登山中の滑落や頭部への衝撃によって、現在地が分からなくなったり、直前の記憶がなくなったりすることがあります。このような状態では焦って移動すると、さらに遭難状況を悪化させる危険があります。
もし山中で自分の状況が分からない場合は、まず命を守る行動を優先することが大切です。この記事では、滑落後に記憶が混乱している場合や遭難した可能性がある場合に取るべき行動について解説します。
滑落後に記憶がない場合は頭部外傷の可能性を考える
登山中に転倒や滑落をした後、「なぜここにいるのか分からない」「登山の記憶がない」「時間や場所の感覚がおかしい」という状態になることがあります。
これは頭を強く打ったことで起こる脳震盪や頭部外傷の症状として現れる場合があります。脳震盪では一時的な記憶障害、判断力の低下、めまい、吐き気などが起こることがあります。
このような状態で無理に歩き続けると、道迷いや再滑落につながる可能性があります。まずは動きを止めて、自分の安全を確保することが重要です。
現在地が分からない時に最初にすること
遭難した可能性がある場合、最初に行うべきことは「むやみに移動しない」ことです。人は焦ると下山しようとして歩き回りますが、結果的に登山道から離れてしまうケースがあります。
まずは安全な場所を探し、座れる場所や風雨を避けられる場所で体力を温存します。崖の近くや急斜面にいる場合は、少しだけ安全な場所へ移動します。
例えば、道が分からなくても元の場所に留まっていれば、救助隊が捜索しやすくなります。一方で歩き回ると発見が難しくなる場合があります。
携帯電話が使える場合の救助要請方法
スマートフォンが使用できる場合は、迷わず救助要請を行います。日本では緊急時に110番(警察)や119番(消防)へ連絡できます。
電話がつながる場合は、以下の情報をできるだけ伝えます。
- 自分の名前
- 現在いる山や登山ルート(分かる範囲でよい)
- 滑落したこと
- 頭を打ったことや体の状態
- 周囲に見える特徴(岩、川、標識、山頂など)
- スマートフォンの電池残量
現在地が分からなくても、スマートフォンのGPS情報や位置情報から救助につながる場合があります。
スマートフォンの電池を守るためにすること
遭難時にはスマートフォンが唯一の連絡手段になることがあります。そのため、電池をできるだけ長持ちさせることが重要です。
不要なアプリを終了し、画面の明るさを下げ、省電力モードを利用します。また、何度も場所を確認するために地図アプリを開き続けると電池を消耗するため注意が必要です。
例えば、救助要請を済ませた後は、連絡が取れる状態を維持するためにスマートフォンをしまっておくことも大切です。
救助を待つ間に体を守る方法
救助を待つ時間が長くなる可能性があるため、低体温症を防ぐ行動を取ります。山では夏でも夜間に気温が大きく下がることがあります。
雨や風を避け、体を濡らさないようにします。レインウェア、防寒着、アルミシートなどがあれば積極的に使用します。
また、体力を消耗する大声での叫び続けは避け、一定時間ごとに周囲へ声を出す程度にします。体力を温存することが生存率を高めます。
記憶が戻ってきても慎重に行動する
頭を打った後、一時的に記憶が混乱していて、その後少しずつ状況を理解できる場合があります。しかし、判断力が完全に戻っているとは限りません。
「道が分かった気がする」「下山できそう」と感じても、単独で移動することは危険です。頭部を負傷している場合、再び転倒する可能性があります。
例えば、登山道の方向が分かったと思って歩き始めても、実際には別方向へ進んでしまうことがあります。救助要請後は、その場で待つことが基本です。
まとめ|滑落して記憶がない時は移動せず救助を求める
登山中に滑落して頭を打ち、現在地や状況が分からなくなった場合は、遭難状態になっている可能性があります。
最も重要なのは、焦って歩き回らず、安全を確保して救助要請を行うことです。スマートフォンが使える場合は110番や119番へ連絡し、自分の状態や分かる範囲の情報を伝えます。
登山では経験や体力だけでなく、事故が起きた時に冷静な判断をする準備も重要です。万が一に備えて、登山届の提出、携帯電話の充電管理、救急用品の準備を行い、安全な登山を心掛けましょう。


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