幻聴は痩せればなくなる?体型との関係・考えられる原因・受診の目安をわかりやすく解説

大相撲

自分の体型や容姿について否定的なことを言う声が聞こえると、「体型が原因なのでは」「痩せれば声も消えるのでは」と考えてしまうことがあります。しかし、医学的には体重を減らせば幻聴がなくなる、という一般的な関係は確認されていません。

幻聴とは、周囲の人には聞こえていない声や音が本人には実際に聞こえているように感じられる状態です。内容は人によって異なり、批判されたり、悪口を言われたり、自分が気にしている事柄について話しかけられたりすることもあります。聞こえる内容が体型についてだからといって、体型そのものが幻聴の原因とは限りません。

幻聴には精神的な不調だけでなく、睡眠不足、薬剤、アルコールや薬物、身体疾患などさまざまな原因が考えられるため、体重を変えることよりも、まず医療機関で原因を確認することが重要です。[参照:NHS「Hallucinations and hearing voices」]

幻聴の内容と原因は必ずしも同じではない

幻聴では、自分が普段から気にしていることや不安に感じていることが、声の内容に反映される場合があります。例えば体型を気にしている人なら、体重や見た目に関係する言葉として聞こえることがあります。

しかし、ここで大切なのは「体型について言われる」ことと「体型が幻聴を発生させている」ことは別だという点です。内容が体型に関するものだからといって、減量すれば幻聴の原因を取り除けるとは限りません。

例えば「太っていると言われる声が聞こえるから痩せれば解決する」と考えて減量しても、原因となる体調や精神状態が変わらなければ、声の内容が変わったり、別のテーマの声が続いたりする可能性があります。

痩せることは幻聴の治療ではない

幻聴そのものを改善するために、医学的な標準治療として「体重を減らす」という方法が用いられるわけではありません。

幻聴の治療は原因によって異なります。精神疾患が関係していれば薬物療法や心理的支援などが検討され、薬剤の副作用が原因なら薬の調整、睡眠不足などが関係していれば生活状況の改善が必要になることがあります。[参照:NHS]

そのため、幻聴を止める目的だけで急激なダイエットを始めることはおすすめできません。食事量を極端に減らした結果、睡眠や体調が悪化すれば、かえって精神状態が不安定になる可能性もあります。

幻聴にはさまざまな原因がある

「声が聞こえる」という症状だけから、原因を一つに決めることはできません。NHSでは、幻聴が起こる可能性のある要因として統合失調症や双極性障害などの精神疾患のほか、重いうつ状態、PTSD、薬の副作用、アルコール・薬物、睡眠不足、発熱、片頭痛など複数の原因を挙げています。[参照:NHS]

また、身体的な病気や神経系の問題が関係する場合もあります。そのため「精神的な問題に決まっている」と自己判断するのも適切ではありません。

初めて幻聴を経験した場合や、以前より頻度が増えている場合には、精神科・心療内科などへ相談し、必要に応じて身体的な原因も含めて評価してもらうことが大切です。

「本当に誰かが言っているのか」を確認したくなることもある

幻聴は本人にとって非常に現実的に聞こえることがあります。そのため「実際に誰かが自分のことを話しているのでは」と感じることも珍しくありません。

NHSも、幻聴について「周囲の人には聞こえない音や声が聞こえる状態」と説明しています。本人には実在する声のように感じられるため、単純に「気にしなければいい」と片付けられるものではありません。[参照:NHS]

声の内容を事実として判断するより、「今、こういう声が聞こえていて困っている」という症状として医師へ伝える方が、原因を調べるうえで役立ちます。

受診するときは声の内容もそのまま伝えてよい

精神科や心療内科を受診するとき、「こんなことを言ったら変に思われるのでは」と心配する必要はありません。幻聴の内容は診断や治療方針を考えるための重要な情報です。

例えば「体型について悪口を言われる」「相撲に関係する言葉が聞こえる」「一日に何回くらい聞こえる」「誰かが近くにいるように聞こえる」といったことを、そのまま説明できます。

診察では、声の内容だけでなく、いつから始まったか、睡眠は取れているか、薬を飲んでいるか、アルコールや薬物を使用していないか、気分の落ち込みや強い不安がないかなどについて確認されることがあります。[参照:NHS「Psychosis diagnosis」]

診察前にメモしておくと伝えやすい

声が聞こえている最中は不安や怒りが強くなり、後から詳しく思い出せないことがあります。そのため医療機関へ相談する前に簡単な記録をつけておくと役立ちます。

記録するとよいこと 具体例
始まった時期 数日前、数週間前、数年前など
頻度 一日数回、夜だけ、常に聞こえるなど
声の内容 体型への批判、命令、会話など
聞こえやすい状況 一人のとき、寝不足のときなど
睡眠 睡眠時間、眠れない日があるか
服薬 処方薬、市販薬、サプリメントなど
生活への影響 外出できない、眠れない、集中できないなど

声をすべて詳細に記録する必要はありません。自分が疲れない範囲で十分です。

声に腹が立つこと自体は珍しくない

批判的な声や侮辱するような声が繰り返し聞こえれば、怒りや不快感を感じるのは自然な反応です。

声と議論したり反論したりすると、かえって意識が声へ集中して疲れることもあります。可能ならテレビや音楽など適度な外部音へ注意を移したり、信頼できる人と同じ空間で過ごしたりして、声だけに意識を集中しない環境を作る方法があります。

