格はロードディスクで一般的なフロント12×100、リア12×142です。
Speed Releaseの特徴は主にフレーム・フォークとスルーアクスル側の構造にあります。MavicもSpeed Releaseアクスルについて、対応するフレームとフォークでのみ使用可能と案内しています。[参照:Mavic]
つまりホイール交換の際には、基本的に12×100/12×142対応ハブを選びつつ、アクスルとフレーム側の適合を別に確認するという考え方になります。
普通のスルーアクスルを入れるとSpeed Release機能は失われる?
仮に寸法的に適合する通常構造のアクスルが存在したとしても、Mavic Speed Release本来の「アクスルをホイールから完全に抜かずに車輪を外せる」という機能がそのまま使えるとは限りません。
Speed Releaseはアクスル単体だけではなく、フレーム/フォーク側の構造と組み合わせて成立するシステムだからです。
単にホイール固定が目的なのか、Speed Release機構そのものを維持したいのかによって製品選びも変わります。
純正MavicとMicheでは考え方が少し違う
初期のFILANTE SLRではMavic Speed Releaseが強くアピールされていました。Wilierの2021年技術資料でも前後ともMavic Speed Releaseとして記載されています。
一方、現在のWilier公式ページでは「フレーム設計はSpeed Releaseタイプで、完成車には専用Micheスルーアクスルを装備」と説明されています。[参照:Wilier公式]
つまりFILANTE SLRでは、Speed Release対応フレームだから必ずMavic製アクスルしか使えない、というわけではありません。Wilier自身が現在Miche製の専用品を採用していることがその証拠です。
市販品を探すなら「12×100」より「Wilier対応」で検索する
通販サイトで「12×100 thru axle」とだけ検索すると、非常に多くの製品が表示されます。しかし多くはSpecialized、Trek、Canyon、Shimano系など別のネジピッチ・全長を前提としています。
FILANTE SLRの場合は「Wilier Filante SLR thru axle」「Wilier Speed Release axle」「12×118 M12x1.0 Wilier」「12×165 M12x1.0 Wilier」など、車種と実寸を含めて探す方が候補を絞りやすくなります。
それでも商品説明にFILANTE SLR適合の記載がなければ、販売店へ問い合わせるのがおすすめです。
固定トレーナー用アクスルはさらに注意
ダイレクトドライブではなく、アクスルを固定するタイプの室内トレーナーへFILANTE SLRを取り付ける場合には、専用トレーナーアクスルが必要になることがあります。
この場合も単に「12×142対応トレーナーアクスル」では不足で、FILANTE SLR側の全長とネジピッチに合う必要があります。
特にトレーナー用は通常より外側へ張り出した頭部を持つため、製造メーカーへ「Wilier FILANTE SLR、リアM12×1.0、純正全長約165mm」で適合確認を取る方が安全です。
購入前に純正アクスルを実測すると確実
年式や仕様変更の可能性まで含めて最も確実なのは、現在装着されている純正アクスルを一度外して測定することです。
ノギスがあれば、シャフト径、座面から先端までの長さ、ネジ部分の長さを測れます。ネジピッチについてはピッチゲージを使用するか、純正仕様から確認します。
ただしFILANTE SLRについてはMiche公式が対応品を明記しているため、現行対応寸法としてフロント118mm・リア165mm・P1という非常に有力な基準があります。
交換時の締め付けトルクにも注意
スルーアクスルは強く締めれば安全という部品ではありません。過大な締め付けはネジやカーボンフレーム側へ負担をかける可能性があります。
MavicのSpeed Releaseでは、適切な締め付け力を得るためのトルクコントロールシステムが特徴として説明されています。[参照:Mavic Speed Release]
Micheなどボルトオンタイプへ交換した場合には、Wilierまたはアクスルメーカー指定の締め付けトルクを確認し、可能ならトルクレンチを使うと安心です。
社外品を使うメリット
適合が確認できた社外品へ交換するメリットとしては、軽量化、カラー変更、レバーのないすっきりした外観などがあります。
MicheのLIGHT RD AXLES ROADは前後セット64gなので、軽量パーツとしても魅力があります。また複数カラーから選択できます。
一方、Mavic Speed Releaseには素早いホイール交換やトルクコントロールという独自メリットがあります。軽さだけでなく、使い方によって選ぶのがよいでしょう。
互換性が不明な製品を試しにねじ込むのは避ける
特に注意したいのが、「少し硬いけれど入るから大丈夫」と無理に締め込むことです。
M12×1.0とM12×1.5などは見た目だけでは違いが分かりにくいことがあります。最初の数山だけ入ってしまう場合もありますが、そのまま回せばネジ山を傷めます。
FILANTE SLRは高価なカーボンフレームなので、数千円のアクスルを合わせるためにフレーム側を損傷するリスクを取るべきではありません。指で軽く回して自然に入らない場合は作業を止めましょう。
確実性を優先したおすすめ順
| 選択肢 | 適合の判断 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| Wilier指定Miche | FILANTE SLR対応をメーカー明記 | 非常に高い |
| Mavic Speed Release純正 | FILANTE SLR本来のシステム | 非常に高い |
| FILANTE SLR対応を明記した社外品 | 寸法と年式を確認 | 高い |
| 寸法だけ一致する汎用品 | ネジ・座面・構造まで要確認 | 慎重に判断 |
| 12×100/142しか情報がない製品 | 適合判断不能 | 避ける |
特に日常使用で困っていないのであれば、純正系から無理に外れるメリットはそれほど大きくありません。
まとめ|FILANTE SLRは12×100/142だけで選ばず、118mm・165mm・P1まで確認
Wilier FILANTE SLR(ID2ではないモデル)は、フロント12×100mm、リア12×142mmのロードディスク規格を採用していますが、フレームとフォークはMavic Speed Release方式を前提に設計されています。[参照:Wilier公式]
現在Wilierが採用しているMiche製対応アクスルでは、フロント12×118mm・P1 Double Thread、リア12×165mm・P1 Double Threadとメーカーが明記しています。[参照:Miche公式]
そのため交換品を探す際には「12×100/12×142」というハブ幅だけではなく、直径12mm、全長、M12×1.0相当のネジピッチ、ネジ部の構造、頭部・座面形状、Speed Releaseフレームとの互換性を確認する必要があります。
確実なのはMavic Speed Release純正またはFILANTE SLR対応が明記されたMiche製品です。MavicもSpeed Releaseについて、対応フレーム・フォークでのみ使用できるシステムだと説明しています。[参照:Mavic公式]
他メーカー製でも完全に同じ仕様であれば使える可能性はありますが、「M12×1.0」「118mm/165mm」だけで決めず、メーカーまたは販売店へWilier FILANTE SLR(非ID2)への適合を確認してから購入するのがおすすめです。特にフレーム側のネジを傷めると修理が大掛かりになるため、適合不明な汎用アクスルを試しに締め込むことは避けた方がよいでしょう。


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