ソロキャンプブームの火付け役の一人として知られるヒロシさんをめぐり、2026年8月、オリジナル焚き火台の開発に関するトラブルが注目を集めています。ヒロシさんは自身が考えた焚き火台の制作を依頼したものの、制作側との間で商品化や権利をめぐる認識に食い違いが生じたと主張。一方、制作側も構造やデザインは自ら考えたという趣旨の説明をしており、双方の言い分には大きな隔たりがあります。
そこで気になるのが、そもそも問題となった焚き火台はキャンプ用品としてどれほど新しく、魅力的なアイデアだったのかという点です。ただし、公開情報だけではヒロシさん側の完成品の詳細な仕様や設計過程をすべて確認できないため、第三者が発明性や独創性を断定することはできません。本記事では、公開されている情報を基に、騒動の経緯と焚き火台のコンセプト、ヒロシさんの従来のキャンプギア作りから見える考え方を整理します。
ヒロシの焚き火台問題とは何だったのか
騒動が広く知られるきっかけとなったのは、2026年8月17日のヒロシさんのSNS投稿です。報道によると、ヒロシさんはオリジナル焚き火台について、作りたい具体的な形を提示して制作会社へ依頼したと説明しています。ところが制作途中で制作側も同じような商品を作る意向を示したため、それでは依頼できないと伝えたとしています。
ヒロシさん側の説明では、その後「同じものは作らない」という趣旨の約束を得て制作を続けたものの、商品完成後、契約書を交わす段階になって再び同様の商品を制作する話が出たことが不信感につながったとされています。
一方、制作を担当したと報じられているキャンプ用品メーカー「笑’s」側は、依頼者からコンセプトを受け取ったものの、構造やデザインについては約3か月かけて自社で検討し、試作品を制作したという趣旨の説明をしています。つまり、誰がどの部分を考案し、どこまでを独自のアイデアと評価するべきなのかについて、双方の認識が一致していません。
さらに2026年8月26日には、笑’s側がSNS上の「パクリ」などの書き込みによる風評被害を訴え、被害届を出す意向を表明したことも報じられました。このため、現段階で一方を「盗用した側」などと断定するのは適切ではなく、双方の主張が対立している案件として扱う必要があります。
話題の焚き火台は本当に「凄いアイデア」なのか
この点を考えるうえで重要なのは、アイデアの新しさと、キャンプ道具としての使いやすさは別の評価軸だということです。焚き火台という製品カテゴリー自体は以前から存在し、折り畳み式、小型、縦型、煙突効果を利用するタイプなど、さまざまな製品があります。そのため外見上の特徴だけを見て「これまで存在しなかった発明」と評価することはできません。
今回の騒動との関連がインターネット上で指摘されているのが、笑’sの「TETRA-185 Stainless」です。ただし、双方が問題の商品をTETRA-185であると正式に特定していることは、少なくとも騒動初期の公開情報からは確認できません。したがって「ヒロシさんが考えた商品=TETRA-185」と断定するのは避けるべきでしょう。
TETRA-185として公開されている仕様を見ると、収納時は約185×138×26mm、組立時は約138×134×高さ185mm、重量約675gのステンレス製で、A5サイズ程度に収納できる縦型構造となっています。コンパクトに収納しながら高さのある燃焼空間を確保するという考え方は、ソロキャンプでは実用的な特徴といえます。
ただし、仮に今回の案件と同製品に何らかの関係があったとしても、完成品だけを見て「この構造をすべてヒロシさんが考案した」「制作会社がすべて考案した」と判断することはできません。実際に争点となっているのが、まさにコンセプト、具体的な形状、構造設計などの寄与をどのように整理するかという部分だからです。
ヒロシのキャンプギア作りは「派手な発明」より実用性が特徴
今回の焚き火台を考える参考になるのが、ヒロシさん自身のブランド「NO.164」で過去に商品化されたキャンプギアです。公式サイトではブランド第1弾としてソロ用の「独焼鉄板」が紹介されており、開発テーマはヒロシ自身が使いたいものとされています。
独焼鉄板には、鉄板の厚さ、重量、四辺の立ち上げ角度、収納袋の大きさなどについて、実際のソロキャンプで使うことを前提とした細かなこだわりが説明されています。例えば厚い鉄板には調理上のメリットがある一方、重量が増えすぎるため4.5mmを一つの選択肢とし、より軽さを求める人向けに3.2mmも用意するという考え方です。
これは非常に分かりやすい例です。キャンプ道具では、単に「頑丈なら良い」「小さければ良い」というわけではありません。頑丈にすると重くなり、小さくすると薪を入れにくくなるなど、性能同士がトレードオフになるからです。
その意味でヒロシさんのギア作りには、奇抜さだけを狙うというより、自分が実際に野外で使ったときに感じる不満を解消していくという方向性が見られます。今回の焚き火台についても、公開された情報だけで革命的な発明だったとは判断できませんが、本人が実際に使いたい形を追求していた可能性は十分考えられます。
ピコグリルなどを愛用してきたヒロシだからこその視点
ヒロシさんは長年にわたり、自身のキャンプ活動や動画を通じてさまざまなキャンプ道具を紹介してきました。特定の商品を単に広告として紹介するのではなく、本人が実際に使用する姿が視聴者に伝わったことから、結果として注目を集めたギアも少なくありません。