ただし、こうした対処法は診察の代わりではありません。声が続いている場合は、医療機関への相談を優先してください。

睡眠不足で悪化することもある

幻聴は睡眠不足が強いときに一時的に起こったり、もともとの症状が悪化したりすることがあります。NHSでも睡眠不足が幻聴の一因になる場合があるとしています。[参照:NHS]

そのため、幻聴が気になって眠れず、睡眠不足によってさらに声が気になるという悪循環が生じることもあります。

数日間ほとんど眠れていない場合や、睡眠が急激に減った時期と幻聴の開始時期が重なっている場合には、その点も医師へ伝えるとよいでしょう。

薬やアルコールなどが関係することもある

処方薬や市販薬の一部、アルコール、違法薬物などが幻覚症状に関係する場合もあります。

現在服用している薬がある場合には、商品名や薬の名前を医師へ伝えてください。ただし「薬が原因かもしれない」と考えて処方薬を自己判断で突然中止するのは避けましょう。

薬の変更や中止が必要かどうかは、処方した医師などへ相談して判断することが重要です。

体型を変えたい場合は幻聴とは分けて考える

健康上の理由から体重管理をしたいのであれば、それ自体を否定する必要はありません。ただし「声を止めるために痩せなければならない」と考える必要はありません。

体重管理をする場合は、年齢、身長、持病などによって適切な方法が異なります。無理な食事制限ではなく、必要なら医師や管理栄養士へ相談しながら進めることが望ましいでしょう。

特に、声に言われた内容を理由として食事を極端に減らしたり、体重を急激に落とそうとしたりするのは避けることが大切です。

幻聴がある場合は早めの受診がすすめられる

NHSは、幻聴がある場合には医療的な相談を受けることを勧めています。また精神病症状については、早期に治療するほど効果が期待しやすいと案内しています。[参照:NHS]

日本であれば、精神科や心療内科が相談先になります。どこへ行けばよいか分からなければ、かかりつけ医へ最初に相談して紹介してもらう方法もあります。

受診する際には「幻聴かどうか自分では分からないのですが、周囲には聞こえない声が聞こえて困っています」と伝えるだけでも構いません。

すでに通院中なら主治医へ症状の変化を伝える

精神科や心療内科へすでに通っている場合は、次の診察で幻聴の内容や頻度を主治医へ伝えてください。

「最近、体型について言う声が増えた」「以前より腹が立って生活に支障がある」など、症状の変化を具体的に伝えることで、現在の治療内容を見直す材料になります。

薬を飲んでいるのに幻聴が続いていても、自分で量を増減せず、主治医へ相談することが大切です。

すぐに助けを求めた方がよいケース

幻聴の中には、通常の予約日を待たず緊急の相談が必要なケースがあります。

「自分を傷つけろ」「誰かを傷つけろ」などと命令する声が聞こえる、自分や他人を傷つけそうになっている、幻聴が急激に悪化している、ひどく混乱している場合は、緊急性が高い状態として扱う必要があります。NHSでもこのようなケースでは直ちに緊急医療を受けるよう案内しています。[参照:NHS]

日本で生命や身体に差し迫った危険がある場合は119番へ連絡するか、家族など周囲の人に助けを求めて救急医療機関へ相談してください。一人で対応しようとしないことが重要です。

医療機関へ行くことに迷う場合の相談先

「病院へ行くほどなのか分からない」「精神科へ行くことに抵抗がある」という場合には、公的な相談窓口を利用することもできます。

厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」は、全国共通の電話番号から所在地の都道府県・政令指定都市が実施する公的な相談機関へつながる仕組みです。電話番号は0570-064-556です。相談できる曜日・時間は地域によって異なります。[参照:厚生労働省 こころの健康相談統一ダイヤル]

自分だけでなく、家族など周囲の人が相談することもできます。医療機関を受診するべきか迷ったときの相談先として利用できます。

まとめ|幻聴をなくすために痩せる必要はなく、原因を医療機関で確認することが大切

体型について話す声が聞こえていたとしても、「痩せれば幻聴がなくなる」と考える医学的根拠はありません。幻聴の内容と、その幻聴を引き起こしている原因は別のものとして考える必要があります。

幻聴には精神的な不調、睡眠不足、薬剤、アルコールや薬物、身体的な病気など多くの原因があり、原因によって必要な対応も異なります。そのため、体重を変えることを治療代わりにするのではなく、精神科・心療内科などへ相談して原因を確認することが重要です。[参照:NHS]

受診するときは、「体型について悪口を言う声が聞こえる」「相撲に関連する言葉が聞こえる」といった内容もそのまま伝えて構いません。いつから、どのくらいの頻度で、どのような状況で聞こえるのかをメモしておくと診察で説明しやすくなります。

また、声から自傷や他害を命令される場合、幻聴が急激に強くなっている場合、自分や他人を傷つけそうな場合には通常の予約を待たず、119番などを利用して緊急の医療支援につなげることが必要です。

幻聴は本人にとって実際の声と同じように感じられ、非常に疲れる症状です。「体型を変えれば解決する」と一人で抱え込むより、症状そのものについて専門家に相談することが、改善へ向けた最も重要な第一歩になります。

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