特にソロキャンプでは、収納サイズ、重量、薪の入れやすさ、調理のしやすさ、設営・撤収の簡単さなどが重要です。例えば徒歩やバックパックでキャンプする場合、非常に高性能でも大きく重い焚き火台は使いにくくなります。逆に軽量化しすぎると、安定性や耐久性などに別の課題が生まれます。
長期間キャンプを続けてきた人ほど、「ここがあと数センチ違えば便利なのに」「収納するときにこの部分が邪魔になる」といった細かな改善点に気付きやすくなります。そのため、ヒロシさんがオリジナル焚き火台を作ろうとしたこと自体は、これまでの活動から見ても不自然ではありません。
「アイデア」と「製品設計」を分けて考えることが重要
今回の問題が複雑なのは、一つの商品が完成するまでには複数の段階が存在するからです。例えば「コンパクトで縦型の焚き火台を作りたい」という発想と、それを安全に組み立てられる板の形状、接合方法、ロストル、空気穴、耐荷重、製造方法まで具体化する設計作業は同じではありません。
商品開発では一般的に、企画者が「こういう道具が欲しい」と考え、製造会社や設計担当者が実際に生産できる構造へ落とし込むことがあります。この場合、完成品には企画側と製造・設計側双方の知見が反映される可能性があります。
今回もヒロシさん側は「具体的な形を提示した」という立場なのに対し、メーカー側は構造やデザインを自社で考えたという趣旨の説明をしています。この食い違いが解消されない限り、第三者が完成品だけを見て「どちらのアイデアなのか」を判断するのは困難です。
また、法律上の権利関係についても、単純に「先にアイデアを話した人がすべての権利を持つ」と決まるわけではありません。契約内容、具体的な設計、知的財産権の成立状況、制作過程の記録などによって評価が変わり得るため、SNS上の情報だけから法的な結論を出すべきではありません。
キャンプ用品として「良い焚き火台」を判断するポイント
騒動とは切り離して焚き火台そのものを評価するなら、見た目の斬新さより実際の使用場面を考える方が有益です。特にソロキャンプ用では、収納性、重量、燃焼効率、薪の追加のしやすさ、調理性能、安定性、灰の処理などを総合的に見る必要があります。
| 評価項目 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 収納性 | バックパックや収納ケースに無理なく入るか |
| 重量 | 徒歩キャンプでも負担にならないか |
| 燃焼性 | 空気が入り、薪を安定して燃焼させられるか |
| 薪の投入 | 燃焼途中でも薪を追加しやすいか |
| 調理 | クッカーや鉄板を安定して載せられるか |
| 安定性 | 使用中に倒れたり部品が外れたりしにくいか |
| 撤収 | 灰を処理しやすく、清掃・収納しやすいか |
例えば収納サイズが非常に小さくても、現地で一般的な薪を細かく切らなければ使えないなら、人によっては不便です。一方、小枝中心で焚き火をする人には縦型のコンパクトな構造が便利な場合があります。つまり「画期的か」だけではなく、自分のキャンプスタイルに対して合理的かを見る必要があります。
ヒロシがソロキャンプに与えた影響と商品評価は分けるべき
ヒロシさんが日本のソロキャンプ文化の普及に大きな影響を与えた人物の一人であることと、今回の焚き火台が技術的にどの程度独創的なのかは、分けて考える必要があります。知名度や過去の功績だけで製品の独創性まで証明されるわけではありません。
一方で、長期間にわたり実際にソロキャンプを続けてきた経験は、道具を企画するときの強みになります。キャンプ用品はスペック表だけでは分からない使い勝手が多く、実際のフィールド経験から生まれる改善案には実用的な価値があります。
そのため今回の焚き火台については、「誰も思いつかなかった革命的な発明だった」と評価するより、経験豊富なキャンパーが自分の使いたい道具を具体化しようとした商品企画として捉えるのが、現在確認できる情報からは妥当でしょう。
まとめ:焚き火台の価値と権利トラブルは別々に考えよう
ヒロシさんの焚き火台をめぐる問題では、ヒロシさん側と制作側で、アイデアや構造・デザインが生まれた過程について説明が食い違っています。2026年8月時点では対立が続いており、一方だけの説明を基に「盗用だった」「完全にどちらかが悪い」と断定するのは避ける必要があります。
また、話題になった焚き火台についても、公開情報だけから「キャンプ史を変えるほど画期的な発明」とまでは評価できません。一方、コンパクトさ、燃焼性、収納性などを両立させる工夫が実際の使用で優れているのであれば、派手な発明性がなくてもキャンプ用品として十分に価値があります。
ヒロシさん自身のNO.164では以前から「自分が使いたいもの」をテーマに道具が作られており、重量や収納性など細かな実用性へのこだわりも確認できます。今回の焚き火台も、単なる話題作りというより、長年のソロキャンプ経験から自分の理想に近い道具を作ろうとした企画だったと見る余地があります。
なお、騒動は現在進行形で新しい情報が出ているため、今後契約関係や開発経緯について追加説明が公表されれば評価が変わる可能性があります。商品そのものの良し悪しと、誰にどの権利があるのかという問題を切り分け、双方の公開情報を確認しながら判断することが重要です。

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